「食べ残し」撲滅に政財界動く−情報セキュリティ強化にも一役


注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。



あの「船場吉兆」をとうとう廃業にまで追い詰める決定打となった,「食べ残し料理」の使い回し。

「そんなことをする飲食店があるなんて信じられない」と,船場吉兆を責める声がほとんどだが,意外と多いのが「でも一番悪いのは,料理を残してしまう客じゃないのか」という意見。

食材価格の高騰が伝えられる中,「もったいない」精神が称賛されていることもあって,いかに食材の無駄をなくすか,という点に世論の関心が集まり始めている。



こうした空気を受け,自民・公明・民主の3党が今国会で急遽,大食いや食べ残し等による食材価格高騰への影響を排除すべく,「食べ放題禁止法」(飲食店による食べ放題メニューの提供を禁止するもの)「改正消費税法」(大盛りメニューにかかる消費税率を10%に引き上げるもの)「飲食物持ち帰り促進法」(飲食店で食べ残した料理を客が自宅に持ち帰れるよう,折詰め箱等の備置を飲食店に義務付けるもの)のいわゆる「食べ残し3法案」を共同提出する等,政界の動きも活発化しているが,民間でもこうした流れへの対応は進んでいる。



東京・銀座の日産自動車本社内の社員向けレストランでは,食材廃棄率ゼロを目指し,この5月からレストラン運営を抜本的に見直した。

その柱は2つで,1つ目はメニューの見直し。これまで,3種類のランチセットを中心に提供してきたが,5月から,従来のランチセットの食材を全てスープ状にして提供する形にした。

従来はたとえば「パセリは飾りだから食べるものではない」「にんじんは苦手なので…」などと,どうしても食べ残しが出ることが多かったが,ランチセットを丸ごとスープにしてしまうことで,こうした選り好みも出来なくなるというわけだ。

ちなみに6月2日のランチセットのメニューはAランチが「鮭の塩焼きスープ」,Bランチが「ホイコーロスープ」,Cランチが「カニクリームコロッケスープ」となっている。



もう一つの柱は,食器の廃止。たとえスープ状にして提供したところで,個別に食器によそうことで,どうしても飲み残しが出てしまう可能性がある。

このため,同レストランでは5月から広いレストランの3箇所にそれぞれ容量300リットルを超える大鍋を設置,ここにAランチ,Bランチ,Cランチの3種類のスープを入れ,社員は専用の長いストローで大鍋から直接スープを吸って摂取するという提供方式を導入した。

これにより,社員はそれぞれ自分にとっての適量を飲んで食事を終えることから「飲み残し」も無くなるとともに,食器洗浄コスト等が大幅に減少。さらには社員一人当たりの昼食時間が1分程度に大幅短縮されることになり,レストランの混雑も大幅に解消され,社員は昼休みを有効に活用できるようになったという。

ただ,メニュー間で人気差はあり,どうしても人気薄メニューのスープが最後は大鍋に残ってしまうのも事実。

同レストランではこれも無駄にしないよう,1週間で残ったスープを大鍋にまとめて投入,翌週,価格が他のランチの半額である「お楽しみランチ」として提供しているという。4番目のメニューである「お楽しみランチスープ」の味は当然ながら週によって相当な差があり,奇跡的に美味しい週もあれば,大鍋から漂う異臭で社員が倒れる週もあるという。

導入以来,社員平均でウエストが1.5cm細くなったという調査結果もあるなど,社員の健康面にも大いに寄与している模様で,完全に定着した仕組みと言えそうだ。



会議とランチの一体化により食材廃棄率引下げと情報セキュリティ強化を同時に実現したのは資生堂

重要な機密情報を扱う会議は,全て12時スタートの「ランチミーティング」として行う方式に切り替えている。

そのミソは,機密性が高く,会議終了後に回収・破棄処分していた文書を,極薄せんべいにイカ墨・食紅等で印刷したものに切り替えた点にある。

会議中は極薄せんべいを片手にそこに記された機密情報を見ながら濃密な議論を行い,その案件が終われば昼食代わりに資料をそのまま食べてしまうという仕掛けだ。会議参加者は責任をもって資料を完食することが社内規定により義務付けられており,廃棄率ゼロと機密資料流出リスクゼロを同時に実現している。

その代わり大変なのが会議の事務局。A4サイズの極薄せんべいは市販されていないため,事務局である社員が自ら1枚ずつ手焼きせざるを得ない。現在も社員20名が全国各地の手焼きせんべいの老舗に研修に出ているという。

焼きあがったせんべいにイカ墨等で文字を印刷する手段は,昔懐かしい「プリントゴッコ」だ。重要な会議前になると,社内で大量の極薄せんべいを焼く香りと,プリントゴッコで印字をする「ガッチャン」という音が響き渡っており,「なんとなくだが,企業文化が確実に変わってきている感じがする」(資生堂社員)という。


食べ物の好き嫌いがあると今後の企業社会で生き抜くのが難しい時代になりそうだ。