ザ・ペニンシュラ東京宿泊体験記


注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。



9月1日に東京・日比谷にオープンした超高級ホテル「ザ・ペニンシュラ東京」。今回はこの超高級ホテルに実際に宿泊し,その魅力を検証してみた。

今回宿泊したのは,皇居と日比谷公園を眼下に望む「デラックススイート」。

メインエントランスから入ると早速ドアマンが近づいてくる。

いらっしゃいませ,ピエール様。お待ちしておりました,どうぞこちらへ」と案内され,チェックインが始まる。

筆者とこのホテルのこれまでのコンタクトは,宿泊予約のためかけた1ヶ月前の電話のみ,そしてホテルに足を踏み入れるのは今日が初めて。なぜいきなり名前を呼びかけられるのか?

チェックインの最中,そんな疑問を投げかけると支配人の上杉さんがにこやかに答えてくれた。


「当ホテルでは,全てのお客様に完璧なご満足をいただくことを目標にしております。そのためには,まずお客様を知ることが第一,ということで,ご予約いただいた後,宿泊日までの間にお客様のお人柄,これまでの人生,趣味・嗜好等を徹底的に調べさせていただいております


「本日のディナーは24Fのレストラン『Peter』でご用意しておりますが,ピエール様のお嫌いな納豆やセロリは使用しておりませんのでご安心ください」と説明され,「ホテル滞在中はピエール様の小学生時代のニックネームでお呼びすることもできますが,いかがいたしましょうか」「枕はいつもご使用されているテンピュール社のものに代えましょうか」と提案された筆者は,「そもそも西洋料理で納豆を使うことがあるのか」という疑問を忘れるほどその身辺調査能力に驚かざるを得なかった。

首相官邸にこの能力の半分でもあれば,内閣改造後の一連の事態を招くことはなかったのではないか,と感じたのは筆者だけではないはずだ。



本日宿泊するデラックススイートは通常価格で1泊14万円以上する部屋だが,今回筆者が支払ったのはわずか1万5千円。

なぜこんなに安いかは部屋に通されて分かった。そう,この「とくとくスイートルームプラン」は,最大で10名が同じ部屋に泊まる,「相部屋プラン」なのだ。

私が通された部屋には,既にトルコ,中国からの観光客,カナダ,シンガポールからのビジネスマンら9名が入っており,言葉も通じない私は困惑するしかなかった。


しかし,このホテルはこんな格安の相部屋プランにまで最高の配慮をしている。

「全くつながりのない他人同士が同じ部屋に泊まるのは何かと気詰まりなもの。当ホテルでは事前に実施した調査結果を活用して,同室者全員に必ず共通点があるよう部屋割りをしております」と前出の上杉支配人は胸を張る。

ちなみに筆者が泊まった部屋全員に共通するのは,「好きな色が黄色」ということ。

ホテルのスタッフにそう聞かされた我々同室者は,とりあえず「イエロー,イエロー」と口にしながら握手を交わし,使用される単語の半分以上が「イエロー」という会話を1時間ほどした後,ホテル近くのカラオケ「ビックエコー」に繰り出し,全員で「イエローサブマリン」などを熱唱して交流を楽しんだ。「ジャパニーズイエローソングを歌え」と全員から求められた筆者はやむを得ず「黄色いさくらん」を披露する羽目となった。

ちなみに,我々の両隣の部屋も同様の相部屋プランだったようだが,ホテルによれば同室者の共通点は「全員が射手座」「全員足のサイズが25.5cm」ということだという。

我々はまだマシな方だったということを認識する結果となった。



そんなザ・ペニンシュラ東京の朝は早い。


広大で華麗なロビーの一番奥,日比谷通りに面したスペースに設けられているのが,「日本らしさを表現する上で絶対欲しかった」という大相撲・高砂部屋の稽古場

しながわ水族館などで使用されている厚さ10cm以上の超強化ガラスで囲まれた稽古場では,毎朝5時から7時30分までの間,高砂部屋所属の力士達が激しい稽古を行っており,宿泊客はその様子をロビーで楽しむことが出来る,という仕掛けだ。

この土俵開きに出席するため,モンゴル滞在を35時間で切り上げて帰国した高砂親方は「朝青龍も帰国したら,この一切隠し事が出来ない稽古場で真剣な汗を流してもらいたい」と語っている。

なお,ホテルの2階には十両以上の関取が使用する個室(スーペリアツイン)と,幕下以下の力士が暮らすための大部屋(ツインルーム5部屋をぶち抜き改装済)が設けられている。


7時30分で朝稽古が終わると,力士のクールダウンと,宿泊客の健康維持を目的とした「ペニンシュラ体操」の音楽が全館に流れ始める。

体操界の満漢全席」とも呼ばれるこのペニンシュラ体操は,「良いものは全て取り入れる」という発想のもと,「ラジオ体操」「太極拳」「ブートキャンプ」「古典派ロボットダンス」「サラリーマン体操」「電線音頭」など,様々な要素を織り込んで構成された全40分の長大なプログラムだ。


ロビーで最後まで体操を行うと,スタンプの押されたカードを渡され,これをB1Fの高級料亭「京都つる家」に持っていけば無料で力士とともにちゃんこ鍋が楽しめるという趣向までついている。



少々値が張るホテルではあるが,非日常を楽しむ対価としては妥当なところかもしれない。今後のこのホテルの行方にも注目したい。