ブームが生んだ規格外れの「弁当」を追う


注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。


昨今,弁当ブームが広がるなかで,あまりにも「自由」な弁当を持参するサラリーマンが増加し,厚生労働省等では何らかの対応をとるべきか,検討を始めている。


昨年来の本格不況を受け,生活費を切り詰めようという動きが広く見られるようになっており,昼食代を節約しようというサラリーマンらが弁当を持参するケースが多くなっている。
工夫次第でコストを大きく下げることも可能であるほか,自分の好みに合わせた弁当を持参することが出来ることも,ブームの背景となっている。


そうしたなか,従来の「弁当」の概念をはみ出すものを持参する輩も急増しており,それぞれのオフィスでは当惑が広がっている。



学生時代に体育会で鳴らしたという,大手商社勤務のAさん(38)は毎朝,銀色に輝くジュラルミン製の大型アタッシェケースを提げてオフィスに向かう。
この容量9.6リットルのアタッシェケース自体がAさんの弁当箱だ。
ご飯の量は1升4合,おかずは意外とシンプルに1,2品だが,「日の丸弁当」の場合には梅干75個を使って直径25cmの「日の丸」が描かれているというからまさに横綱級。
Aさんの好物の鶏肉の場合には,ご飯に若鶏の丸揚げ2羽分が埋め込まれており,たまたまこの弁当を目撃した同僚の中にはショックで気絶した人も出る始末だ。
ただ,量が多い分,体育会系とは言え完食するまでに2時間を要しており,上司からは「所定の休憩時間内に食べ終えるように」というきつい注意を受けているという。「食べ物はよく噛んでいただくべきであり,時間を短縮しろというのはおかしい」とAさんは憤慨するが,周囲は「量が多すぎるのが問題」と冷たい視線を浴びせている。



直径25cm程度の丸い弁当箱に魚・肉・野菜などを詰め込んで出勤するのは電機メーカー勤務のBさん(31歳)。
お昼になると,この弁当箱に水と出汁を入れて,オフィスに持ち込んでいるカセットコンロで加熱して「寄せ鍋弁当」が完成する。
Bさんの悩みは,同僚と一緒に弁当を食べ始めても,鍋が沸騰するまで20分程度時間がかかるため,鍋が完成する頃には皆,各自の弁当を食べ終えて席を立ってしまうこと。
誰もいなくなった休憩室で黙々と鍋をつつくBさんは,「寂しいが,野菜がたくさん摂れるので今後も続けたい」と話している。



勝手に動き出す弁当箱を持参しているのはスポーツ衣料メーカー勤務のCさん(29歳)。
蓋を開けると納得,何とも新鮮な「鯛の活造り弁当」の登場だ。
早朝に調理して昼まで生きている鯛の生命力にも驚くが,調理師免許も持つCさんにしてみれば「ちょっとしたコツがあるだけですよ」ということらしい。
鯛や伊勢海老,スルメイカなど毎日違った活造りが登場するCさんの弁当は間違いなく職場で最も注目されている弁当だが,「近くで食べていたらイカに墨をかけられた」等の被害が発生しているため,同僚らは遠巻きにしてCさんが活造りを食べる様子を見ているという。



弁当を食べた後,急激に元気を回復し,異様な勢いで営業に出かけていくのは中堅繊維商社に勤務するDさん(33歳)。
同僚たちも「お昼を食べたら元気になるなんで」と当初は彼の活躍を微笑ましく思っていたが,あまりにも午前と午後で様子が異なるため,こっそりDさんの弁当箱を持ち出し,食べ残しを検査したところ,予想外のステロイド系薬物が検出された。
営業から戻ってきたDさんに事情を確認したところ,「どうも仕事がはかどらないと妻に愚痴をこぼしたら,それ以来弁当に『ステロイド炊き込みご飯』を入れてくれるようになった」と供述。
同社では,法令に直接触れる行為ではないものの,長期的には社員の心身を蝕む可能性があることから弁当への薬物注入を禁止,Dさんのここ3ヶ月間の営業成績は業績評価上全て抹消されることとなった。同社では毎日,社員10名程度を抜き打ちで選び,「弁当ドーピング検査」を実施するようになっている。



このようにバラエティに富んだ弁当の出現が,各企業の業績や社員の士気・健康にどのような影響を及ぼすか,経済産業省厚生労働省は注視を開始しており,弁当に何らかの規制を加えるべきかどうか議論がなされている模様だ。

どのような結論が出されることになるのか,弁当ファンらは固唾を呑んで見守っている。