サラリーマン110番(50)はんぺんで自動車を作る私


<相談内容>


トヨタ自動車勤務の35歳のサラリーマン。

新車開発を担当していますが,最近の鋼材価格高騰を受けて,当社では車体の材料を全面的に見直すことになりました。

社内コンペの結果,「材料価格が安いだけでなく,衝撃吸収力にも優れている」として,私が提案した「はんぺん」が採用されることになりました。

車体材料としてはんぺんを用いる場合の注意点を教えてください。



<回答>


このサラリーマン110番もはや50回。今後も頑張ります。


さて,鋼材価格も高騰していますが,魚価も上昇していて,これを材料とするはんぺんの価格もどうなるか分かりませんが,大丈夫なのでしょうか?

私の気付く範囲で,はんぺんを車体に利用する場合の注意点を何点かお伝えします。



一点目は,「事故時の衝撃を吸収するにははんぺんの厚さは最低75cm必要」ということです。

はんぺんは柔らかなものです。10cmやそこらではカンタンに破けてしまいます。

ただ,75cmの厚さのはんぺんで車体を作ると,結果的に車内空間が相当圧迫されて,普通乗用車の場合で乗車定員は1名,しかも「前後左右をはんぺんに囲まれながら運転する」ということになります。

このような車が売れるかどうか,きちんとしたマーケティングが不可欠です。



二点目は,「空気抵抗がものすごく大きくなり,燃費が悪くなる」ということです。

車の速度を上げると,はんぺんは変形し,抵抗が増すことが確認されています。

ただ,空気の流れに負けない,超硬質のはんぺんでは衝撃吸収力がなくなってしまうので,判断に迷うところです。

せいぜい,最高速度15km/時程度の自動車にするならば問題は無いと思われます。



三点目は,カラス対策です。

街中に溢れる飢えたカラス達にしてみれば,肉厚のはんぺんをたっぷりまとって走る乗用車はまさに格好のカモです。

白い車体の天井部分に黒いカラスが群がり,「逆パトカー状態」になる車が続出するでしょう。

これは,夏になるとヒトに蚊が寄ってくるのと同じで,避けられない宿命だと思ってあきらめるしかありません。



最後は,はんぺん製造最大手の「紀文」に対する挨拶を忘れないことです。

世界のトヨタとはいえ,はんぺんユーザーの世界ではよちよち歩きの赤ん坊のようなもの

最大手の紀文にきちんと挨拶をしておくのは礼儀としても,また今後のはんぺんの安定供給元確保のためにも欠かせないイベントです。



どのような自動車が誕生するか分かりませんが,発売のときを楽しみに待っています。