各業界,続々「本人確認」導入へ−吉野家も3月から


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1月4日からATMでの現金振込取扱い(10万円超)が停止されたが,テロ・犯罪防止のために,金融機関以外の業界でも本人確認の取組みが強化されてきている。
従来,顧客に本人確認を求める行為は,プライバシー保護に抵触するとして慎重姿勢を見せる業界が多かった。しかし近時,取引や行為の匿名性がもたらす弊害がクローズアップされ,そうしたなかで食品トレーサビリティへの関心の高まりやSNSソーシャル・ネットワーキング・サービス)の隆盛を見て,「安全や安心の確保のために匿名性を一定程度犠牲にするのは社会的に容認される」という判断が一般化してきた。こうしたことを受けて,各業界での取組みが本格化してきたものと見られる。
金融機関の取組みが主に犯罪関係資金の洗浄を防止する点にあるのに対し,その他の業界における取組みの基本的なスタンスは,「犯罪者が自らの特徴を消したり,変えたりする動きを阻止する」というもの。こうした疑いのある取引を行う顧客に対しては,本人確認とともに,取引を行う理由についても尋ね,記録に残すのが一般的だ。
東急ハンズ各店では,1月4日からパーティ用グッズ売り場で,変装用の全身着ぐるみ等を購入する顧客に対して本人確認および「購入理由書」の提出を求めている。新年会で使う「イノシシの着ぐるみ」を購入するために池袋店を訪れた会社員の真田功一さん(27)は,こうした手続が必要になったことを知らずに来店した顧客の一人。真田さんは店員の求めに応じて運転免許証を呈示,その後渡された「購入理由書」に,「文字で書かされるとすごく恥ずかしい」と戸惑いながらも,使用する場所と日時,着用予定者,宴会の出席予定者,予定するBGMと振り付け,すべった場合の善後策等を丁寧に書き込んで提出していた。
東京地区百貨店協会では,顧客が明らかに不似合いな衣服を購入しようとする場合,本人確認と購入理由の説明を求めることを申し合わせ,2月1日から適用することを発表した。衣類は,変装のための手っ取り早い手段であり,その分,犯罪者の「隠れ蓑」となってきた面があるのも事実。これまでは不似合いな服であっても,お世辞を交えつつ販売実績確保を優先してきた。しかし,「時代の流れを踏まえ,これからは似合わないものは似合わないという勇気を持った営業」に転換することにしたもの。同協会によれば,これまで,商品を試着した際に店員から「個性的」「大胆」「見違えるよう」などの言葉をかけられたことのある顧客は,要するに似合っていないということであり,今後本人確認が必要になる可能性があるという。
大手カレーチェーン店の「CoCo壱番屋」では2月1日から,ライス量で500g以上の大盛を注文する顧客に対して本人確認と注文理由を店員が確認する旨の張り紙を全店に掲示,顧客の理解を求めている。同社が大盛注文客の本人確認に踏み切った理由は,「大食いしてわざと太り,容貌を変えようとする取組みを阻止するため」だという。「何もそこまでしなくても」という社内の声もあったというが,「長期間にわたり逃亡する犯罪者の発見が難しいのは容貌の変化があるから。当社としてそのようなことをほう助するわけにはいかない」との経営判断で踏み切ったもの。
ただ難しいのは顧客への注文理由の確認方法。大半の顧客は「腹が減っているから」と回答する可能性が高いが,これでは抑止効果が期待できないので,「腹が減った理由(本日一日の行動および食事内容)」「体重増加についての考え方(ダイエット意識の有無確認)」などを必須確認項目とする予定。ただ,店員の尋ね方によっては顧客を激怒させる可能性があるため,「こんなに食べてどうするんですか」などと尋ねてトラブルを起こすことのないよう,従業員教育を徹底させる方針だ。
また,この取組みを受けて「同じ外食業界として対応せざるを得ない」と判断したのが牛丼販売を再開したばかりの吉野家。同社では,3月以降,牛丼の全日販売がスタートした後,大盛・特盛を注文する顧客に本人確認と注文理由を求める予定だ。「腹が減っては戦が出来ぬという諺があるが,逆に食べ過ぎると余計な戦に走りがち」という安倍社長の決断だが,懸念されているのはリピーターの多い吉野家ファンが本人確認手続を嫌って離れていかないかという点。そのため,同社では「会員制」組織の立上げを検討する予定だという。徹底した本人確認を受けて発行される写真付き会員証を呈示すれば,都度の本人確認手続が免除されるという制度。この会員証発行に合わせて,牛丼業界では初の「マイレージサービス」も開始,牛丼1,000杯で「シルバー会員」,5,000杯で「ゴールド会員」,100,000杯で「ダイヤモンド会員」になれるサービスを開始する予定だ。ダイヤモンド会員には「生涯牛丼食べ放題」という特典が与えられるなど,顧客にとっては魅力的な制度とするべく今後詳細が検討される予定だ。なお,本人確認を回避するため並盛を2杯食べるような行為は「疑わしい取引」として管理・記録対象となり,最悪の場合吉野家全店で出入り禁止処分を受ける可能性があるから注意が必要だ。
ティファニーなどの宝飾品店,日焼けサロン,ケーキショップ等,このような動きはさらに広がりを見せることが予想されるが,市民生活にどの程度受け容れられるのか,注目が集まっている。