日本人のパスポート、大幅増頁へ−入国管理法改正案関連で


注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。


今国会最大の争点となっているのが、外国人労働者の受入等をめぐり議論されている、入国管理法改正法案だ。
法律の運用詳細が未定のまま国会審議に付されていることや、前提となる事実関係調査の誤り等もあり、「拙速だ」とする野党の徹底抗戦を受けるなど、参議院に議論の舞台が移った後も、引き続き激しい論戦が予想されている。
そうした入国管理法改正法案と一括審議されている旅券法改正法案の中に、これまで国会議員が全く気付かなかった論点が含まれていることが明らかになり、新たな火種になるのが確実となっている。
それが「顔認証システムへの対応」を理由とする、旅券の頁数の大幅拡大だ。



顔認証は、その精度の向上とともに安全性の高い認証システムの一つとして、現在では様々な場面で活用されるようになっている。
ビル等の入退館管理、決済サービス等でも利用されているが、今年から本格運用に入った、顔認証システムによる出入国手続(日本人が対象)がその代表格だ。
これは、パスポートの顔写真と所持者の顔をチェックして、同一人物であることを判定するもので、既に羽田・成田・関西・中部・福岡の5空港で運用が開始されている。
現在は認識精度上の問題もあり、システムで同一人物と判定できない場合は有人審査を行うこととされているが、この精度を大幅に向上させ、有人審査自体を完全廃止させようというのが、今回の旅券法改正の理由だという。
具体的には、旅券に掲載する本人写真を現在の1枚から5,000枚に増やし、顔認証の精度を飛躍的に高めるというものだ。


現在の旅券取得においては、自ら撮影した写真を持参する形となっているが、改正旅券法では、取得希望者は全国50か所程度に設置される予定の「旅券本人写真撮影センター」に出頭する必要が生じる。
そしてこのセンター内の個室で60日間過ごすことが義務付けられ、様々なシチュエーションでの写真を撮られることになる。
通常の表情はもちろんのこと、喜怒哀楽の感情を激しく刺激するビデオを見せられて、感情が顕わになった様々な表情も自動的に撮影される。
加えて、60日間の間に実に100種類超の髪型での撮影も行われ、メガネ・ヒゲ・鼻ピアス等を付けた状態でもまた撮影される。
さらには、パスポート有効期間の10年内に想定される体重の増減を踏まえ、最初の10日間は絶食して体重が10kg以上落ちた状態で撮影、その後の30日間は連日6,000キロカロリーを超える大量の食事を摂ることを強要され、20kg以上体重が増えたところで撮影、その後20日間でリハビリを行い、もとの体重に戻ったところでセンターからの帰宅を許される、というものだ。
60日間も事実上の監禁状態に置くことについては議論があった模様だが、「パスポート所持人のすり替えを防ぐには不可欠」との理由から法案に書き込まれたという。


5,000枚もの写真を掲載するため、新型旅券の頁数は1,000ページを超え、厚さは8cm前後、重さは1,500g前後に達するものと見られる。また、パスポート取得に要する手数料も、60日間のセンター滞在費込みで250万円程度にのぼる見通しだという。


こうした内容の旅券法改正が、人知れず実現されようとしていたことに衝撃を受けた野党は、一致団結して徹底的にこの改正法案を叩くことで合意。
「5,000枚もの写真が載っていては、反って本人確認が難しくなる」「パスポート取得のたびに60日間も監禁されると、世の中が回らなくなる」「急激な増減量を強要すると、国民医療費が増大することになる」「重すぎるパスポートは持ち歩けない」等々、ある意味突っ込みどころ満載の法案ではあるが、政府側はなぜか涼しい顔だ。
その理由として、「わざと野党の関心を引きそうなダミーの法改正案を仕込んでおき、議論をこちらに集中させて、本丸の入国管理法の議論時間を消化させるものではないか」という見方も出ており、野党の一部も疑心暗鬼になっている模様だ。


今回あるいは来年の通常国会で、この法改正がどう決着するのか、また電話帳のような厚さのパスポートを持ち歩く日が本当に到来するのか、注目が必要だ。