電子マネーに意外な効能−お年寄り中心に大ブレイク

電子マネーとしての覇権を競い合うmuica(ムイカ)とEby(エビイ)に,開発者も想定していない意外な効能があることが発見された。

第一発見者となったのは,埼玉県熊谷市に住む梅田タネさん(77)。喜寿のお祝いに孫からプレゼントされたのは,「muica」のチャージ済みカード。「いろいろなところに出かけて行ってますます元気であってほしい」という願いと「きっとこんなカードは見たことないんじゃないか」という悪戯心を織り交ぜてプレゼントしたもの。案の定,タネさんは「いったいこれは何なのか」と悩んだあげく,最近一段と痛みが増している腰部に貼り付けて就寝した。ところが,翌日目覚めると数年間にわたって苦しんでいた腰痛が嘘のようにおさまっていたという。
早速プレゼントをした孫の梅田真人さん(19)に報告したが,真人さんは「単なる偶然だろう」と思いつつも喜び,早速本当のmuicaの使い方を教えるために,タネさんとともに巣鴨への小旅行を計画。駅の改札を通過する際にmuicaの使い方を教えた。ところが,5,000円のチャージをしてプレゼントしたはずなのに残高が「110円」になっており,改札を通れないことが判明。駅員に事情を話し,JR南日本で原因を詳しく解明する過程で,muicaに腰痛改善効果があり,発揮した効果に比例してチャージ金額が減少することが判明したもの。

腰痛等に効果があるものとして「ピップエレキバン」などの磁気治療器が知られているが,muicaはICチップが埋め込まれているだけのプラスチック製カードであり,いったい何故腰痛に効果があるのか,またその効能に応じてチャージが減額されるのかは「現代科学では解明不能」(JR総研)と首をひねっている。
今回の報道を受け,全国の腰痛患者が大挙してmuicaを購入する現象が発生しており,JR南日本には,muicaサービス対象外の四国,北海道などからも購入申込が
続々と寄せられているという。JRが危惧していた「目的外の用途でチャージ金額が引き落とされていることについて苦情が来ないか」という点については,「腰痛が治るならチャージが減っても全然構わない」ということで,これまでのところわずか2件のクレームにとどまっているという。

一方で焦ったのが「Eby」陣営。「このままではなし崩し的に電子マネー戦争に敗れ去ってしまう」という危機感から,Eby普及に積極的な全日エアなどを中心に,同様の効果がないかを調べるため,社員の全身にEby搭載カードを貼り付けて効果を確認する作業を2週間にわたって実施した。その結果,腰痛には全く効果が見られなかったものの,肩こりの解消に目覚しい効果を発揮することが確認できた。

こうした結果を受けて,電子マネー戦争は「腰痛のmuica」対「肩こりのEby」という,全く予想しなかった展開になってきた。世代別の普及率で見ても,全世代中60歳代における普及率がトップになっているなど,新時代のサービスとしては極めて異例の展開となっており,muicaの新規発行枚数ではJR巣鴨駅がダントツの1位となっている。また,チャージされた金額がほぼそのまま利益になっていることから,JR南日本とEbyの運営会社であるわくわくエビイ(株)では今年度の収益が急拡大する見込みだ。

こうした展開の一方で,詐欺事件も多発している模様。
一時下火になっていた「偽造テレホンカード」問題だが,最近また密売人が増加しているという。警察で調べたところ,「偽造テレホンカードを頭部に貼ると驚くほど毛髪が生えてくる」というデマが流れており,その関係で急速に人気が高まっている様子だという。「最近の時事問題と人の弱みにつけ込んだ悪質な事件」として,警察では徹底的に取り締まる方針を明らかにするとともに,「頭に偽造テレカを貼っている人を見かけたら『生えませんよ』と教えてあげてほしい」と呼びかけている。