チワワと農業の融合が実現−ペットブームから思わぬ展開


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ペットブームが生んだ悲劇が,新たな展開を呼び起こそうとしている。



飼っていたペットを「飽きた」「経済的に飼えない」等の理由で不法に置き去りにする事例は昔から後を絶たず,動物愛護という観点だけではなく,生態系のバランス崩壊にもつながるケースが出ている。

ただ,こうした問題はこれまで主に爬虫類,両生類や猛禽類等が対象であり,犬について大きな問題が起こることは比較的少なかった。これは,犬の寿命が犬種ブームのサイクルよりも短いため,置き去りに至るケースも少なかったものと見られる。


ところが近年,犬種の多様化の進行に伴い,人気の犬種の移り変わりも激しくなったこと,一方で医療技術の進展により犬の寿命が長期化したことから,置き去りにされる犬が急増するという痛ましい現象が発生している。


室内小型犬ブームが一巡し,中・大型犬に需要がシフトするなか,人気低落の憂き目に遭ったのが,テレビCM等をきっかけに一大センセーションを巻き起こしたチワワ犬。かつて「購入まで3年待ち」と言われた時代はとうに過ぎ去り,「譲りたくても引き取り手がいない」という状態となっている。


そんなチワワ犬が集結したのが,群馬県のいわゆる上毛三山の一つ,榛名山近辺だ。チワワに飽きた人や,経済的理由から買えなくなった飼い主らがこの近辺に数匹を置き去りにしていったのが始まりと言われている。

その後,榛名山麓は,「チワワを飼えなくなったが,可哀想だから少しでも仲間の多い所に置いていきたい」という飼い主らにとって「愛犬を野に放つための聖地」として位置づけられ,少なくとも2005年までに推定2万匹以上のチワワが置き去りにされた,と地元自治会の立山伸二さん(59)は語る。

そんな榛名山は,野生化しつつある「野良チワワ」で溢れ返り,「野鳥友の会」が2008年9月に行った視認推計で,繁殖等により65,000匹を超えていることが確認された。

愛らしい犬の代表格であった風貌は野生化により完全に失われ,榛名山の生態系の頂点にあったはずのイノシシ達も,凶暴化したチワワの集団に襲われることで急激にその生息数を減らしており,榛名山は「野生チワワの王国」と化した。体長1.8m,体重95kgという想像を絶する「ボスチワワ」の存在も確認されており,近隣では「チワワが怖くて夜も眠れない」と訴える住民が急増,深刻な社会問題となっていた。


そうした状況を逆手にとって対策を打ち出したのが,前出の立山さん。「チワワに罪はなく,猟銃で駆除するのは忍びない。何とか彼らを役に立てる方法はないものか」と思案し,チワワの新天地を思いついた。


群馬の代表的ブランド農産物である下仁田ネギの畑が,その新天地だ。


雑食のチワワに,下仁田ネギの畑に生える雑草や害虫を食べさせて,無農薬栽培を実現する「チワワ農法」の担い手として利用するという立山さんのアイデアに,当初は近隣のネギ農家は「あんな恐ろしいチワワ達を畑に放つなんて」と一様に拒否反応を示した。

しかし,立山さんの畑で行われた実験の結果,餌を与えられないチワワ達は,やむなく害虫や雑草を食べるようになり,無農薬栽培が実現可能であることが確認され,これを見て相次いで近隣農家もチワワ農法を取り入れ始めた。

下仁田チワワネギ」という新たなブランド名で出荷されるこの無農薬ネギは,生産者とチワワたちが一緒に写ったシールが貼られているため,子供達にも大人気の商品となっており,「通常の下仁田ネギと比較して3割程度高く売れる」という。


「アイガモ農法」は水田でなければ実践できないが,地上歩行が得意で体長の低いという特性を生かしたチワワ農法は,様々な畑や果樹園等で応用が可能であるため,全国各地からの視察も相次いでおり,実際に導入を決めた農家らが榛名山から野良チワワを数十匹単位で次々と引き取っている。


8月30日現在,榛名山のチワワは15,000匹を切る水準まで減少している模様であり,次の焦点は,福岡県南部の高良山を我が物顔で荒らしまわっている約10万匹のミニチュアダックスフントの活用法になりそうだ。