「ゆるキャラグランプリ」、人間もエントリー可能に ― 有力候補が続々登場


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全国各地のいわゆる「ゆるキャラ」がエントリーし、人気投票総数で日本一を競う「ゆるキャラグランプリ」が来年以降、抜本的なルール改正を行うことが25日、明らかになった。
グランプリ運営事務局が公表した新ルールは、来年からは着ぐるみ等のキャラクターに限らず、リアルな人間もエントリー可能にするというものだ。



このグランプリは2010年から開催されているが、その注目度を一気に高めたのが、2011年の第2回大会。グランプリに輝いた「くまモン」が大ブレイクしたことから、全国各地から無数のゆるキャラがエントリーするようになり、毎年注目を集める一大イベントとなった。
しかし近年は、ゆるキャラの「出尽くし感」もあり次第に注目度が低下、2018年大会では、全国的に全く無名のキャラクター「カパル」(埼玉県志木市)が優勝するなど、その凋落ぶりは目に余るものとなっていた。



こうした事態に危機感を抱いた事務局が議論の結果決めたのが、「ユルければ、別にキャラクターで無くてもいいじゃないか」ということ。ユルさ故に周囲から愛されている人間もエントリー可能にすることで、再びこのイベントに脚光を浴びさせようとしている。



事務局では既に、来年のグランプリへのエントリー受付を開始しているが、全国各地からの問い合わせが「昨年の3倍」(関係者)に達している模様で、「これで来年は確実に盛り上がる」(事務局幹部)と、手ごたえを感じている模様だ。
そんな事務局への取材で明らかになった、エントリー済み「優勝候補」の一部を紹介する。



「たいしょう」(東京都・58歳)某大手総合商社の代表取締役専務を務めるA氏。
大胆な決断力と実行力を持ちながら、一方で、しょっちゅう米粒が顔に付いていたり、ワイシャツの裾がはみ出していたり、というお茶目な面もあり、そうした愛嬌から取引先や部下たちから「大将」というあだ名で呼ばれ、親しまれている人物だ。
今回のエントリーの経緯について質問され、A氏が「いやあ、部下が勝手にエントリーシートを送っちゃって・・・」と恥ずかしそうに弁解すると、部下たちから「昔のアイドルか!」とすぐにツッコミが入るなど、その愛されぶりは筋金入りだ。
仮に優勝すれば、世界でも初めての「企業の代表権を持つゆるキャラということになる。所属企業の組織票も期待できるだけに、優勝候補筆頭との呼び声も高い。



「やまね〜」(大阪府・79歳)
「歴史の男」として今年、日本中にその名を知らしめた元日本ボクシング連盟終身会長の山根明を推すのは、元部下であるボクシング連盟の幹部らだ。
そのワイルドな風貌と特異な言動も相まって、ボクシング界のイメージ悪化を一手に担いつつ、「奈良判定」という流行語を生み出すなど、ある意味で時代の寵児として活躍した。
しかし、一連の問題の責任を取る形で事実上、日本のボクシング界から追放される形となった今、連盟事務局が恐れるのは「第2連盟の設立など、業界に復帰しようという動き」だという。そこで、山根氏を「ゆるキャラ」に祀り上げることで、こうした動きを封じようというのが今回のエントリーの狙いのようだ。
推薦者の一人として名を連ねているお笑い芸人・アンガールズ田中卓志さん(42)は、「相方と同じ名前なので親近感を持って応援したいと思います」とエールを送る。ただ、グランプリ事務局側では「連盟で終身会長を名乗ったように、優勝すると『終身グランプリ』を主張されるのではないか」という懸念も出ているようだ。



「はぶにゃん」(埼玉県・48歳)将棋界の若きレジェンド、羽生善治もまた、他の棋士らによりグランプリに勝手にエントリーされた。
今年、永世七冠という空前絶後の大偉業を成し遂げ、国民栄誉賞も受賞した羽生氏は、通算タイトル100期という、これまた歴史的な大記録の樹立を目指し、竜王戦を戦ってきたが、惜しくも敗れたところだ。
今回のゆるキャラグランプリへのエントリーを主導したのは、その竜王戦で羽生氏からタイトルを奪取した挑戦者の広瀬章人八段(31)だという。
何としても竜王のタイトルを獲得したい広瀬八段だが、それは同時に、尊敬する羽生氏を27年ぶりの無冠に転落させることを意味する。悩んだ広瀬八段が出した結論は、「羽生さんを手ぶらで帰らせるわけにはいかない」と、羽生氏に「ゆるキャラグランプリ」という新たなタイトルを授けることだ。
当の羽生氏は「はあ、そうなんですか」とあまり関心が無い模様で、実際にグランプリに選出された場合にどのようなコメントが出てくるかも注目される。



「たろう」(福岡県・78歳)
言わずと知れた日本を代表する「太郎」である麻生太郎・副総理もまた、菅官房長官の強い推薦を受ける形でゆるキャラグランプリにエントリーされた模様だ。当選回数13回、内閣総理大臣をはじめ数々の要職を担ってきた、自民党を代表する超ベテラン代議士であるが、いつまでも止むことの無い失言のオンパレードに、眉をひそめる関係者も少なくない。
そんな太郎氏も齢を重ね78歳となり、自民党内からは「そろそろ後進に道を譲っては」という声も聞かれ始めているものの、当の本人には全くその気がない状況だ。
この状況を打開する妙手として菅官房長官が考えたのが、「自民党を象徴するゆるキャラへの名誉ある転身」だという。
もともと麻生氏は、漫画好きを公言するなど、一部のマニアの若者からはカルト的な人気を誇っており、秋葉原等で演説を行うと、「太郎コール」が鳴り止まないという光景も記憶に新しいところだ。
そんな麻生氏のキャラクターに着目し、「若者に崇拝されるゆるキャラになれる、ということであれば政界引退を受け入れるのでは」と計算した菅氏が、エントリーシートを送った模様だ。
25日、財務省のぶら下がり会見で記者から今回のエントリーへの受け止めを聞かれた麻生氏は「あんた、ゆるキャラという言葉の定義を知っているか?」と逆質問、記者が言葉に詰まると「そんなことも勉強せずに質問するなよ。ゆるキャラという言葉を生んだ、みうらじゅんに聞いて来い」といつもの「太郎節」をさく裂させた。




全体として、積極的にゆるキャラとして推薦されようとしているのはA氏のように一部にとどまり、大半は「年長者の処遇に困った挙句、名誉職としてゆるキャラの道を歩ませようとしている」ケースのようだ。
これらのエントリーが来年のゆるキャラグランプリをどのように変質させることになるのか、注目が必要だ。