異色のお中元商戦スタート


注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。


今年のお中元商戦は,個人所得が低迷する逆風下でスタートしたが,少しでも売上げを伸ばすべく,各百貨店から思い切った新商品・サービスが打ち出されている。



西武百貨店池袋店が打ち出した今年の目玉商品は,「生涯一括早割サービス」だ。

同店では例年,比較的混雑しない6月前半にお中元を申し込む顧客に「早割サービス」として,配送料無料・代金の5%引き等を行ってきた。

しかし,各百貨店とも同様のサービスを開始しており,新鮮味がなくなっていることから,今年は思いきって「今後50年間のお歳暮・お中元の継続発送サービス」という,究極の売上げ先食い作戦に打って出た。

50年のサービス期間中,毎年お中元・お歳暮を自動的に配送するサービスで,送り主・受取人のいずれかが死亡した時点で送付が中止されるという特約が付いており,現時点で現金一括払いをすれば,50年分の代金総額が8割引になるという驚異的なディスカウント率を実現している。

同店によれば,割安感が受けて発売開始から2日間ですでに25件,計350万円の売上げを記録したという。

しかし顧客の大半は,店員のセールスを受けても「今後50年間もお中元を贈り続けるだけの交際が続くかどうか確信が持てない」「50年後に贈る商品を今選べと言われても・・・」と尻込みしている模様だ。



個人情報保護の影響で,贈りたい相手の住所や嗜好が分からないことも近年の贈答需要低迷の一因とされている。

このハードルを乗り越えるために「贈りたいあの人の住所と好みを調べます」サービスを提供するのが高島屋新宿店だ。

これは,日本国内50箇所の興信所・探偵事務所と提携し,贈り先の住所および嗜好を徹底的に調べ上げたうえで最適の商品を発送するというものだ。


送り主・受取人双方に便利なサービスのように見えるが,探偵事務所の頑張りが逆に問題になっているケースも出てきている。

某大手企業の執行役員を務めるAさん(48)は,同社経営のキーマンとも言われる人物であるため,お中元を贈りたいと申し出る取引先が後を絶たないが,Aさんは一切住所等を明かしてこなかった。

そうした中,このサービスを利用したのが,Aさんに好印象を与えたい取引先のBさん(52)。

高島屋はBさんからの注文を受けて,Aさんの住所と嗜好を調べるよう「東京まぼろし探偵事務所」(東京都墨田区)に依頼した。

同事務所にとっては初の受注案件であったため懸命にAさんの身辺を洗ったところ,神奈川県藤沢市内の自宅のほかに,家族に内緒で契約している都内・神楽坂のマンションがあり,こちらにほぼ毎晩出入りしていることを発見。

また,このマンションの周辺のコンビニに1週間張り込んだ結果,Aさんが毎晩のようにアイスキャンデー「ガリガリ君を購入していることまで突き止めた。

それから3日後,誰にも教えていないはずの神楽坂のマンションにクール宅急便でBさんから「ガリガリ君詰合せセット」を届けられたAさんは,ショックを受けるとともに激怒,Bさんに対して出入り禁止を通告するという結果に。

高島屋では「顧客のプライバシーに踏み込みすぎた案件であり,今後反省したい」としている。



コンプライアンス上の問題から受領を辞退するケースが多いこともお中元低迷の一因とされているが,これに対してお中元の概念を打ち破るサービスを開始したのが三越日本橋本店。

「おそらく世界初」(広報室)という「代金全額受取人払いお中元」が問題のサービスだ。

送り主は送りたい商品と受取人の住所氏名を連絡すれば,あとは三越が配送を行い,送料込みの代金を受取人から回収するというシンプルなスキームだ。

官公庁や一部企業などからは「なぜ今までこのようなサービスがなかったのだろう」と大歓迎されているものの,「もはやお中元ではなく単なる迷惑ではないか」との意見も出ている模様だ。


懸念されるのが受取拒否だが,同店によればこれまでの受注案件590件中,受取拒否に終わったのは「わずか7件に過ぎず,大半は受取人からの代金回収に成功している」という。

その原因について,同店では「代金支払・受取を拒否するとその結果が送り主に通知されるため,『セコい人だと思われたくない』という心理的プレッシャーが働いているのではないか」「配達サービス員が,受取を渋る顧客に対して『拒否されると持ち帰ることになり,運送重量が増えるうえ,包装のやり直しも必要になるなど環境負荷が非常に高くなる』などと説得して受け取ってもらうケースも少なくない」と説明している。


このサービスが広く定着した場合,東証一部上場企業の役員であれば1回のお中元シーズン平均で250件・代金ベースで550万円程度の負担が生じることになるという試算(野村総研)も出ており,「これでは生活できない」という悲鳴もあがっている。


衆院選を控えた自民党民主党では,公職選挙法に触れないこのサービスに着目,「麻生太郎」名や「鳩山由紀夫」名で有権者全員に対してお中元を発送することを計画している模様だ。


政局をも左右しかねない今年の中元商戦には特に注目が必要だ。