文学と金融の融合,全国で進む


注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。


地域創生への取組みの一環として,全国各地の金融機関が提供するサービスの個性化の動きが加速している。
なかでも,地元の文学作品にちなんだ預金商品が人気を集めている模様だ。



青森銀行が12月から発売を開始する特典付き定期預金「走れメロス」はもちろん,地元出身の作家・太宰治にちなんだものだ。
商品の仕組みは以下のとおりだ。

  • 顧客が1年物定期預金(50万円以上)を新規で預け入れる。
  • 金利は0.001%であるが,1年後の満期日当日の営表時間内に,顧客が,新たな顧客になってくれそうな知人・有人を伴って来店し,新規契約に結び付けば,知人・友人の数×1%分の特典金利が支払われる。当日が荒天の場合はさらに1%が上乗せされる。

県民の大半が同行に口座を保有しているといわれるほど高シェアを誇っているため,本当に新規顧客が開拓できるのかどうかは疑問ながら,特典金利のために知人・友人が懸命に店舗に向かって駆けてくる姿はまさにメロスそのもの。
友情と利益が複雑に入り組んだこの商品がどの程度青森県民に受け入れられるかは未知数だ。






伊予銀行の5年定期預金「吾輩は猫である」。
作品自体は直接,愛媛県との縁はないものの,かつて漱石が松山に在住していたことから無理やり流用したネーミングだ。

昨今のペットブームに安易に便乗する形で,定期預金を預かる5年間の間,半年ごとの利息として,生まれたての子猫が自宅に届けられるという仕組みだ。満期に償還される元金もまた,全て子猫で受け取ることもできるという,猫好きにはたまらない商品だ。
最初に受け取った子猫たちが成長して子供を産むことまで計算に入れると,100万円を預けると,5年後には合計108匹の猫たちに囲まれる計算になるという。
日本銀行も,「日本人のインフレ心理にプラスの効果をもたらすのでは」と高く評価している模様だ。



現在の岐阜県で生誕した島崎藤村にちなんだ商品を出したのは,大垣共立銀行。「定期預金 夜明け前」と「定期積金 利上げ前」の2本立てで勝負をかける。

「夜明け前」はその名のとおり,午前3時から午前5時の間に来店して定期預金を取り組んだ顧客に,好きな島崎藤村作品のうち1冊(文庫版)をプレゼントするというものだ。
同行は昨年から一部店舗で実験的に24時間営業を開始しているが,ほとんど来店客のない午前3時からの2時間の収益性をどう上げるかが課題となっていた。
藤村の文庫本は,地元自治体や記念館,出版社などと提携して格安で手配できるため,追加コストも限定的だという。


一方の「利上げ前」は,米ドル建て外貨預金専用商品だ。
米国で利上げが行われる可能性が高まり,預金金利が今後上昇するのではないかという期待感から,新規契約が大きく減少しているのが同行の悩みのタネだった。
これをクリアするため,利上げの可能性が高い期間中に新規で米ドル建て外貨預金を一定額以上契約すると,前FRB議長であるベン・バーナンキ氏から「米国経済・市場の見方」について,1時間のプライベート・レッスンが受けられるという特典を用意したのだ。
この商品を販売する期間中,バーナンキ氏は同行大垣駅前支店に常駐しており,取引条件を満たした顧客が発生するたび,すぐに顧客の自宅を訪ね,茶の間でアメリカ経済見通しについて何でも質問に答える他,金融資産の構成についてもアドバイスをしてくれるという。
たどたどしい日本語で懸命に説明してくれるバーナンキ氏に対する顧客らの評判は上々で,同行では「近年まれにみるヒット商品に育つ可能性がある」(広報部)と期待している。


こうした商品がどこまで広がるのか,そして,大阪府出身の又吉直樹の作品にちなんだ預金商品「火花」を発売する金融機関はどこになるのか,注目が必要だ。