未来予測本のブーム続く−ドクター中松の話題の新刊もヒット(2002年)


注:このコーナーは,1998〜2005年の「日本警戒新聞」に掲載されたバックナンバーの一部を紹介するものです。記事内容については他の記事同様,相当多量の偽情報が含まれていますのでお気をつけください。また,登場する企業名・団体名・個人名は実在のものとは関係なく,かつ時代の変遷と共に変化・消滅しているケースもありますのでお気をつけください。


ピーター・タスカ「カミの震える日」や堺屋太一「平成三十年」など,日本の近未来を予測した書籍が次々と発売されているが,そんな中で日本のはるか未来を予測したドクター中松の新刊が発売2週間で60万部を売り上げるなど,予想外のヒットを記録している。
話題の新刊はドクター中松著「平成7999年」(全5巻・国書刊行会)。
中松氏が3年以内に発明する予定の「中松式ミラクル不老長寿薬」を日本国民全員が服用するところから始まるこのシミュレーション小説の舞台は,今から7,985年後の平成7999年の日本。
少子高齢化現象が一段と進展し,中松氏の不老長寿薬の効果もあり日本人の平均年齢が8,050歳に達し,天皇陛下の在位もまもなく8,000年に達しようとしていた。この間,世界は激動,5000兆を超えた地球上の人口爆発を嫌って平成6000年にはアメリカ合衆国が全国民ごと火星への移住を果たし,中国と台湾の「2つの中国」問題は,台湾島地殻変動により遠くインド洋に離れていったことで自然消滅していた。
そんな中で日本だけは構成する人間が平成初期から変わっていないこともあり,時の流れが止まったかのような日々を続けていた。皇室ご一家は誕生日のたびにご会見を開いていたが8,000回も繰り返してきたことから,深刻なネタ切れに悩んでいた。
国民の娯楽面では引き続き映画が人気を集めており,この年公開された「釣りバカ日誌8856」は釣りバカシリーズ史上第235位の550億円の興行収入を記録。一方経済面では,日本経済の先行きに対する不安感がいまだ拭えず,日経平均株価は高値12,000円・安値10,000円のボックス相場から8,000年近くにわたり抜け出すことが出来ずにいた。
在任8,000年近くになる小泉純一郎首相も相変わらずまさにゾンビのような抵抗勢力の妨害に四苦八苦の毎日を送り,支持率は3%台前後で低迷。ただ,世代交代が完全に途絶えてしまった日本では有力な後継者も現れず,閉塞感漂う中で首相の座にとどまっていた。

現在とあまりに変わらない遠い未来を淡々と描いたこの小説のクライマックスは,平成8000年に小惑星が日本列島に衝突し全土が海面下に没するというもの。不老不死となった日本人は,それでもそのまま海中で変わらぬ暮らしを送るというラストシーンについて,この小説を読んだという小泉首相は「日本という国に本当に改革は根付くのか,またそもそも必要なのか,考えさせられた。しかし8,000年も首相はやりたくないね」と苦笑い。

ドクター中松氏はこの小説で得た印税を全て,予告した「中松式ミラクル不老長寿薬」の開発費に充てるという。中松氏久々のヒットとなった今回の小説に続く連続ヒットとなるか,注目されるところだ。