各デパートともお歳暮商戦は大苦戦−リストラやコンプライアンス重視の風潮で(2000年)

注:このコーナーは,1998〜2004年の「日本警戒新聞」に掲載されたバックナンバーの一部を紹介するものです。記事内容については他の記事同様,相当多量の偽情報が含まれていますのでお気をつけください。



今年のお歳暮商戦はデパート各社とも大変な苦戦となっている。これは,各企業でリストラやコンプライアンスの観点から接待・贈答を自粛する動きが広がっているためで,いかにしてお金をかけずに誠意を伝えるかというアイデアが今年のお歳暮の最大のポイントとなっている。
そんな今年の商品で最も多いのは,歌のお歳暮。これは,お歳暮を贈る人が贈られる人の面前で心をこめて歌を歌うというもの。その性格上,本人に直接歌いかけることが必要なため,大企業の役員の自宅前にはお歳暮を届けに来た取引先らが列を作っている。
年末恒例の「日経トレンディ」調査による「最も多くのお歳暮をもらった人ランキング」で例年上位にランクされる日本生命保険の伊藤助成会長の自宅前には,本格的なお歳暮シーズン到来前にもかかわらず,早くも連日300人以上が歌のお歳暮を届けるために行列を作っている。伊藤会長は「家人に代わりに聴いてもらうのも失礼にあたる」として,自ら全員の歌を聴いているといい,「フルコーラスは原則として遠慮してもらい,1番だけにしてもらっている」にもかかわらず毎日10時間以上歌を聴き,床に就くのが毎日午前4時過ぎというハードスケジュール。これだけの人数だと歌も相当重なるらしく,「谷村新司の昂(すばる)は毎日40回以上聴かされているので,もう勘弁してもらいたい」と苦笑する。これまでの歌のお歳暮で最も心に沁みたのは,昔の部下5名がコーラスした「母さんの歌」で「深夜にもかかわらず思わず号泣してしまった」ということであるから,今後伊藤会長に歌のお歳暮を贈られる方は参考にするといいだろう。
歌に次いで多いのが絵のプレゼント。といっても高名な画家の作品ではなく,贈り手が趣味で描いたものが主流。中には,自分の子供に贈り先の人物の顔写真を見せて似顔絵を描かせるという荒技を使う曲者もいる。ある店頭公開企業の社長は,主幹事の野村證券の担当部長の子息(4才)が描いたという自分の肖像画を贈られ,ひらがなで「すてきなしゃちょうさん」という文字の入ったその絵の扱いに,「見知らぬ子供の絵とはいえ,自分が描かれたものを捨てるのも気持ち悪いし・・・」と困惑気味。
墨や書道用品のトップメーカーとして知られる「呉竹」の綿谷正之社長の自宅には,自社製品を使用して書かれた様々な書道作品がお歳暮として続々届いているという。「当社製品を愛用してもらうのはありがたい」としながらも,大量に送り付けられてきた作品の扱いには困っているようで,奈良市の閑静な住宅街にある綿谷社長の自宅の内壁は,「初日の出」「サンタクロース」「鍋奉行」「お年玉」等,年末年始らしい言葉の書道作品が所狭しと貼られている。
この他にも,相田みつおや326(ナカムラミツル)を真似て,自分なりの「魂のメッセージ」を色紙に殴り書きしてお歳暮として送るのも流行している。主要財界人には森首相からの色紙が届いているようで,「失言・暴言は魂の汗なんだもの 大目にみてよ 民主党のバカ」と書かれたその色紙に受け取った各氏は困惑を隠さない。
いずれにしても,自分の心を正しく伝えることの出来るお歳暮を贈ることの難しさを痛感する年末になりそうだ。