銀行の顧客優遇プログラムに「タイムトラベル」登場−画期的なサービスながら真偽をめぐり議論も


注意:この記事は,将来起こるかもしれない事件を妄想を交えて記したもので,少なくとも現時点においては全く事実ではありません。実在の人物・団体・事件等にも一切関係ありませんのでご注意ください。


地銀大手のA銀行がスタートさせた顧客優遇プログラムが話題を呼んでいる。
このプログラムでは,2000万円以上の住宅ローン借入をはじめとする15もの厳しい条件をクリアした顧客のみに,世界初(同行調べ)の「時間旅行(タイムトラベル)」をプレゼントするという,にわかには信じ難い内容。旅行業界では「宇宙旅行」が話題になり始めているが,実現可能性ゼロと見られてきた「時間旅行」については検討の俎上にすら上っていない。そんな中,一地方銀行が独力で開発したタイムマシンにより「時間旅行」を実現するというニュースに,同行への照会が殺到している。
同行が提供する時間旅行の仕組みは以下のとおり。

  • 対象顧客は平日19時に同行本支店のATMロビーに集合する。
  • 同行行員がプログラム参加資格を確認した後,顧客を一人ずつ順番に,専用のタイムマシンに搭乗させる。タイムマシンは縦型のボックス状で,大人1名が立って入れるぎりぎりのスペース。
  • 行員に誘導され,タイムマシンの中に入るとドアが閉ざされ,暗闇の中で何度か閃光が輝いた後,入ったのとは逆のドアが開いて,「同じ日の午後2時50分」の世界に到着する。
  • 目の前にはATMが設置されているほかは,時計があるのみ。窓にはシャッターが下りているので外は一切見えない。
  • 同行では19時以降のATMでの引出しには手数料が必要であるが,2時50分の世界なので,預金を引き出しても手数料がかからない。
  • 他にやることも無いので再びタイムマシンに乗ると,もとの世界に戻る。

この時間旅行について,実際に体験した顧客からは「本当に過去に行ったのかどうか,実感がない」「外が見えないのが不満」「午後4時に現金を引き出したことが2時50分現在の預金残高に反映されていたが,矛盾するのではないか」等の意見が多数出ているという。同行ではこれらの意見等に対して,「実感がないと言うが,時間旅行とはそういうものである」「時間旅行で最も注意が必要な『過去の歴史を壊さない』ために,外部との接触を一切絶つ必要がある」「午後4時に引き出したお金が反映されているのも,歴史の整合性を確保するために特別にシステム対応したもの」などと回答しているが,顧客からは「納得した」との声は出ていない。「時間旅行を騙った,ただのATM手数料無料化サービスではないか」という声もあるが,同行では「そんなことはない」の一点張りだ。
なお,同行では住宅ローン4000万円以上の借入をはじめとする128もの厳しい条件をクリアした優良顧客に対して,「5年後の未来に行く時間旅行」を提供する計画も明らかにしている。この旅行の目玉は,今日預け入れた5年定期預金の満期金を時間旅行先で利息込みですぐに受け取れると言うもの。ただ,そのお金を現在に持ち帰ると歴史が狂ってしまうため,受け取った元利金はそのまま再び定期預金として預ける必要があるという。これについても,「時間旅行を騙った,単なる自動継続定期預金のセールスではないか」との声が出ているが,これについても同行は「そんなことはない」の一点張りだという。
タイムマシンという画期的な発明の活用方法として果たしてどうなのか,という疑問が今後も付きまといそうだ。
なお,こうしたA銀行のサービスに対して,多くの他行は「真似しようにも真似できない」と追随については慎重な姿勢を見せている。ただ,同じく地銀大手のB銀行では,「当行はタイムマシンは無理だが,『どこでもドア』なら何とか開発できそう」とコメントしている。
「どこでもドア」が本物なのかどうか,また同行がどのようなサービスに活用するかにも,注目が集まっている。