台風対策もマニフェストに?−自民党などが追加公約(2005年)


注:このコーナーは,1998〜2005年の「日本警戒新聞」に掲載されたバックナンバーの一部を紹介するものです。記事内容については他の記事同様,相当多量の偽情報および今日の状況に合わない情報が含まれていますのでお気をつけください。


昨年に引き続き,今年も大型台風が次々と襲来し,相当な被害が予測される中,マニフェストに台風対策を追加する政党が出ている。


自民党が打出したのは,「巨大防壁造成による台風上陸の阻止」。
同党は「公共事業は縮小すべき」という基本スタンスながら,「防災分野は公共事業でやるべき最優先分野」という見解から,このような対策を打出したもの。
マニフェストによれば,2250年までに九州から房総半島まで,台風上陸の可能性がある沿岸に高さ10,000m,厚さ500mの防風提を築いていき,上陸しようとする台風をシャットアウトするという。総事業費が約5,000兆円という巨額に上ることから,最終的な竣工時期を約250年後とし,毎年の財政負担を20兆円程度にとどめる点が「現実的な政策」(同党幹部)であると胸を張る。
「本当に高さ10,000mも必要なのか」という批判に対しては,「台風の雲は結構な高さを持っており,これくらいの高さがないと防御できない」としている。気象庁によれば,この防壁が完成すれば「台風の日本上陸は理論上はゼロとなる」としている。一方で巨大な壁だけに日照権の問題が発生,日本の居住可能面積のうち15%程度が1年中日照時間ゼロとなるという試算も出されているが,自民党では「痛みもあるが,それだけのメリットはある施策。将来,さらに250年を費やして日本中の海岸線全てに防風提を築くことで,台風に加えて密入国も排除できる」と説明している。
他党からは「完成まで500年かかる案件をマニフェストに載せるのはいかがなものか」「事実上の鎖国政策ではないか」との批判を浴びせているが,民主党に「コンクリートよりヒト」と切り捨てられたコンクリート業界だけは今回のマニフェストを「猛烈に歓迎する」としている。
一方,別の党では「憲法で台風の日本上陸を禁止して,日本の平和を守ろう」と,自民党とは一味違う路線を提示している。また別の党では「小泉政権になってから台風の上陸個数が増加しており,台風対策のためにも即刻退陣すべき」というかなり強引な論陣を張ろうとしており,選挙戦の行方にほとんど影響はないと思われるものの,一応注目される。