夏の甲子園に大改革の嵐

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プロ野球の応援歌における「お前」という表現の自粛、アニメ「アンパンマン」主人公の技「アンパンチ」が暴力肯定だという批判・・・。

最近、「優しさ」や「思いやり」をめぐり、賛否が分かれるトピックが増加しているが、こうした風潮が、夏の高校野球にも大きな影響を及ぼそうとしている。

これは、甲子園大会決勝終了後の23日、日本高等学校野球連盟高野連)が行った「全国高等学校野球選手権大会のあり方検討有識者会議の設置について」というプレスリリースで明らかになったものだ。


夏の甲子園」として長年親しまれてきた全国高等学校野球選手権大会は今年で101回を数え、地方予選には、ピーク時の4,000校超には届かないものの、3,730校が出場するという学生スポーツ界最大規模の大会だ。

夏の大会の最大の特徴は、地方予選からトーナメントを勝ち抜き続けた1校が全国の頂点に到達するという点だ。その過程で生じる様々なドラマは、観る者の胸を熱くする。


しかし最近、高校野球をめぐり一部の論者が主張しているのが、「1校だけが勝者となり、残り全校が敗者というシステムはあまりに残酷ではないか」という見方だ。

高校野球部員の99.9%は、高校部活の最後を『負け試合』という苦い思い出とともに終えている」「高校時代を締めくくる挫折経験が『負け犬根性』につながり、ここ数十年の日本社会の低迷・沈滞の遠因になっている」という、極論としか思えない主張にはしかし、SNS上で賛同する声が広がっている。


こうした情勢を受け、様々な意見に耳を傾けることが大切だと考える高野連では、有識者を集めて今後の高校野球のあり方について議論してもらい、改革案をまとめたうえで、早ければ来年の102回大会から実施することを決めたものだ。


関係筋によれば、会議メンバーの間で今後行われる議論は、次の3案を軸として進められる見通しだという。


第1案 特別表彰制度の導入
第2案 大会運営を「負け残り方式」に変更
第3案 現状運営の継続


第1案を強く推すやくみつる氏によれば、この案は、負けたチームや選手たちにも何らかの特別表彰を行うことにより、「ただ単に負けたんじゃない」という記憶とともに新たな人生を歩ませようという、親心からの発案だという。

例えば、コールド負けを喫したチームに対しては、「試合を長引かせないことで大会運営者の負荷を軽減した」として「大会運営貢献者特別表彰」が行われ、また審判に対して大きな声で挨拶を続けたチームや選手は「さわやか応対特別表彰」に輝くことになる。さらに、外野の守備等でいわゆる「お見合い」をしてエラーを記録した選手たちには「譲り合い精神顕彰」が贈られる等、全出場選手の95%程度が何らかの特別表彰を受けることで、負けた記憶を薄れさせようというものだ。

また、表彰されたという記憶を長くとどめてもらうべく、表彰対象となる選手は全員、甲子園大会決勝戦終了後の閉会式に招待され、優勝校の表彰前に、一人一人が高野連会長から賞状やメダル、記念盾、クオカードなどを受け取る儀式が行われることが想定されているという。

5万名前後とみられる全員の表彰を終えるまでの所要時間は400時間を超える(約17日間)と試算され、甲子園本大会期間を上回ることになるが、本案の支持者は「高校球児たちの輝かしい未来のためには必要な時間だ」としている。

仮に採用された場合、いわゆる「死のロード」期間がさらに長くなる阪神タイガースをどのように説得するかも、本案採用上の主要論点になるものとみられる。

 


第2案は、複数のメンバーが推していることから現時点で最有力とみられる案だ。

現在の大会は、勝ったチームが次の試合に臨み、勝ち続けた1校が全国の頂点に立つ仕組みだが、この案は逆に、負けたチームが次の試合に臨み、負け続けた1校が全国最弱チームという称号を手に入れるというものだ。

この方式であれば、全国の高校球児の99.9%が高校時代最後の試合を「勝ち試合」で終えることができるようになるため、「誇らしい記憶とともに高校生らが次のステップに進むことで、日本社会にポジティブな影響がもたらされるはず」としている。

ただ、この案に対しては「こんな大会に参加したいという高校球児が本当にいるのか」「弱小チームばかりが集まる甲子園大会に意味があるのか」等々、否定的な意見も多数ある模様だ。

特に問題だとされるのが、「全国最弱」の烙印を押されることになる全国唯一の負け残りチームの心理的ケアだ。地方大会から全国大会まで1回も勝てなかったというダメージは想像以上に大きくなるとみられ、「その後の球児らの人生に回復不能の傷を負わせてしまう」という懸念だ。

これに対しては、第1案の考え方を併用し、「自らを犠牲にして他のすべての参加校に勝利をプレゼントした崇高な精神の示現者」として特別表彰を行い、さらにその精神を称え甲子園周辺でパレードも実施してはどうか、というアイデアもある模様だ。

ただ、全敗したうえに甲子園周辺をパレードさせられるのは「市中引き回しの刑を彷彿とさせる」として反対を示す向きも多いようだ。

 


いずれにしても、26日から始まる有識者会合でどういう結論が出され、来年以降の高校野球がどう姿を変えていくのか、そしてそれは日本社会や経済に何らかの影響を与えることになるのかどうか、今後も長い目で注目していくことが必要だ。