「安全」と「高騰」の間で揺れる食糧問題−米大統領選にも微妙な影響

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穀物をはじめとする食糧価格が高騰する一方で,食の安全性に関する問題も深刻化しているなか,これらをめぐる象徴的な出来事が連続して起こっている。



「毒入り餃子事件」を機に,消費者の間で輸入食品に対する極端な危険視・忌避ムードが強まっていることを危惧した政府は,「食の生産・流通・消費はグローバルに繋がっており,受入れざるを得ないこと」を理解してもらうためにテレビCM
を作成,放映することを決めた。

2月5日,成田空港はCMに出演する各国要人の来日ラッシュとなった。米国からはライス国務長官スーパーチューズデーの激戦を終えたばかりのヒラリー・クリントン上院議員インドネシアからはユドヨノ大統領,ルクセンブルクからはユンケル首相,イタリアからはナポリターノ大統領など,そうそうたる顔ぶれだ。

都内・南青山の撮影スタジオに入った一団は,ここではじめてCM内容の説明を受けた。炊きたてご飯,栗きんとん,スパゲッティナポリタン,滋養強壮ドリンクなど,それぞれの名前から想起される飲食物が大きなテーブルの上に並んでいて,これを一行がにこやかに飲み食いしている光景をメインにするというこのCM企画は,日本の事情を解さない彼らにはほとんど理解できなかったものの,高いギャラを受け取った彼らが断るわけもなく,撮影は順調に進んだ。

ユドヨノ大統領のフルネーム「スシロ・バンバン・ユドヨノ」にちなんで,職人がバンバン握っていく寿司を食べたクリントン上院議員は,たっぷり入ったワサビが効いたのか,選挙戦開始以来3回目の涙を見せるというハプニングも発生。「このワサビはすばらしい」と撮影終了後,クリントン上院議員は,さっそく伊豆・天城産の本山葵20本を購入して米国に持ち帰ることにした。

過去2回の涙はいずれも選挙戦にプラスに働いており,今後,選挙戦の要所でこの山葵を使った「涙作戦」を展開するものと見られ,オバマ陣営にとっては脅威になりそうだ。

このCMは12日から放映される予定だが,試写を見た関係者は全員「果たして製作者の意図が伝わるのか」という疑問を口にしており,ごく短期間の放映に終わる可能性も高そうだ。





2月2日午後,シカゴ・アトランタなどから成田に到着した便には,屈強そうな米国人男性の姿が多く見られた。

彼らは日本入国後,東京都内には向わず,そのまま成田市内のホテルにチェックイン,その後会議室を借りて深夜まで打合せを実施。

翌2月3日,彼らが30台の大型トレーラーとともに姿を現したのは,成田市内にある成田山新勝寺。そう,彼らの狙いはこの日開催される節分の「豆まき」だ。


「日本では2月3日に,全国各地で大豆を無料でプレゼントする大々的なフェスティバルが開かれる」という情報を聞きつけた彼らは全員,大豆・コーンなどを手がける穀物ブローカー。彼らは,バイオエタノール原料として価格が高騰する大豆を少しでも安く手に入れるため,全世界に情報網を張り巡らせており,その網に引っかかったのが日本の「節分」の情報。


米国に持ち帰るための大型の貨物船をチャーターしている彼らの目標獲得量は,200万ブッシェル(約5万4000トン)。意気込んで成田山新勝寺に乗り込んだ彼らは,メインゲストである朝青龍白鵬の両横綱が姿を見せると興奮して「大豆プリーズ!」などと大歓声を上げた。


しかし,実際に豆まきが始まると,思いのほか少ない散布量に愕然。しかも,豆まき自体はわずか15分で終了してしまったため,結局450名がかりでゲットできたのはわずか3kg(約0.1ブッシェル)。あまりの惨憺たる成果に「地面に落ちている大豆も全部拾え!」と,深夜23時までかかって全ての大豆を拾い集めたものの,それでも結局1ブッシェルにも満たない量しか集まらなかった。


傷心の彼らが1ブッシェルの大豆とともにガラガラの貨物船に乗って帰国の途についた4日,全国各地のスーパーでは,売れ残った福豆などの大豆を定価の10分の1以下で叩き売る大処分セールが開かれていた。

一方,彼らが日本から持ち帰ると公言していた200万ブッシェルが泡と消えた情報を入手した米国のブローカーらは慌てて在庫の手当に走り,その影響で大豆価格が1ドル以上も上昇するという「おまけ」をもたらすこととなった。


3月のひな祭りには何を狙ってどのような集団が来日するのか,そしてそれが世界をどのように動かすのか,「人形の久月」をはじめとするひな祭り関係者は固唾を飲んで動向を見守っている。