企業買収の次は「脂肪買収」−投資ファンドが続々参入


注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。


企業買収で荒稼ぎした投資ファンドが,新たなビジネスとして「個人買収」を手がける例が目立って増加してきている。

繊維商社に勤めるAさん(37)のもとに1通のダイレクトメールが届いたのは今年の1月。差出人は聞き慣れない投資ファンドらしき名称で,中に入っていたのは「貴方の脂肪を買収します!」「体脂肪率5%を上回る脂肪を適切な価格で買い取ります」というチラシ。体脂肪率が35%もあり,腹囲も1mを超える肥満体のAさんにとっては願ってもない案内で,同封されていた契約書にサインすると,内容を細かく確認せずに返信した。
翌日の夜,Aさんの自宅前には1台の車が止まり,「正式契約を行うので当社までご足労願いたい」と3名の男に案内されるままに車に連れ込まれた。
3日後,家族と勤務先には「心配せず帰りを待つように」との手紙が届いたが,その後3ヶ月間,Aさんの行方は分からないまま。
そして5月になり,Aさんはひょっこり自宅に帰ってきたが,その姿を見て家族は驚愕。以前のビール腹の面影すらないカンペキなまでのスリム体型に戻ったAさんは,「まさに地獄の3ヶ月間だった」と語った。
Aさんによれば,車内で目隠しをされて連行された先は,瀟洒なオフィス。そこで出てきた責任者らしき外国人が「契約内容の確認」と称して,先日送付したAさんの契約書を読み上げた。
そこで初めてAさんが認識したのは,「体脂肪の買収」とは,体脂肪率が5%に落ちるまで激しい重労働を行わせる,ということ。
既にサインをしてしまったAさんは,そのまま有無を言わさず過酷な現場に投入され,重さ1トンを超える巨石を仲間5人とともに人力で運ぶという,古代のピラミッド建設現場さながらの労働を強いられることになった。
そして93日目,毎朝行われる「体脂肪測定」でAさんは見事に5%を切る数値をたたき出し,契約満了となって帰宅を許されたという。


Aさんが受け取ったのは,減少した体脂肪1kgあたり5,000円,総額で15万円の「買収代金」。この間に投資ファンドがAさんの派遣先から得た報酬は100万円を下らないものと見られ,その差額がファンドの利益となった模様。
この投資ファンドは同様のダイレクトメールを大量に送付しており,これまでに少なくとも5,000名程度の体脂肪を買収し,40億円以上の利益をあげているものと見られる。また,同様のビジネスを手がけるファンドは少なくとも5社以上あり,全体では2万名以上の体脂肪が買収済みとなっている模様だ。


しかし最近ではこうした事例が知られることで警戒心が高まり,ダイレクトメールの返送率が大幅に落ちているという。
そこで同社が新たに始めたのが「敵対的買収」。従来の手法が少なくとも形式的には本人の同意を得ている「友好的買収」であるのに対し,家族の同意を得て深夜に寝込みを襲ってそのまま現場に連行するという,かなり荒っぽい手法だ。
ファンドの社員が街角で肥満体のビジネスマンを探し,条件に適うターゲットを見つけるとそのまま自宅まで尾行し,翌日本人が出勤した後の時間帯を狙って華族と面談,「お父さんがスリムになれば素敵だと思いませんか」などと言葉巧みに同意を求め,契約が成立すると,家族に深夜の急襲の手引きをさせるというもの。

こうした手法については,家族の同意があるとはいえ「立派な犯罪行為であり,人権侵害だ」との批判も少なくないが,同社で個人買収ビジネスの責任者を務めるピエール氏は次のように語る。
「設備投資もしないのに現預金を無駄に溜め込んでいる企業が社会全体の資本の非効率を生んでいるのと同様,貴重な食物エネルギーを脂肪に変えて身体に過剰に溜め込んでいるのも犯罪行為だ。当社が行っているのは,活用されることのないこの体脂肪のエネルギーをビジネスで活用することで電力消費量を削減し,かつ体脂肪の提供者には結果として引き締まった健康な肉体を贈るということ。体脂肪という資源の効率的活用で,地球温暖化防止と医療費削減という,国家的課題の解決に大きく寄与する取組みだ。刑法の枠組みを変えてでも認めるべき,価値ある仕事だ」
自らの政策の方向性と完全に一致していることから,安倍首相も同社の取組みを応援する考えだといわれており,これまでのところ警察も黙認している。


一方,こうした動きに戦々恐々とする肥満体のサラリーマン達も「買収防衛策」の準備に余念が無い様子だ。
体脂肪率が25%以下だと投資効率が悪いので買収されにくい」という調査結果をもとに,「常に体脂肪率を25%以下に抑えるよう,カロリーコントロールやエクササイズを行う」というのが最もオーソドックスな方法。こうした取組みを行うサラリーマンらは,短期間に体脂肪率を大きく落とせると評判の「ビリーズブートキャンプ」を主宰するビリー・ブランクス氏を「ホワイトナイト白馬の騎士)」と呼んでいる。
逆に,「そんな運動が出来るくらいならこんな身体になってない」と開き直るサラリーマンらは,「体脂肪率が50%を超える強度の肥満は現場で使えないので買収されにくい」という調査結果をもとに,「食べて食べて,体脂肪を半端じゃない水準まで引き上げる」という作戦にのめりこんでおり,こちらは通称「ポイズンピル」と呼ばれている。

肥満体のサラリーマンが買収から身を守るには,体脂肪率をきちんとコントロールするか,裏切られないよう家族サービスを怠らないか,いずれにしても難しい選択しか残されていないようだ。