パチンコ産業新時代−社会的責任発揮へ斬新な取組み

この記事は,将来起こるかもしれない事件を妄想を交えて記したもので,少なくとも現時点においては全く事実ではありません。実在の人物・団体・事件等にも一切関係ありませんのでご注意ください。

国民的娯楽産業としての地位を確立している割に,日陰の存在のイメージが強かったパチンコ産業が,表舞台に立つべく新たな戦略を打ち出している。
パチンコ産業にとって社会的評価・地位の向上は長年の悲願。店周の清掃活動や,乳幼児の車内放置防止のための駐車場パトロールなど,日々地道な取組みも進めているものの,アピール度はいまひとつ。パチンコホール運営企業の上場計画も取り沙汰されるなか,こうした現状を打破すべく,斬新な試みがなされている。
そのひとつが,金融機関でもまだ導入されていない,顔面による「生体認証」システム。現在,大半のパチンコ店では,遊戯をするためには現金ではなくプリペイドカードを使用するシステムとなっているが,大半の客は現金を持参して入店,店内でプリペイドカードを購入している。これらの客を狙った「遊ぶ金欲しさ」の恐喝や強盗等の犯罪も少なからず発生している。そのため,こうした事件を防止するため,世界でも珍しい「顔面生体認証付きクレジットカード」専用店が登場したもの。この店は埼玉県蕨市の「パーラー ニュートーホー」で,来店した客は,パチンコ台の横に設置してあるカードリーダーに自分のクレジットカードを挿入した後,パチンコ台の中央左部に設けられた縦横15cm程度のセンサーに顔を近づける。顔面認証の結果,登録された本人と判定されると,500円相当の玉が出てくる仕組み。玉がなくなればこの動作を繰り返せばまた500円相当の玉が出てくるという仕掛けだ。玉の購入(玉貸)代金はもちろんクレジットカードで精算されるため,現金を持ってパチンコ店に行く必要がなくなり,その結果,同店周辺での恐喝等の粗暴犯罪発生件数はゼロになったという。
また,この仕組みにはもうひとつのメリットがあるという。パチンコに熱中して負けが込んでくると,見境をなくして大金を投入してしまうケースが往々にしてあるが,このシステムでは,負けが込んで引きつった顔をセンサーに近づけても「正常な精神状態にある本人」とは認識されず,新たな玉は出てこない。いわば,強制的なストップロスルールが内蔵されているようなもので,パチンコによる生活破綻を防止する決め手として期待されている。

一方,パチンコ台でも革命が進みつつある。このところ,パチンコ台はアニメキャラクターから果ては「冬のソナタ」に至るまで,ありとあらゆるものが出尽くした感があったが,「社会的な問題を題材にしたパチンコ台」を製作し,これによりパチンコをしながら教養も身につけるという効果を狙った動きが目立ち始めた。
そんな中で今最も話題を集めているのは「パチンコ日本銀行」。日本銀行を題材としたパチンコ台で,メーカー側は「当然断られるだろう」と思って軽い気持ちで日銀に企画を持ち込んでみたところ,「幅広い国民に日銀のことを知ってもらうためにも非常にいい機会」と予想外の反応があり,とんとん拍子でパチンコ化についての快諾を得たもの。このパチンコでは,夏目漱石の千円札,樋口一葉の五千円札,聖徳太子の旧一万円札など,全部で14種類の日銀券がくるくる回り,同一券種が3つ並ぶと大当たり,という仕組みだ。福沢諭吉がトコトコ歩いてきて「天ハ人ノ上ニ人ヲ作ラズ・・・」と説教を始める「諭吉リーチ」をはじめ,多彩なリーチアクションも楽しめる。しかしこの台の最大の売りは,めったに見なくなった二千円札が3つ並んだときに突入する「金融政策決定会合モード」。このモードに入ると,お札の代わりに福井総裁以下9名の審議委員の顔がクルクルと回り始める。そして,画面に表示される9名の表情が全て「ニッコリ」で揃うと,パチンコ業界史上類を見ない大当たりである「量的緩和」モードに突入する。このモードの間はとにかく必要以上に出玉があふれ,客が「もう十分」と思っても,再び9名の表情が揃って「量的緩和解除」が宣言されるまで,否応なしに玉が出続ける,パチンコファンには夢のような台だ。この「量的緩和モードは設計上,最大で5年間続く可能性がある」(メーカー幹部)とされており,当たってしまうとそう簡単には帰宅できそうにない。本物の量的緩和はこの3月に解除されたが,パチンコ台の中ではまだまだ生き延びることになりそうだ。

このほか社会派の台として「パチンコ・コンプライアンス」「パチンコ・6カ国協議」なども続々登場の予定だという。こうした取組みが吉と出るか凶と出るか,今後の業界の動きから目が離せない。