サラリーマン110番(28)横綱の凄さを思い知らせたい私

<相談内容>
32歳のサラリーマン。コンサルティング会社でコンサルタントを務めています。
年始早々,ある顧客から難しい相談を持ち込まれました。
その顧客は,元大相撲力士で現在は格闘家に転身しているのですが,なかなか苦戦しているようです。大晦日にも試合があったそうですが,事前の記者会見で「横綱の凄さを思い知らせてやりますよ」と強気の発言をしたのに,試合では芸術的なまでに見事な完敗を喫したということです。
その顧客から,「何とか世間に,試合以外の方法で横綱の凄さを思い知らせることはできないだろうか。考えてもらいたい」というオーダーを受けたのです。
個人的にはトレーニングを積んでスリムになって,持久力をつけて試合で勝てばいいじゃん!と思っているのですが,「試合以外の方法で」という指定がついているので言い出せませんでした。どんな方法が考えられるでしょうか。


<回答>
難しい相談ですね。3つほどアプローチを考えてみました。

第1案=人間耐震補強
顧客であるAさんは,力自体はあるはずなので,耐震強度に問題のある建造物を人力で補強してみせる,というプランはどうでしょうか。住宅メーカーなどが保有する耐震実験施設で,震度6強の揺れに耐えながら建物の倒壊を食い止める姿は「さすが横綱」と人々を感心させるはずです。もっともAさん,重心の高い体型で,足腰の弱さを現役時から指摘されていたので,建物より先に転んでしまわないよう注意が必要ですが。

第2案=築地市場のセリ
私はAさんを実際に間近で見たことがあるのですが,200kg以上の肉の塊として眺めるとやはり凄い存在感です。そこで思ったのですが,築地市場で近海ものの本マグロと一緒に寝転んでみて,セリにかけられてみてはどうでしょうか。300年間で70本程度しか出現しない貴重な「横綱」ブランドだけに,ご祝儀も加わって相当な高値が付くことが期待できます。「さすが横綱!キロ3万円!」などと感心されること請け合いです。あとはAさんがこのような感心のされ方を受け容れるかどうかの問題です。

第3案=大学で「横綱の凄さ」を講義
闘っても思い知らせることが出来ないなら,言葉で丁寧に「横綱の凄さ」を説明していくしかありません。大学の体育系学部の講師として,Aさん自ら1年間にわたり「横綱の凄さ」を具体的かつ学術的にみっちり学生に講義してはどうでしょうか。週1コマ・各90分とすると,1年間でだいたい60時間くらい,「横綱の凄さ」を講義することになります。1年間,このテーマでしゃべり続けることができれば,それだけでも「横綱って凄いな」と感心されることでしょう。