「さおだけ屋」が急増−安定職業として人気高まる

<この記事は,将来起こるかもしれない事件を妄想を交えて記したもので,少なくとも現時点においては全く事実ではありません。実在の人物・団体・事件等にも一切関係ありませんのでご注意ください。

span style="font-size:medium;">極めて地味な存在で,一部の都市伝説マニアを除けばほとんど関心を持たれなかった「竿竹屋」が都内で急増している。もちろん,一躍脚光を浴びたのは,ベストセラーとなった「さおだけ屋はなぜ潰れないか」(山田真哉著)がきっかけ。
同書のタイトルから「竿竹屋=堅実な職業」というイメージが広がり,安定した生活を志向する20〜30代を中心に就業希望者が急増。首都圏中心に無料配布で人気を集める週刊誌「R25」が毎週連載している企画「今なりたい職業Best500」では,昨年1月に462位だった「さおだけ屋」が,最新号で「イルカの調教師」に次ぐ第2位まで急上昇,月刊誌「ひよこくらぶ」の「子供になってほしい職業アンケート」でも堂々4位にランクインしている。
また,実際に竿竹屋に転職・開業する動きも続々と広がっており,業界団体である全国竿竹販売業者連合会(全竿連)調べでは都内の昨年12月末現在の竿竹屋は約85,000名と,前年同月比で82,000名増となっているなど,まさに「雨後の筍」状態だ。フジテレビが今年4月からの月9ドラマとして予定している「さおだけ屋は潰れない」もこうした人気を受けての便乗企画と見られる。また,資産としての竿竹の価値に着目した竿竹投機,竿竹を担保にしたSBS(Saodake-Backed Security)の発行計画も報告されている。
ITベンチャー企業経営に失敗した若手起業家が再起を期し,まさに一旗上げるために竿竹屋に転身するケースも目立ち始めており,既に六本木ヒルズに入居するIT企業のうち4社が竿竹屋に衣替えしているという。
また,竿竹屋急増の影響か,昨年後半以降,都内における軽トラック販売台数が前年同月比40%以上の増加を示している一方,特に竿竹屋が林立していると見られる三軒茶屋近辺では竿竹を積んだ軽トラが20台以上も並ぶ「竿竹渋滞」が慢性化しているなど,社会全体にプラスマイナス様々な波紋を投げかけている。
もちろん,本格的な成長を狙った竿竹屋も少なくない。「竿竹屋の本質は,長くて持ち運びに不便なものを家庭まで届ける点にある」と語るのは,昨年3月に竿竹屋「ロングバー・ジャパン」を開業した元IT企業社長のAさん(29)。Aさんは,「最近の竿竹はほとんどが金属製・グラスファイバー製で耐用年数が長く,買換え需要は期待できない。また,乾燥機能の付いた全自動洗濯機が家庭に普及してきているのも竿竹屋にとっては逆風」と竿竹屋経営をめぐる現状を分析,「ならば,竿竹以外の『長いもの』も一緒に販売してしまおう」という発想が同社の急成長につながった。現在,同社の販売金額構成は,全体の55%を「走り高跳び関連用品」が占め,次いで「太刀魚(たちうお)」の25%,「フランスパン」の10%,「長芋」の5%などとなっている。最近中高年を中心に広がっている「走り高跳びブーム」に便乗した形ではあるが,現在のところは順調に規模拡大を進めており,3年後の売上100億円とマザーズ上場を目指し,軽トラ15台を駆使して売上を伸ばす毎日だ。
このように人気化した竿竹業界だが,業界の不透明性を指摘する声が依然として根強い。前出「さおだけ屋はなぜ潰れないか」では,潰れない疑問に対して明快な答えはなく,著者自身が推測した理由が記されているに過ぎない。全竿連が都内に保有する,販売業者のための共同倉庫には実に850万本の竿竹が保管されているというが,全竿連は,首都圏人口3人当たり1本という在庫を抱える必然性については「ノーコメント」を押し通している。
1本当たり平均で6m,全部つなぐと地球を1.5周する長さの竿竹を保管するために借りている倉庫の賃料は1ヶ月につき4,500万円と推定されている。この賃料を誰がどうやって払っているのか,謎は謎を呼んでいる。
さおだけ屋の人気と謎はとどまることを知らない。