公正取引委員会が大相撲に「注文」―永谷園,ちゃんこダイニング若の懸賞幕に警告


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「自由・公正な市場の番人」を自認する公正取引委員会の活躍がこのところ目立っている。
3月に新生銀行の「パワード定期プラス」の表示に関して排除命令を行ったほか,全国各地の入札談合にかかる審決も多数実施,先日はヤマダ電機への立ち入り調査も実施している。しかし最近では,意外な分野にまで公取委の「介入」が実施されるケースが発生しており,本来は権利を擁護されるべき国民の間でも「そこまでやるのか」という疑問の声もあがりつつある。


今年3月に開業したばかりの「東京ミッドタウン」。六本木・防衛庁跡地という立地からこの名称を付しているが,グランドオープンからわずか3日後には公取委から「本当に東京の中心にあるのか,調査する」という連絡があった。
地権者である三井不動産は戸惑いながらも公取委の調査に協力。その結果,東京ミッドタウンは「東京23区」「島嶼部を除く東京都全土」「島嶼部を含む東京都全体」のいずれの観点からも物理的な中心ではないことが判明。公取委ではこの事実を踏まえ,「消費者・来訪者に誤解を与えないよう名称を変更すべき」という非公式な見解を示した。
これを受け,三井不動産では「23区の物理的な中心点から約2km程度しか離れていない」ということも踏まえ,名称を5月20日から「東京だいたいミッドタウン(TDMT)」と変更することを決定した。
三井不動産では入居テナントにも「極力『だいたい』という接頭辞を付けるようお願いする」(同社幹部)方針だが,「『だいたいリッツカールトン』などという名称では営業できない」(リッツカールトン東京総支配人)と猛反発するテナントが大半だ。


予想外の公取委の「来襲」を受けたのは大相撲夏場所が開催中の両国国技館。人気力士の取組みに懸かる「懸賞」について公取委の「物言い」が付いたもの。
公取委が問題視しているのは懸賞を提供している企業のうち,「永谷園」と「ちゃんこダイニング若」の2社。
永谷園」については,土俵をぐるりと回る際に掲げられる懸賞幕のデザインが同社の主力商品である「お茶漬け海苔」の袋とほぼ同一である点を問題視。「消費者から『テレビで懸賞が回っているのを見てスーパーでお茶漬け海苔を買ったが,全然サイズが違う。騙された気分だ』という苦情が届いている」として,永谷園に対して懸賞幕を実際の「お茶漬け海苔」の原寸大(縦10cm×幅6cm)に変更するよう勧告。[rakuten:fujimi-cc:1389091:image]
突然の勧告に同社は戸惑いながらも「そんな小さな懸賞幕では客席から見えず,何をやっているかわからなくなる」と反発。しかし先代からの遺言で懸賞提供を止めるわけにはいかない同社では,「販売する商品の方を懸賞幕のサイズに合わせる」という,暴挙とも言える策に打って出ることになった。
「消費者は最初は違和感を感じるかもしれないが,地方限定土産の定番であるジャンボプリッツのように見慣れれば今までのように買ってくれるに違いない」と判断,19日にはマスコミに試作品を公開した。
巨大な「新・お茶漬け海苔」は,縦1mを超える巨大さで,内容量は実に6kg,これまでの「お茶漬け海苔」の400袋分に相当する。この日は試作品の袋の内容を,25升のご飯の入った超巨大茶碗に一気にふりかけ,120リットルのお茶をかけて,同社のCMキャラクターの高見盛関が一気食いするというパフォーマンスが行われた。
現在,同社はスーパーやコンビニ各社にこの「新・お茶漬け海苔」の陳列スペース確保を要請して回っており,早ければ6月上旬にも売り場にお目見えとなりそうだ。ただ,一袋6,000円という価格が消費者にどこまで受入れられるかは不透明。同社では「景品として人気の『東海道53次カード』を,期間限定キャンペーンとして一袋に53枚(全種類)封入することで消費者の理解を得たい」としている。


一方,元横綱若乃花花田勝氏がチェーン展開する「ちゃんこダイニング若」が問題視されているのは,懸賞幕に大きく書かれた「若」という文字。「若,という文字は通常は価格が安いという想像をさせるが,実際の『ちゃんこダイニング若』は,ちゃんこ料理としては驚くほど値段が高く,消費者に誤解を与える」というのが公取委の見解。
公取委では,「若という名前だけれど,値段は高いよ,というメッセージをこの懸賞幕に入れれば問題ない」としており,竹島公取委員長は記者会見で「個人的な見解だが,店名を『若高』もしくは『若貴』とすれば問題はクリアできる。この際,貴乃花親方と仲直りして共同経営にすれば万事問題は解決する」と発言。
公取委に仲直りを要請されるという異例の展開に,花田勝氏は「公取委にお任せします」と下駄を預けた。
これを受けて公取委貴乃花親方を訪問,共同経営の件を持ちかけたところ,一向に有力な弟子が育たず指導者としての壁にぶち当たっていた親方は「これまでのやり方に問題があったのかもしれない。新しいことにチャレンジしてみるのも大事」と,意外にもあっさりOKを出し,長年続いた兄弟間の確執が公取委の勧告により解消するという予想外の結果を生むこととなった。
これからは公取委を親と思って精進していきます」という貴乃花親方の言葉に,竹島委員長は「公取冥利に尽きる」と目に涙を浮かべた。

果たしてこうした取組みが本当に「公正」のためになるのかどうか,そもそも「公正」とは何かを真剣に考える必要がありそうだ。