池袋,埼玉県に編入−板橋・練馬区に激しい動揺


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東京23区の北西部に位置する繁華街・池袋が埼玉県に編入される道を選択,周辺の練馬区板橋区などに激しい動揺が広がっている。


きっかけとなったのは,6月14日に開通した東京メトロ副都心線だ。埼玉県の和光市から池袋・新宿3丁目を経由して渋谷までを結ぶ新路線で,池袋−渋谷間の鉄道混雑緩和の役割を発揮するものとして期待されている。

この副都心線開通に際しては,新宿・渋谷・池袋の3つの街の間で「どこが副都心か」をめぐる争いが生じていたのは記憶に新しいところ。
新宿は「副都心といえば新宿というのが日本人の常識だ」と主張し,渋谷も「副都心に行くための路線だとすれば,終点の渋谷が副都心であるのは自明だ」と強気に出ていた。
一方,池袋は「副都心線のほぼ中間に位置するのでできれば副都心と呼んでほしい」とやや弱気なスタンスで主張をしていたが,新宿・渋谷からは「東が西武(百貨店・鉄道)で西が東武(百貨店・鉄道)などという,分かりづらい構造の街を副都心と呼べるはずがない」「池袋の通行人の64%は埼玉県民という調査結果も出ているのに東京都の副都心を名乗るとは身の程知らずだ」などと一笑に付されていた。

このように副都心の座を巡る争いで劣勢に立たされた池袋は,商戦の面でも「買い物客が副都心線で新宿・渋谷に流れる」(東京メトロ関係者)ため,劣勢が確実視されていた。


そんな窮地に追い込まれた池袋が選んだのは「虎穴に入らずんば虎児を得ず」作戦。
自らを埼玉県に編入させることにより,埼玉県民の「地元に対する愛着心」を燃え上がらせて新宿・渋谷への買い物客の流出を食い止めよう,という戦略だ。

埼玉県民は地元意識が低いのでこの作戦は当たらないのでは,という見方も根強かったが,テレビ埼玉テレ玉)が独自に行った「県民20人アンケート」で,「普段着で行けそうだ」として6割もの県民が歓迎しているとの結果が出たことから,池袋の地元商工会議所が中心となってこの作戦を推し進めることになったものだ。

当初は池袋が属する豊島区全域で埼玉県に編入する案となっていたが,豊島区長が「そんなことを決断すると都知事に何されるか分からない」「やるなら豊島区を巻き込まず,池袋の独断でやったということにしてくれ」と及び腰になり,やむなく地名に「池袋」が付く一帯だけで埼玉県への編入を目指すことになったもの。

編入の申し出を受けた埼玉県の上田知事は「決断に敬意を表する」と歓迎の姿勢。既存の県内市町村への編入ではなく新設の「埼玉県池袋市」として編入されることになる見込みだ。


今回の決定の影響は早くも様々な形で現れ始めている。

最も混乱しているのは,埼玉県内から池袋エリアの超高層マンションに転居してきた住民達。「せっかく埼玉から東京に来たと思ったのに何ということをしてくれたんだ」という怒りや,「埼玉はイヤだからまた東京都内に引越すつもりだが,引越し先がまた埼玉に編入されたらどうしよう」という不安の声が豊島区役所に大量に寄せられているという。

また,今回の編入により埼玉と埼玉に挟まれることになる板橋区練馬区などでは「いざという時に東京都は我々を守ってくれるのか」などという住民の不安の声が区役所に殺到,一部の地区では住民が自主的に「県境」のバリケードを築き始めている模様だ。

JR埼京線は従来「埼玉から東京に行くので埼京線」だったが,今回の編入および北区・板橋区の東京都残留により「埼玉から東京を経て埼玉に入り,その後また東京に行く」ことになるため,7月から路線名が「JR埼京埼京線に変更されることになった。

一方,埼玉編入賛成派の池袋地区の住民からは「埼玉に編入された以上,埼玉県庁の池袋移転を目指すべき」という声もあがっているが,商工会議所では「今の段階で本家・埼玉県民を刺激しすぎるのはまずい」として自制を求めている。


たった一本の地下鉄路線開通が巻き起こした東京北部の混乱が完全に終息を迎えるまでにはまだまだ時間がかかりそうだ。