夏休みの小学生の宿題に異変−「学校では教えてくれないこと」を学ぶ子供達


注意:この記事は,将来起こるかもしれない事件を妄想を交えて記したもので,少なくとも現時点においては全く事実ではありません。実在の人物・団体・事件等にも一切関係ありませんのでご注意ください。



子供達の夏休みもいよいよ終盤。
今年の夏休みの宿題の主流と言われているのが,家庭で学んだ「学校では教えてくれないこと」をレポートにして提出する,というもの。家庭における教育の重要性が再認識されている昨今,学校教育と家庭教育をつなぐ試みとして,PTAの理解を得て取組みが広がったもの。「家系図を作る」「近所に住んでいる人に自分が生まれる前の地域の様子を聞く」など,目論見どおりのレポートも数多く生まれているようだが,中には想定外のレポートも作成されている。本日はそんな,想定外の小学生レポートの一部を紹介する。家庭におけるお子さんの教育の反面教師としていただければ幸いだ。



○「パチンコCR機のひみつ」<岩手県盛岡市田布施和人くん(10)>
最近のパチンコ機の名称についている「CR」とは何だと思う?という父親の問題提起を受けて,和人くんが取り組んだレポートだ。学校で教えないのは間違いないが,こんなテーマを選ばせる父親のセンスに唖然とする一方,和人くんのレポート内容もなかなかの力作になっている。
CRがプリペイドカード使用のための「Card Reader」の略であることはすぐに調べ上げた和人くんは,それだけでは飽き足らず,「なぜプリペイドカードが必要になったのか」というところから現代のパチンコ産業に関する詳細な分析を展開,巨大娯楽産業の光と影をくっきりと浮かび上がらせた見事なレポートとなった。



○「接待のマナー」<東京都品川区・五島裕樹くん(11)>
広告代理店のD通に勤める裕樹くんの父親が最近痛感しているのが「最近の新人は,接待のマナーがなっていない」ということ。取引先を接待するため,部下の新人を連れて高級和食店に入ると,その新人がさっさと上座のど真ん中に座って悠然とタバコをふかし始めるなどの「武勇伝」が社内にあふれているという。こうした現状から「自分の息子には早いうちから接待マナーを覚えてもらいたい」と,裕樹くんにレポート題材として提案したもの。
子供の世界にはない「接待」という概念に興味を持った祐樹くんは,父親の教える「宴席における座席順のルール」「スマートなお会計の仕方」などの基本編から,「先方がお土産を用意しているのにこちらが用意していなかった場合のリカバリー術」「接待相手のうちキーマンだけを2次会に連れ出すテクニック」「3次会を設営すべきかどうかの見極め方」「接待翌日以降のフォローアップ」などの応用編までを次々にマスターした。
8月18日には「実習」と称して,父親が行う接待に同行。銀座5丁目での1次会の後,「近距離だから嫌だ」と渋るタクシーを3台確保して2次会会場の銀座7丁目「ラウンジ冥王星」に送り出し,また「ラウンジ冥王星」では,D通に古くから伝わる伝統的な宴会芸「ワルシャワの一夜」を接待相手の前で完璧に披露,「子供なのに感心だ」と,接待相手から数万円のお小遣いをもらうなど高い評価を得た。
こうした一連の接待トレーニングの過程をまとめた祐樹くんのレポートは,「大人の世界を教えてくれるレポート」として同級生に大人気だという。
「私も接待して」という女の子からのアプローチが急増したという祐樹くんの将来が若干心配だ。



○「夏休み中の学校の先生は何をやっているか」<広島県呉市・田中仁史くん(9)>
「約40日という長い夏休みの間,学校の先生は本当のところ,何をやっているのか」という,これこそ学校では絶対に教えてくれない謎にチャレンジしたのが仁史くんとその母親。
小学校教師を志したが,理由あってエアロビクスのインストラクターとなり,職場結婚して今日に至っている母親にとって,憧れの職業の実態を調べてみたいという強い動機があった。そんな二人が行ったのが,夏休み40日間,仁史くんの担任であるT教諭(37)を徹底的に尾行すること。
公式には夏休み中も学校に出勤し,2学期以降の教材研究や指導方法の研究等を行っていることになっているが,仁史くん母子が暴いたのは,T教諭が学校で終日高校野球中継に夢中になっている姿や,「週刊大衆」などを読みふけって時間を潰している姿。仁史くん母子によれば,「真面目に机に向っている先生も少なからずいた」というので,教師全員が問題だということではないが,こうした事実を目の当たりにした仁史くんは,40日間のT教諭の行動を逐一レポートにまとめた上で,レポートの最後を「先生っていいな,と思いました」という結論で締めくくっている。
原稿用紙で120枚という力作のレポートだが,9月1日に担任であるT教諭に提出したところ,なぜか教諭がこのレポートを「紛失した」と説明,その内容が日の目を見ることはなくなった。悔し涙にくれる仁史くんは「今度は冬休みの実態を調べる」とリベンジに燃えている。