ポスト「eラーニング」に任天堂が名乗り


注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。



企業の社員研修手法として定着が進んでいる「eラーニング」の次世代版とも言えるサービスに,任天堂が名乗りを上げ,注目を集めている。



業務内容の高度化・複雑化に伴い,サラリーマンが覚えるべき社内規定・ルールのボリュームは近年,飛躍的に増大している。

日本経済研究センターの2005年時点の調査によれば,サラリーマンが内容を把握しておくべきマニュアル等のページ総数は,課長クラスの場合,全産業平均値で約25,000ページ(A4版換算)となっており,20年前(1985年)と比較して実に30倍にも増えている。

1ページの内容を理解するのに10分とした場合,マニュアル内容の把握に必要な時間は約4,200時間となり,これは一般企業の所定労働時間の2年分に相当する。


「2年間ひたすらマニュアルを読み続けているうちに異動の内示を受けた」等の事態が続発したことや,「特に重要なのがどこなのか,ボリュームがありすぎてよく分からない」という声が高まったことを受けて,5年ほど前から脚光を浴びてきたのがいわゆる「eラーニング」だ。

これは,規定やルールの中で特に重要な箇所を担当者が本当に理解しているかをチェックするための仕組み。

ルールを実効性あるものとして組織に根付かせるために有効であると評価され,現在では上場企業の70%以上が社員研修目的で採用していると言われている。


しかし,このeラーニングは結局「PCの画面で読んで正解をクリックする」という作業の繰り返しであり,受講後3日もすると記憶が薄れてくるとの指摘も多くなされている。

こうした現象について,日立製作所フェローで脳科学者の小泉英明氏は,「長期記憶のためには,指先だけではなく,腕や体全体を動かし,記憶を経験化させることが有効だ」と指摘している。



こうした問題を解決すべく立ち上がったのが,近年ゲーム市場の飽和感から業績伸び悩みが目立っている任天堂だ。

花札・トランプから生まれた当社のDNAを今こそ復活させる」とする同社が提案したのは「かるたラーニング」だ。

これは,様々なマニュアル等のうち重要だとされる知識のエッセンスを「いろはがるた」に集約し,激しいかるた取りを通じて重要な情報を身体から叩き込もうというものだ。

任天堂では,様々な分野の専門家とアドバイザリー契約を締結しており,「どのようなテーマであっても,注文から3日以内に『いろはがるた』に仕立てます」と豪語している。



記念すべき第1号案件となったのは,日本における会計基準設定主体である「企業会計基準委員会(ASBJ)」が発注した,「IFRSかるた」だ。

2015年にも本邦企業に強制適用される可能性があるIFRS(国際財務報告基準)については,近時企業経営者および実務担当者の間で急速に関心が高まっており,ASBJにも各方面から膨大な量の照会が寄せられてきた。

中でも多い照会が「IFRSを最も効率的に理解するための手段はないか」というもの。

世界初の「IFRSいろはがるた」はこうしたニーズに応える切り札として発注されたものだ。

「『イファース』と 読めばツウだと 思われる」
「ロンドンで どんどん決まる 基準かな」

で始まり,

「セグメント IFRS8号 よく読んで」
「スケジュール 追われまくりの 実務方」

で終わるものだ。

「全部覚えたらIFRS実務担当者として一人立ちできるレベル」というASBJの「お墨付き」もあり,1セット5万円という高価格にもかかわらず,IFRSの早期適用を検討している上場企業等に飛ぶように売れているという。


そうした企業の一つである三井物産では,2010年1月4日の仕事始めの日に,経理部門に属する150名の社員を対象とした「新春IFRSかるた大会」を開催することを明らかにした。

6名単位の予選リーグから優勝決定トーナメントまで丸1日をかけて,かるたの腕,いやIFRSの知識の定着度を試すというものだ。

優勝者は経理本部長に任命され,予選リーグ敗退者は,たとえ部長クラスであっても平社員にされてしまうという厳しさで,「IFRS下剋上(同社社員)ともいうべき未曾有の戦いが待ち構えているようだ。



任天堂にはIFRSかるたの成功を見て,各方面から新規発注が殺到している。

最新の手術技法を短期間で覚えさせるための『オペかるた』(京都大学付属病院),料理人としての秘技の全てを惜しげもなく披露する神田川料理道場かるた』(神田川俊郎氏),最新鋭の旅客機操縦方法をわずか50枚足らずのかるたで修得できるというエアバスA380かるた』(エアバス・ジャパン)など,バラエティ豊かな商品が続々と登場する予定だ。


こうした盛況ぶりを受けて,任天堂では国内外のゲーム機生産ラインを大幅に削減,これらの要員を,手すき和紙を1枚1枚手作業で張るなど手間のかかるかるた製造部門に配置転換していく予定だという。


ドラスティックな日本の構造変化につながるかどうか,注目される。