仏像ブーム,金融界にまで波及


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仏像ブームが金融界にまで大きな影響を及ぼそうとしている。



現代の仏像ブームの起点は,1993年にみうらじゅんいとうせいこうが共著で出版した「見仏記」であるとする説が一般的であるが,今日に至るまでそのブームは比較的限られた層の「静かなブーム」にとどまっていた。
見仏記 (角川文庫)
しかし,東京国立博物館で現在開催中の「国宝 阿修羅展」が50万人を超える入場者を集めるなど,昨年後半以降,一気に爆発的な仏像ブームが広まっている。
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そうした中,金融機関もこのブームから逃れることが出来ず,困惑の色を濃くしている。



現在,各金融機関が直面しているのが,日本各地で計画されている「大仏建立」ブーム

仏像ブームに乗って経済活性化を実現しようと,各地の商工会議所などが主導する形で仕掛けられているものだ。
現在確認できているだけで,北海道千歳市岩手県花巻市群馬県桐生市・長野県松本市三重県いなべ市徳島県鳴門市など,全国38箇所で大仏建立プロジェクトが立ち上がっている。
現代建築技術の粋を集めた,東京からも見えるという「那須ギガMAX大仏」(体長1,280m・栃木県那須町)を筆頭に,全38体の建立に必要と目される費用は総額1兆7,600億円と試算されている。

これらのプロジェクトに例外なく資金面での協力を求められているのが地元金融機関やメガバンクなどだ。

那須ギガMAX大仏」プロジェクトの場合,9金融機関に要請された融資希望総額は合計8,200億円という超大型案件。寄附金・寄進や完成後の拝観料収入を償還財源に充てる計画だが,金融機関サイドでは「本当にこんな多額の寄付や拝観料収入が確保できるのか」という懸念を強く持っている模様だ。

プロジェクトを主導する那須町商工会議所では「必要とあれば完成後の大仏を担保に差し入れてもいい」としているが,足利銀行では「大仏の担保価値はまさに神のみぞ知るところ」(審査部)と難色を示している。

このほか,「天罰を恐れて自己査定が甘くなるのではないか」等,様々な議論が各金融機関内でなされており,各行の対応には差が出ることになりそうだ。



仏像ブームに別の形で乗ったのが金融庁

本年7月1日から施行される改訂版金融検査マニュアルにおいて,法令等遵守態勢のチェックリストに「ベスト・プラクティス」扱いながら,「役職員の不祥事実行に対する心理的障壁効果を高めるため,オフィス内には役職員1名につき1体以上の仏像を設置することが望ましい」という項目を追加している。

奈良県に本店を持つ南都銀行では,「仏像のふるさと・奈良の銀行として,他行に先を越されるわけにはいかない」として,早速本店ビル内に,本店行員数の3倍に当たる3,900体の仏像を配置した。

仏像の調達にあたっては,同行の「仏像愛好会」が中心となり行員を対象とした「好きな仏像アンケート」を実施,人気上位30種類の仏像(レプリカ)をふんだんに配置した。

結果的に同行本店ビル内は「行員が動く隙間もないくらい」(同行行員)にぎっしりと仏像が林立することとなり,同行を訪れる顧客らは「まるで京都の三十三間堂のようだ」と感嘆している。

肝心の不祥事防止効果については「阿弥陀如来の目が気になってついつい襟をただしてしまう」という声がある一方で,「仏像が多すぎて隣の行員が何をしているか全然見えない」「行内を移動中に頭が千手観音の手に激突,負傷した」などネガティブな事例も少なからず発生しているという。

他の大半の金融機関は,この南都銀行の取組みが定着するかどうかを見極めたうえで導入の是非について検討する意向だ。



百年に一度とも言える「仏像ブーム」が今後,実体経済にどこまで波及することになるのか注目が必要だ。