アウトソーシング廃止の取組み広がる−大手商社・丸紅の挑戦


注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。



従来アウトソーシングしてきた業務を再び自ら取り組もうという企業の動きが目立ち始めている。本日はそんな中の1社の試行錯誤の取組みを追った。



業務のアウトソーシングは,90年代以降の企業業績悪化のなかで,コスト削減・業務の効率化等を目的として多くの企業における一大ムーブメントとなってきた。

しかし年数を経るにつれて,アウトソーシング自体が自己目的化している事例や,委託側企業にアウトソーシング業務を統制できる能力が消滅している事例,個人情報保護などアウトソーシング先管理にかかる委託者責任の増大,非正規社員増加の原因になっているとの批判等,問題が増大しているとの認識が広まってきている。

こうした状況を踏まえ,「再度,本当にアウトソーシングしたほうがよいのかどうか,一旦全てのアウトソーシングを廃止し,企業の役職員自身で取り組むことで検証すべき」という論調が強まってきているもの。

今回訪問した大手商社・丸紅もそんな企業の一つだ。



同社が最初に取り組んだのは社員自身によるオフィスの清掃業務。

これはどの企業でも手がけやすいこともあり,財務省の法人企業統計によれば,2008年12月時点で既に,全企業の58.5%が取り組んでいるものだ。

同社では,「掃除のプロフェッショナル」としても知られる女優の松居一代さんを社外取締役として招聘し,「マツイ棒」など,彼女が発明したとされるオリジナル清掃用品の使用方法等を社員に叩き込んできた

1年が経過した現在では完全に定着しており,朝8時30分からの本社一斉清掃タイムでは,社内に流れる社歌「丸い紅(くれない)」のメロディに合わせて,全社員が両手に握ったマツイ棒を駆使して床から天井までをみるみるうちに磨き上げていく。

同社の取組みはオフィス内部の清掃にとどまらない。

ビル外壁・窓ガラスの清掃も社員自ら手がけるようにしており,東京・竹橋にある本社ビルでは,2週間に1回,抽選で指名された10名の社員が命綱を頼りに屋上からスルスルと降下しながら,手際よく大きな窓を拭き上げていく。

10人に1人くらいは恐怖のあまり途中で失神するというが,「これくらいのリスクを冒せない人間が商社マンを名乗る資格は無い」という空気が支配的だ。



同社では清掃業務の定着を踏まえ,社員食堂の運営も社員自身で行う仕組みをこの7月から導入している。

これは,献立の検討・材料の購入・調理・提供・食堂ホール管理・食器洗浄等全てを社員自らが当番制で担当するというものだ。

当番は原則として事業部単位で週替わりで担当することになっており,本来業務を滞らせないよう,所属社員をフル活用してこれらの仕事をこなしているという。


11月第3週の当番は,電力・インフラ部門の海外電力プロジェクト第3部。

中東における発電所建設プロジェクトへの参加の是非を決定するタイムリミットと重なったため,経営会議に諮るための膨大な資料作成作業と「ゴボウのささがき」「海老の背わた取り」などの作業が交錯。

結局経営会議資料の作成・印刷作業が終わったのは,経営会議当日かつ給食当番初日である16日の早朝4時となった。


午前9時からの経営会議では,役員に配布された資料にみじん切りの玉ねぎが付着しているなどの不手際はあったものの,議事は予定通りに進行。

しかし,午前11時30分の食堂オープンまでに準備する必要のあるメイン献立「海老餃子」5400個の準備が完了していないため,会議に出席した同部メンバーらは,資料説明をしながら餃子の具を皮で包んでいく作業も並行して実施。

11時を回ると,同部部長が悲壮な表情で「時間が足りないので協力をお願いしたい」と申し出た結果,円卓に座っている社長以下計18名の役員らも議論を進めながら餃子包みに参加,この結果,プロジェクト参加も了承され,また5400個の餃子も無事完成するという万事めでたしの結論となった。


本来業務を抱えながらこうした給食当番をこなすことについて,一部社員からは「仕事に集中できない」という不満の声も出ているが,「同僚と協力することの重要性を実感できた」「子供の世話をしながら家事をこなしている妻の苦労を理解できた」など,前向きにとらえる声が今のところは大勢を占めているようだ。



同社の挑戦が成功裏に進んでいることで,今後同様の取組みを行う企業が増加することが予想される。

来るべき給食当番に備えて,サラリーマンは皆,料理の腕を磨いておいたほうがよさそうだ。