金融機関,サイドビジネスを本格展開へ−温泉卵で高収益

注意:この記事は,将来起こるかもしれない事件を妄想を交えて記したもので,少なくとも現時点においては全く事実ではありません。実在の人物・団体・事件等にも一切関係ありませんのでご注意ください。


金融機関がサイドビジネスを収益化する取組みが活発化している。
金融機関にとって,公的資金の返済に向けた収益力の強化は極めて重要な経営課題。しかし,本業による収益増強には一定の限度があり,営業現場に過度のプレッシャーをかけるとコンプライアンス上の問題も生じやすい。こうした中,本業とは無関係な副業であれば,いわば「遊び感覚」で取り組むことが出来,行員のリフレッシュにも繋がるということで,こうした取組みが目立ち始めたものと見られる。そんな数々の取組みのなかで本日はA銀行とB銀行の取組みを紹介する。

東京・千代田区のA銀行本店ビル通用口。毎日午前7時になると,出入りの業者が12,000パック(120,000個)の鶏卵を台車で搬入し,午前8時には,同じ業者が11,500パック(115,000個)の,ほんのり色づいた鶏卵を搬出して持ち帰っている。
搬入された12,000パックのうち,500パックは社員食堂に納入されている昼食用の食材であるが,残りは,システム開発部門やマーケット部門に搬入され,早出の担当者がこれを受け取り,てきぱきと業務室内に運んでいく。これは別に,残業の多い行員に栄養を付けさせるための生卵ではない。モニターなど,発熱量の大きい機械類が多いセクションが副業として行っている「温泉卵」製造の素材として運び込まれているものだ。
もともとこの業務は,モニターなどが発する余熱を利用した「ひよこの孵化請負」業務が源流だ。公的資金返済のためにはありとあらゆる収益積上げ努力が必要ということで,システム部門,マーケット部門などが独自の取組みとして,モニター裏の温風と空きスペースを利用して始めたもの。慣れない業務に当初は失敗の連続であったが,平成14年に初の孵化に成功,15年度には採算ベースに乗ると言われる年間150万羽の孵化・出荷を達成,16年度にはひよこ孵化業務で25億円の純利益を計上するに至った。
しかし平成17年,同行が全面的な取組みを開始した省エネ&クールビズが大きな転機となった。同行では室温を28℃に設定した上で,ノーネクタイ・ノー上着を推奨したが,同行の企業風土なのか,相変わらずネクタイ・上着着用で出勤する行員が全く減らなかった。何としてもクールビズを定着させたい同行では「導入当初の荒療治はやむを得ない」として,行員に内緒で室温を35℃に設定。外気温が35℃に達しない日は暖房を稼動させて室温を上昇させ,あまりの暑さにネクタイを外さざるを得ない状況を無理やり作った。こうした環境の変化が卵と行員を直撃,卵は室温の上昇に加えてモニターの熱まで受けて中心部温度が50度を超えるところまで上昇,結局全滅するという結果を迎えた。また,卵の様子を見守るために毎日交替で職場に泊り込む「ひよこ当番」の行員3名が,熱射病に似た症状で倒れているところを早朝出勤した別の行員に発見され,病院に運ばれるという事故まで発生,こうした事態を受け,同業務に関わっていた行員らは「もはやひよこ孵化業務からは撤退せざるを得ない」と一旦は業務の取り止めを決意した。
一方で,高温にも関わらず「ネクタイを外すと銀行マンではなくなる」と,クールビズに抵抗を続ける行員が多いため,「こうなれば労使の根較べだ」とばかりに同行では室温設定をさらに引上げ,常時暖房を行わないと維持できない室温40℃を実現させた。
そんな劣悪な環境下で働く行員らであったが,この気温を逆手に取ることを思いついた。今度はこの室温とモニター熱を利用して「温泉卵」を作れないか,という新たなチャレンジに行員らは燃え,温水を蓄える容器を多数持ち込み,試行錯誤を開始した。室温40℃とはいえ,通常のゆで卵や温泉卵を作る際の温度からすれば低すぎて無理ではないか,という他部門の冷静な意見にも耳を貸さず,様々な工夫を積み重ね,ついに「塩分濃度を6.5%にした温水容器に卵を入れてモニター6台の熱を注ぎ,24時間経過させると,温泉卵が完成することを突き止めた。
この温泉卵は,24時間という他に例のない長時間を費やした効果なのか,シャッキリ感とトロトロ感という相反する感覚が同居する「奇跡の温泉卵」と呼べる仕上がりになっており,都内の有名ラーメン店が「ぜひ採用したい」と長期購入契約を結ぶなど,ひよこ以上に売行きが良く,18年度からいきなり黒字化が見込まれている。同行では現在,この温泉卵事業を中期経営計画に正式に盛り込むかどうか検討している模様だ。ただ悩ましいのは,温泉卵を作るためには室温の40℃を維持する必要があること。温泉卵の需要が増える冬場に室温40℃を維持するためには。相当な電力を消費することが確実であり,電気代,CO2排出量,温泉卵による収益を総合的に勘案して対応を決めたい,としている。


情報セキュリティ,個人情報保護の観点から,業務上シュレッダーを利用することの多い金融機関であるが,B銀行では文書裁断に擁する時間を劇的に短縮する超高性能シュレッダーを独自開発,運用を開始した。今後外部への販売も視野に入れる予定だ。
同行は徹底した情報管理を行う観点から,行員10名に1台の割合で業務用シュレッダーを配置している「シュレッダー先進企業」であるが,業務の精緻化・高度化により使用する文書量が飛躍的に増大,日々のシュレッダー使用量が半端ではなく,同行ディスクロ誌によれば行員が文書裁断に費やす時間は全行員平均で1営業日あたり4時間22分に及ぶという。部署によっては出勤してから退出するまでシュレッダーしか行っていないケースも散見され,シュレッダー効率の劇的向上が経営上の重要課題となっていた。同行では200ページ以上の書籍も一度に裁断できる工業用シュレッダーも導入してみたが,これでも抜本的な解決にはならなかったため,独自開発に着手することとなったもの。
同行が開発したシュレッダーは,「技術内容は機密事項であり詳しいお話は出来ない」(広報部)としているが,その機能は「段ボール箱4,000箱分の文書を0.1秒で分子レベルにまで分解できる」という,にわかには信じ難いもの。同行地下15階に新設された超大型シュレッダーは,床に大きく開いた穴の下に段ボール箱で最大4,000箱を収容できる巨大な空間が用意されている。この巨大空間は厚さ12m以上の強化コンクリート壁で囲まれており,ここに廃棄対象文書を投入した後,投入口を封鎖,運転室でボタンを操作すると内部の文書が粉砕されるというもの。ボタンを押すと本店ビル全体が大きく振動するというだけあって,威力は十分。その威力の大きさは,米国防総省から日本政府に対して,「東京都内で地下核実験に似た衝撃波を観測したがこれは何か」という照会が来るほどだ。同行では「核エネルギーは利用していない。当行は行員個人用のコンプライアンスチェックリストに『非核三原則を堅持しているか』という項目を掲載しており,そのような事態はありえない」と主張しているが,具体的な粉砕のメカニズムを明らかにしない限り,その疑いは晴れそうもない。