「冷やし中華」全面禁止へ−政界巻き込み大騒動

注意:この記事は,将来起こるかもしれない事件を妄想を交えて記したもので,少なくとも現時点においては全く事実ではありません。実在の人物・団体・事件等にも一切関係ありませんのでご注意ください。



夏の麺料理の定番とも言える「冷やし中華」が姿を消しかねない危機に晒されている。
ことの発端は3日の,在日中国大使館の王毅大使による外務省アポなし訪問。たまたま在席していた麻生大臣に対して「日本には『冷やし中華』という料理があるが,そもそも我が国を「冷やす」とは何事か。侮辱しているとしか思えない」と,大臣も麺食らう,いや面食らうほどの勢いで猛抗議した。麻生大臣は戸惑いながらも「冷やし中華の中華とは料理のジャンルを表すものであり,決して貴国を冷やすことを意図したネーミングではない」と釈明したが,王大使は納得しないまま「本件に対する対処が迅速に取られない場合は我が国として然るべき措置を考えざるを得ない」と言い残して退出。
麻生大臣からの報告を受けた外務省幹部は「明らかに言いがかりとしか思えず,小泉首相靖国参拝問題で日中関係が悪化しているなかで揺さぶりをかけてきているのではないか」との見方で一致。ある意味,問題の根源とも言える小泉首相に対して本件を報告するとともに,対応策についての判断を仰いだ。首相は「私はあまり冷やし中華は好きじゃないから,無くなっても特に困らない」と発言。麻生大臣は国民生活に及ぼすインパクトを懸念して名称の変更等の妥協策を提案したが,「主張すべきものは主張し,譲るべきものは譲る,これが私の外交方針だ。本
件は譲ってもいい話。ただし,譲る見返りとして,中国政府から北朝鮮にミサイル発射を思いとどまるよう説得させることにすればいい」と首相は方針を指示した。
この首相指示を受けて,安倍官房長官が4日の記者会見で「突然の話ではあるが,冷やし中華を食べ続けることは日中関係,ひいては日本の国益に悪影響を及ぼすので是非止めてもらいたい」という異例の国民向けメッセージを発表。これを聞いた国民からは「なんで冷やし中華がだめなのか」という抗議が官邸あて殺到したが,この日の夜8時からの小泉首相による会見で「人間,我慢しなければならないことはどうしてもあるものだ。冷やし中華を捨てることで逆に得るものは必ずある。それは日本の平和だ」と力説したところ,世論は急速に「冷やし中華廃止容認」に傾いた。
しかし納得が得られないのは野党と与党内の反小泉陣営。「日中関係を改善するなら冷やし中華ではなく靖国参拝をやめればよい話。自分の主義主張のために国民の嗜好に犠牲を強いるのは首相として明らかに不適格」という意見で一致,5日には「冷やし中華存続に向けた緊急メッセージ」を発表した。この動きに対して小泉首相は再び得意の「問題すり替え」を実施。「日本の平和と冷やし中華と,どちらを取るのか。ここは国民の審判を仰ぐべきだ」として,異例の国会閉会中の衆院解散を決定,昨年夏の「郵政民営化選挙」に続き,今夏も予定外の「冷やし中華選挙」が行われることになった。
公示は7月中旬,投票日は7月30日となる予定であるが,世論が「冷やし中華禁止容認」に傾いている中,立候補予定者達は何を訴えるべきなのか,非常に悩んでいる模様だ。そんな中,一部週刊誌は「冷やし中華をこっそり食べている福田元官房長官」のスクープ写真を掲載。アジア外交重視をうたう同氏にとっては手痛いスキャンダルとなりつつあり,「早期情報開示が危機対応の鍵」とばかりに,週刊誌発売翌日には福田氏が記者会見に応じ,「過去30年間に福田氏が食べた冷やし中華に関する全記録」として,日時・店・同席者・値段・スープのベース・具材などを詳細に開示した。几帳面な性格の福田氏が朝昼晩の食事内容に至るまで記した日記を保有していた事からこのような開示が可能になったものだが,一部からは「なぜ30年前までしか公表しないのか」「生まれてから全ての冷やし中華歴を開示すべきだ」との批判の声もあり,これで騒動が収まるかどうかは不透明だ。


一方,とんだとばっちりを受けた外食業界は困惑している。都内の中華料理店「長春軒」では,これまで「冷やし中華」として販売してきたメニューを取下げ,代わりに「小麦粉と卵とかん水等で作った麺を冷やして冷たいスープと具を載せたやつ」という新メニューを登場させた。しかしこれについては「規制逃れに近い行動である」という批判的な見方が多く,9日には保健所の立入調査が行われ「衛生管理に問題あり」として無期限の営業停止処分が下された。保健所側では「今回の措置と冷やし中華の件は無関係」としているが,「官邸の逆鱗に触れたがための『別件逮捕』」との見方が専らだ。


こうした一連の動きは,他の食品にも影響を広げつつある。ポルトガル政府は10日,在日大使館を通じて宮崎県の名物料理である「チキン南蛮」について,「なぜ我が国を指す『南蛮』と,弱虫を意味するチキンを並べた料理名にしたのか」「そもそも我が国を表すのに『蛮』という表現を用いるのは侮辱に当たらないか」という公開質問状を日本政府および宮崎県庁に送付した。政府は「質問の真意は分からないが,今回のW杯準々決勝でイングランドに敗れた腹いせではないか。なぜ日本に八つ当たりするかは分からないが」(政府首脳)とやや戸惑いながらも様子見に徹する方針だ。
一方,好意的な反応を示す先も少なくない。タイのプミポン国王は11日の定例記者会見で「タイすき」という料理名に言及,日本国民に対して「我が国を好きと言ってくれてありがとう」という異例のメッセージを発表した。また,ロシアのプーチン大統領も10日の記者会見で日本の菓子「シベリア」(羊羹をカステラ生地ではさんだもの)に言及,「甘くておいしいお菓子にシベリアという名前をつけていることは,我が国と日本の友好に寄与すると考えている。ちなみに私の3時のおやつの定番にもなっている」と好意的な見方を示した。


日本の平和よりも冷やし中華を取るべきと主張する国会議員らが「国民冷やし中華新党」を結成する等の動きはあるものの,冷やし中華選挙の行方がどうなるか,そしてこれらのどうでもいい議論がいつまで続くのか,世間の関心はあまり高まっていない。