知られざる「族議員」の実態―気象庁まで右往左往

注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。


特定の業界・業態等の実情に詳しく、その分野で強い政治的発言力を有するいわゆる「族議員」。
近年の政治力学の変化の中で、その発言力には陰りがみられるが、そうは言っても様々な分野で現在も強い影響力を行使しているケースも少なくない。
その中には「こんな分野にまで」と誰もが驚くケースすらある。今日はそうした事例の一つとして、「気象族」の実態を追った。

 


「誰が梅雨入りしていいと言ったんだ!」


2018年6月5日深夜。東京・大手町にある気象庁本庁舎内に怒号が響いた。


声の主は参議院議員のA氏。

気象予報士資格を取得後、テレビ番組のお天気キャスターとして人気を博し、2010年の参議院選挙で当選した人物だ。得意の気象関連知識を国会質問等でもフルに活かし、「気象といえばA」というイメージを高めていった。
気象庁としても無視はできないため、事あるごとに永田町の議員会館を訪ね、A氏からの様々な質問に対応し、逆に気象庁として実現させたい事項があればA氏に相談を持ち込むといった場面も増えていき、結果として史上初の「気象族議員」が誕生するに至ったのだ。


日本唯一の気象族議員であるA氏の事務所には、支援者らからの気象関連の要請がひっきりなしにやってくるようになった。
「今週末に地元小学校の運動会があるので、晴れにしてほしい」
「4月の入学式のタイミングに合わせて桜を満開にしてほしい」
等々、内容はほとんど無理筋のものが多いが、A氏から気象庁に照会や要請が来ることもあるという。


そんなA氏に、有力な支持者から依頼があったのが昨年5月。
一人娘の結婚式を6月上旬に控えていた支持者から、「何とか梅雨入り前に結婚式を済ませたい」という陳情を受けたのだ。
「全力を尽くします」と応えたA氏は早速、気象庁に向かい「今年の梅雨入りは6月中旬まで待ってほしい」と要請。困惑する担当者をよそに、「じゃあ頼んだからな」と気象庁を後にしたA氏は、支持者に電話で「気象庁に話をつけたから大丈夫です、任せてください」と早速報告した。
ところが披露宴を4日後に控えたタイミングである6月5日、気象庁は「ルールに基づく判定を変えるわけにはいかない」として、九州地方の梅雨入りを発表。
「話が違うじゃないか」と支持者から猛抗議を受けたA氏が、その怒りを気象庁にぶちまけた、というわけだ。


夜勤当番だった気象庁担当者ら8名は、A氏の命令で床に正座させられたうえ、A氏の「国民の幸せと、梅雨入り宣言の正確さのどちらが大切か分かってるのか!」等々の説教を2時間にわたり聞かされる羽目になったという。


この件以降、A氏の気象庁判断への介入はエスカレートし、今春の桜の開花宣言や満開宣言には、A氏とその支持者の意向が強く働いたのではないかと噂されている。
また、あまり知られていないが、気象庁では「かえで紅葉日」「タンポポ開花日」「つばめ初見日」「ほたる初見日」「ひぐらし初鳴日」等も公表しており、これらのデータについてもA氏の介入が囁かれている。
そして今年。
西日本の梅雨入りが大幅に遅くなったのは、「昨年の事件に怯えた気象庁による、A氏への過度の忖度」(関係者)が原因なのはほぼ確実のようだ。

 


価値観の急速な変化が進む現代社会では、予想もつかない「族議員」の発生が続くことが見込まれる。世の中を注意深く見渡し、変な族議員に絡まれることのないよう注意していくことが必要だ。