墨田・江戸川両区民に思わぬ「試練」-鍋料理めぐる規制導入へ

注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。

 

 

東京都墨田区民、江戸川区民それぞれに、思わぬ形で試練が訪れようとしている。

30日に開催された「国家戦略特区諮問会議」で、これら両区が本年31日付で戦略特区指定を受けることになったのがそれだ。

 

 

そもそもこの「戦略特区」は、成長戦略の実現に必要な大胆な規制・制度改革を通じて「世界一ビジネスが行いやすい環境」を実現すべく、効果検証等を目的として、特定の地域等について、規制等の適用対象から外すものだ。

これまでにスタートアップ企業、農業経営、医薬品開発、民泊、介護等様々な分野で特区認定がなされており、全国での認定事業数は300を超えている。

 

そうしたなか、今回墨田区江戸川区が受けることになる「食品ロス戦略特区」は、規制を緩和するのではなく、逆にこれら両区のみに新たな規制を適用する、という意味で、従来の特区とは一線を画する内容になっているのが特徴だ。

 

 

墨田区民には、31日から向こう1年間、全ての食事を「鍋料理」に限定するという規制が、そして江戸川区民には逆に「鍋料理」を禁止する、という規制が適用される。

 

  

 

昨今、社会的課題の一つとして注目・関心を集めているのが「食品ロス」の問題だ。

「食糧自給率の低下」「食品ロスの増大」の併存は、飽食の時代を象徴する矛盾として語られることが多いが、社会的課題の解決に対する熱意が高まるなか、政府としても「食品ロス」を削減するための効果的な打ち手を呈示することが求められている。

 

 

そうしたなか、農林水産省が着目したのが「鍋料理」だ。

様々な料理や調理法があるなか、この「鍋料理」に関する調査では、実は極めて興味深い結果が出ている。

居酒屋等、外食産業における「食べ残し率」の調査では、「鍋料理」がトップ3入っている。宴席で、鍋料理がほとんど手つかずのままになっている光景を目撃したことがある人も多いはずだ。

一方で、家庭における鍋料理は、「食べ残し率」が最も低い、という調査結果が出ている。これは、様々な食材を柔軟に投入できるという調理法の特性や、「締めの雑炊」「アレンジして翌日に残りを食べる」といったバリエーションがあることが寄与しているものと見られる。

 

 

このように鍋料理については、食品ロスを「増やす」「減らす」という対立する見解がある。

このため、農林水産省では「鍋料理しか食べない墨田区」と「鍋料理を全く食べな江戸川区」でそれぞれ、食品廃棄量がどう変化するか検証し、今後のロス削減政策に役立てるべく、戦略特区指定を申請したものだ。

 

 

異例であるが、この申請は両区には事前相談が無かったという。

また関係者によれば、これら両区に白羽の矢が立った理由は、「鍋料理と言えばちゃんこ、ちゃんこと言えば相撲部屋、相撲部屋と言えば墨田区江戸川区」という安易な連想だという。

 

 

突然の発表に、墨田区江戸川区はそれぞれ対照的な反応を見せた。

墨田区の鳥居区長は、怒り心頭という表情で緊急記者会見を開き、「墨田区民の食の自由という基本的人権を侵害するものであり、憲法違反だ」と訴えた。

これに対して政府関係者は「憲法では食の自由そのものについての言及はされておらず、批判は当たらない」という見解を示している。

また墨田区内の井筒部屋九重部屋等はいずれも「どのみち毎日ちゃんこなので、特に影響はない」として静観している。

 

一方、江戸川区は、鍋料理以外の食の選択肢が無数にあることから、いたって冷静な反応だ。同区内に居を構える武蔵川部屋も、「最近の若い力士はちゃんこを嫌うので、かえっていい機会になるかもしれない」と前向きに受け止めている。

 

 

このように対照的な両区だが、激しく火花を散らしている問題がある。

それは、「鍋料理の定義」だ。

  

鍋料理の概念が広がれば広がるほど、墨田区民にとっては好材料となり、逆に江戸川区民にとっては食の選択肢が減るという点でネガティブな要素となる。

利害が対立する問題であるため、両区からは農林水産省等の関係省庁に対してチーズフォンデュは鍋料理になるのか」「アヒージョも鍋料理と認定すべき」「汁気の多い肉じゃがは鍋料理なのか」「水を加えず野菜の水分だけで調理する『無水鍋』はどうか」等々、合計で2万件を超える照会(31日正午現在)が寄せられているという。

 

思わぬ難題を突き付けられた形の政府は、「専門家の意見をもとに早急に定義を確定させたい」として、近日中に鍋料理に造詣の深い専門家等を集めた審議会を設置、議論する方針だ。

 

 

また、鍋料理をこよなく愛する、いわゆる「鍋奉行」と呼ばれる人々も動き始めている。

朝昼晩、鍋料理が続く墨田区は彼らにとっては「天国」であるため、逆に「地獄」となる江戸川区内の鍋奉行はもちろんのこと、全国から「鍋奉行」達が早くも続々と墨田区に移住し始めており、賃貸マンション・アパートの相場が急上昇しているという。

なかには、既往の賃貸マンションをリノベして、室内の換気機能を大幅に強化した「鍋料理専用マンション」として売り出す動きも報告されており、「食品ロス」とは関係のない観点から、経済活動にも影響が及び始めている。

 

 

カレーライスを「液体だから鍋料理」だと強弁して食べる墨田区民や、味噌味ちゃんこ鍋を「具の多い味噌汁だ」と言い張って食べる江戸川区民が現れた場合、その正否を誰が判定するのか、そして違反行為とされた場合にどのような仕打ちを受けることになるのか、注目が必要だ。