皇居のお濠に巨大イカが生息−対応に追われる周辺企業(2001年)


注:このコーナーは,1998〜2004年の「日本警戒新聞」に掲載されたバックナンバーの一部を紹介するものです。記事内容については他の記事同様,相当多量の偽情報が含まれていますのでお気をつけください。

皇居外苑の濠の一部に,巨大な体長で知られる大王イカが大量に生息していることが判明,関係者は対策に頭を抱えている。
最初に大王イカが発見されたのは日比谷濠と馬場先濠。1月14日午後9時頃,通行人から丸の内警察署に「お濠に巨大な白い物体が浮上している」との通報があり,署員が駆け付けたところ,悠然と泳ぐ推定体長9mの巨大なイカらしき動物2体を確認したもの。その後,皇居近辺の漁業関連企業の協力を得て調査を行い,これらの動物が大王イカであり,皇居周辺の濠に全部で78体生息していることが明らかとなった。
最大で15m,平均で11mもの体長を誇るこれら大王イカの生息の原因について,丸の内署では「釣り人が処分に困って放流し,これが繁殖したのではないか」としている。これらの大王イカはいずれも夜行性とみられ,日が暮れると車のライトや街路灯の強い光に誘われて水面に浮上してくる場面が頻繁に目撃されている。
大王イカは,お濠に大量に繁殖していたブラックバスを捕食していると見られるが,もともとブラックバスの個体数が少なかった日比谷濠,馬場先濠では食糧不足で狂暴化したイカがお濠の斜面から路上まで這い出てきて通行人を襲い捕食するという痛ましい事件まで発生している。
警視庁では,対策のため78体それぞれに識別用ニックネームを付け,1体毎に5人からなる特別チームの24時間体制の監視を付けている。しかし,最も狂暴であるとされる体長13mの「ノンちゃん」は,軟体動物の特性を活かし,周辺のオフィスビルに侵入,深夜残業中の会社員を襲って捕食した事例も報告されている。こうした事態を受け,丸の内署では周辺の企業に対して,深夜残業を極力避けて,イカの行動が活発化する前の午後6時までに全社員を帰宅させるよう呼びかけている。

こうした情勢は,企業の経営方針にも影響を与えつつある。丸の内に本社を構えるA社では,業務の再編成や効率化を進めてきており,最近各部署から「とにかく人が足りない」と増員を求める声が経営陣に寄せられていた。同社では,これらの声に対して,一段と大胆な経営資源の再配分で対応しようとしていたが,たまたま実施された丸の内消防署主催の避難訓練で点呼をとったところ,本来いるはずの社員が多数不明になっていることが判明した。周辺の社員は「てっきり転勤したものだとばかり思っていた」と全く気付いておらず,大がかりな捜索を実施した結果,日比谷濠の中から行方不明者のものと見られる大量の遺留品が発見され,丸の内署では行方不明の社員168名がいずれも大王イカ「ノンちゃん」らに襲撃,捕食されたものと断定した。
最近の人手不足の原因が業務内容ではなく,大王イカであったことに同社では衝撃を受けており,「経営の最優先課題を大王イカ対策に置かざるを得ない」(同社幹部)と,次期経営計画の最重要課題に「大王イカ被害の防止」を掲げる方針だ。現在同社では基本スタンスを「大王イカとの平和共存」に置くか,「大王イカの徹底的なせん滅」に置くかで激論が戦わされており,同様の被害を受けている周辺の企業も議論の行方に注目している。

一方,政治は相変わらず対応力の無さを露呈している。大王イカによる被害者第1号が発生した2月4日の夜,森首相が神楽坂の料亭でイカソーメンを「美味い,美味い」といって食べていたことが発覚しており,野党は「そんなに美味いのならば大王イカを全部首相に食べてもらえばいい」と突き放したコメントを出した。与党も森首相擁護の動きは一切見せておらず,自民党内では,自ら政権の座を降りようとしない森首相を「お濠に突き落としてイカに食べてもらってはどうか」(橋本派幹部)というアイデアまことしやかに流れているという。