企業の「健康づくり」活動,ますます多彩に


注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。



従業員の健康管理について,法令上一定の責任を負っている企業は従来から「健康増進活動」支援に注力している。部署単位でのジョギング大会やゴルフコンペ,職場旅行によるリフレッシュ等が代表的なものだが,近年は職場環境の多様化を受けて,現場判断による多様な取組みを認めるケースが増加している。

本日は,そうしたなかで話題を集めているいくつかの職場の活動を追った。



大手商社・丸紅の金属資源開発部長である滝沢信一郎氏(48)は「健康のためなら死んでもいい」が口癖の同社随一の健康フリーク。そんな滝沢氏の個性を反映して,同部の「健康づくり」活動は苛烈を極めている。

通常の企業であれば半年あるいは四半期に1回程度のジョギング大会だが,同部では毎日,しかも朝・昼・晩の3回開催され,1日合計で皇居5周以上というのがノルマになっている。1日あたり25kmという,陸上選手も真っ青の激しいノルマをこなしているせいか,同部の社員は体脂肪率が平均で7%というメタボリックとは無縁の精鋭揃いだ。

だが,滝沢氏の健康への情熱はこれくらいでは収まらない。金属部門ならではの特権を生かして,同部の電話機は全てフルメタル仕様,受話器部分だけで17kgもあるという特注品で,電話をするだけで腕力が鍛えられる仕組みになっている。受話器から手を離すとセンサーが作動して通話も切れるため,なるべく短い通話で済むよう,同部社員の会話は極めて簡潔・明瞭な話しぶりになっている。

当然ながらパソコンも,キーボード1個を押すのに25kgもの荷重をかける必要がある特注品になっており,キーボード入力で指先が鍛えられる仕掛けになっている。オフィス内では,気合いを入れて入力すべく「キエー!」「トヤー!」などの叫び声が随所であがっている。冗長なメールが多い昨今,同部社員が発信するメールは,入力作業の厳しさからか,まるで電報のように簡潔なものに仕上がっており,他部門からも「メールの手本」として一目置かれているという。

オフィス内の椅子はもちろん,全てナショナル製「ジョーバ」になっており,着席している間は全員ロデオ状態で仕事を進めている。腹筋に力をこめないと落ちてしまうため,「あの部署は腹に力の入った仕事ぶりだ」と他部門からの評価も高い。

社員の9割が定期券を持たず,ジョギングで通勤しているという同部への異動希望者は極めて稀だという。




従業員の朝の通勤時の健康上の負担を軽減すべく,佐川急便と提携を決めたのはみずほコーポレート銀行

通勤ラッシュの時間帯に長時間電車に乗るのはそれだけで相当な体力を費消し,健康上好ましくないだけでなく,午前中の労働効率の低下という問題点も指摘されていた。同行ではこうした問題を解消すべく,「行員全員のハイヤー通勤」について検討したが,膨大な費用がかかり経常損益の赤字転落の可能性すらあることが判明,やむなく断念された。

そんななか,佐川急便からの提案で急遽まとまったのが,同社による「行員まとめて配送サービス」の採用。

同行行員は緊急時対応の観点から全員,携帯電話の常時携帯を義務付けられており,この携帯電話が発する微弱な電波をもとに佐川急便が従業員の居場所を割り出し,最も近くにいるセールスドライバーが現場に急行して行員の身柄を確保し,保冷庫に入れて始業時刻までにオフィスに届けるというサービスだ。

自宅で寝ている行員,結局朝まで飲んでしまった行員,色々な事情で自宅以外の家に泊まっている行員など,どこにいても必ず見つけ出されて,必ず始業時刻までに通勤ラッシュ知らずでオフィスに届けられるというのが売りのサービスだ。

「クール便」用の保冷庫で輸送するため,輸送中は行員の動きが鈍くなり,オフィス到着後に使用するエネルギーを無駄に使わない点も同行経営陣の心を掴んだポイントだ。

行員からは「確かに電車に乗らなくてすむのはありがたいが,屈強なセールスドライバーに抱え込まれて保冷庫に放り投げられる精神的ストレスは相当なものだ」と,必ずしも好意的な反応は返って来ていない。しかし同行では「非常事態の際の緊急招集にも使える仕組みであり,当面続けていきたい」としている。



健康のために,何を,どこまでやることが許されるのか,社会的なコンセンサスの早期確立が望まれる。