森首相の「総裁選出馬」表明で大騒ぎ−銅像設置等で「手打ち」(2001年)


注:このコーナーは,1998〜2005年の「日本警戒新聞」に掲載されたバックナンバーの一部を紹介するものです。時代の変遷により現在では実在しない法人名・個人名等も登場しますのでご承知置きください。また,記事内容については他の記事同様,相当多量の偽情報が含まれていますのでお気をつけください。


今月24日の投開票が決定したばかりの自民党総裁選に,退陣する予定の森首相が立候補の意欲を表明,自民党内は大騒ぎとなった。
これは,森首相が出席した5日夜のパーティでの挨拶で触れたもの。「誰でも立候補できる,開かれた総裁選であることを証明するためには,私自身が立つのが一番だ」と事実上の立候補表明に,会場は騒然とした。その場に居合わせた野中広務前幹事長は「一体何様のつもりだ」とカンカン。党内各派を集めた緊急幹部会を招集し,対応策の検討に入ったが,結局「森首相が党内での影響力や存在感を維持するためのパフォーマンスではないか」との見方で一致。一応は現在の総裁である森首相のメンツを保つため,交換条件を提示して立候補を辞退させることとなった。森首相も「何がなんでも立候補,ということではもちろんない」と柔軟な姿勢を見せており,早くも具体的な交換条件の交渉が始まっている。
森首相が各派幹部に示したのは「この1年間で大いに傷つけられた自尊心の回復」という難しい命題。具体的な施策として,森首相からは「首都圏に自分の偉業を称える銅像(20m級の全身像)を10箇所以上に設置すること」「JALANAのジャンボ機の機体に,自分の全身像を描いた『森ジャンボ』を5機以上就航させること」といった条件を提示している模様だ。
自民党では費用の面で難色を示していたが,野党が「森首相と自民党の愚かさを後世に伝えるのは野党の義務」と4党党首会談で意見が一致,20m級の森首相全身像10体を自民党に寄付することとした。銅像日本共産党が旧ソビエト東ドイツ北朝鮮銅像製作工に安く発注しているため,費用は総額で2,000万円程度に収まる見込みという。野党では,完成した銅像1体毎に,首相の主な失言を刻したプレート付の台座も用意して引き渡す意向。自民党も「せっかく野党が用意してくれるのなら」とこれを受入れることとした。
ただ,問題となるのは銅像の設置場所。自民党からは関係者に広く引き取り・設置を要請したが,首相の母校である早稲田大学が「出身校である以上やむを得ない」と苦渋の決断で2体を引き取り,正門の門柱代わりに設置することを決めた他は「景観を害する」「縁起でもない」と拒絶のオンパレード。
「日本は天皇を中心とした神の国」という言葉が記されたプレート付の銅像は,当初福田官房長官靖国神社に対して設置を打診したが,「烈火のごとく怒られた」(福田官房長官)ため,プレートの内容に合わせて皇居内に設置するよう宮内庁に要請した。天皇・皇后両陛下も「国民の苦しみも分かるが,こんなもの引き受けるのはたまらない」と難色を示し,結局妥協案として,人目につきにくい皇居外苑のお濠の水中に設置することで決着した模様。お濠の底面を深く掘り下げて,20mの銅像が完全に水面下に没するよう設置する計画だが,地盤の関係で深く掘り下げられない場合は「頭部だけが水面上に出ることになる」(海洋土木に詳しい五洋建設の鈴木克明氏)といい,不気味なオブジェが都心に出現することになる。宮内庁では「もしも頭部が水上に出ても,ライトアップ等はしない予定」としている。
残り7体については,「地上からは人目に触れにくい」という理由で,「平成七福神」というタイトルを付けて横浜ランドマークタワーの屋上にまとめて設置する方針だったが,航空法上の規制に抵触することが判明,石原都知事の協力を得て新宿高層ビルの屋上に「避雷針代わり」(石原知事)として1体ずつ設置することで決着する見込み。
一方,「森ジャンボ」の就航について日本航空全日空では「支持率急落が墜落を想起させ,非常にイメージが悪い」(幹部)として一旦は謝絶したものの,野中前幹事長から「国家の命運が決まるこの大事な時期にわがままを言うな」と一喝され,結局森首相の目の部分に黒い線を引いて「森首相とは特定できない誰か」を描いたジャンボ機(愛称は「おっさんジャンボ」)として就航させることで決着した。

この他にも森首相は自身の影響力を維持すべく,次々と要求を繰り出すものと見られているが,「影響力を誇示するやり方が根本的に間違っている」(森派若手議員)と周囲の目は冷やかだ。