警備保障各社の新サービス続々(2001年)

注:このコーナーは,1998〜2005年の「日本警戒新聞」に掲載されたバックナンバーの一部を紹介するものです。記事内容については他の記事同様,相当多量の偽情報および今日の状況に合わない情報が含まれていますのでお気をつけください。



深刻な景気低迷下で唯一業績を伸ばしている警備保障各社だが,新規参入が続いていることもあって,新サービスの提供を拡充する戦略に出ている。



業界最大手のセコムが今年3月からサービスを開始したのが「カラスdeセコム」。

割安な機械警備が主体の同社だが,一般のサラリーマン世帯にとって気軽に利用できるところまでは来ていない。そこで目を付けたのが石原都知事の天敵であるカラス。

カラスを大量に捕獲して訓練を施し,契約家庭に配備して警備に当たらせるという荒唐無稽とも言える案だったが,カラス退治に苦戦している東京都にとってはまさに渡りに舟。害獣を益獣に転化するというアイデアに「都も全面協力する」と表明。

最大の懸念であるカラスの訓練については,根性の曲がった若者達の教育指導で実績を挙げた東京都の教職員を大量に派遣。既に第一期生三百羽の訓練は無事完了し,いずれも「セコムの名を冠するにふさわしいレベルの警備能力・営業能力を身に付けた」(同社広報部)。


ただ,いくら警備能力が高いとはいえ,「真っ黒なカラスに家を守られるのはいや」という顧客の声も少なくないことから,訓練を終了したカラスは全てレインボーカラーに塗りかえられ,両翼にはセコムマークが刻印されている。

東京都の補助金が出ることもあり,1ヶ月あたりの基本料金はわずか1500円という激安ぶり。これが受けて,既に契約申込み数は10万世帯に上っており,現在はカラスの訓練終了待ち状態だという。カラスが撃退ないし逮捕のきっかけを作った犯人検挙も既に50件を超えており,今後のさらなる活躍が期待される。



総合警備保障が9月に発表し,爆発的な人気を集めているのが「ホームガードマン柔(やわら)くん」。

ソニーのAIBO,ホンダのASIMOなどのロボット技術に田村亮子選手の柔道技術を合体させた警備専用ロボットだ。


外見はどこからどう見ても田村選手にそっくりの「柔くん」だが,その警備能力は本物以上。

半径30メートル以内の生体反応を確実にキャッチし,気付かれることなく不審者に接近,敵であることを検知すると直ちに柔道の技で撃退する。その威力は投げられた不審者の半数が骨折するほど。

「柔くん」は,マンション等であれば室内に一体を配置し,戸建て住宅の場合はおおよそ20坪に一体の割合で庭など家屋周辺に配置する。大邸宅で10体を超える「柔くん」が庭先をうろうろ巡回する景観はなかなかのものだ。

戸建て住宅用の「柔くん」には,巡回中に庭の手入れをする機能が付いた豪華版「ガーデニング柔くん」もあり,こちらも好評だ。



警察庁関連団体の(社)警察友の会が,特殊法人改革のなかで生き残りをかけて警備保障業界に参入,その切り札としているのが「下宿刑事(デカ)」。

その名のとおり,現役の刑事を契約家庭に下宿させるもので「何といっても安心感が違う」と契約希望世帯が急増中だという。

料金はゼロで,代わりに下宿代(朝・夕食込み)を無料にするという契約だが,負担感がないためかこれも非常に好評だ。

契約世帯には,玄関に「刑事下宿中」のシールが貼られており,これだけでも防犯効果は抜群だ。

警察では,刑事の下宿に伴い不要になった官舎を売却する方針で,「財政再建に一役買っている」と強烈にアピールしたい意向。悩みは「刑事の供給が追いつかないこと」と贅沢だ。



今後の各社のサービス競争が注目される。