新卒採用戦線に異変 − 第一生命の冒険


注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。


企業の新卒学生採用戦線に今,静かな変化が起きている。



東京・有楽町にある第一生命本社。

19階の人事部にある社員の人事ファイルを見ると,平成20年以降に採用された社員のうち,数名のファイルに「川」というスタンプが押されている。これは,一昨年にスタートした「川柳採用」社員の証しだ。



株式会社化することで話題を集めている同社だが,やはり最も有名なのはサラリーマン川柳」の主催者としての顔だ。

歴史を重ねるこのコンテストだが,近年は徐々に応募数が減少しつつあり,これをカバーするため,全社員に一人3点以上の応募がノルマ化されているのはもはや公然の秘密となっている。

ただ,社員の中には「俺は川柳を作るために第一生命に入ったんじゃない!」と反発し退社する者も少なくないといい,経営陣の悩みの種となってきた。



そんな中,人事部が考え出したのが総合職社員のうち1割程度を「川柳」で採用するという案。

サラリーマン川柳向けに優秀な作品を生み出せる社員を確保する,という狙いもあるが,「就職の面接でお題を示して,即座に優れた川柳を詠めるかどうかで,頭の回転の速さ,他人と異なる独自の視点,コンパクトに主張をまとめ相手の共感を得るプレゼン力など,サラリーマンとして必要な能力の多くを見極めることが出来る」というメリットに着目したものだ。

この採用ルートの場合,出身校OB・OGとの一次・二次面接を通過した後,同社内会議室で人事部社員と個別面談を行い,次々に繰り出される質問(10問前後)に,原則3分以内で川柳形式で答えるという厳しい試練に臨むこととなる。


21年度川柳採用組の川端篤さん(24)は語る。

「最初の質問が『他にどういう企業を回って,どういう状況なのか』というものだったので,即座に『内定を 集めて早し 25社』と回答したらかなり評価されたようです。まあ嘘なんですけど

その後もとんとん拍子に回答を重ねた川端さんへの最後の質問は,「あなたのストレス解消法は何ですか」というものだったという。

バイクが趣味の川端さんは,これまた即座に「午前二時 盗んだバイクで 走り出す」尾崎豊調で返したところ,「犯罪者は当社には要らない」と面談者の一人が激怒,危うく落とされそうになったが辛うじて採用されたという。

「川柳採用」社員たちの活躍はめざましく,平成20年の「サラリーマン川柳」トップ10のうち8作品を輩出している。

また,仕事面においても「A4で40枚もあるような企画提案書の内容を5・7・5のわずか17文字に要約した」など,業務のスピードアップの面でも多大な貢献を果たしている。

同社では23年度以降は「川柳採用」の比率を5割まで高めることを志向しており,他の企業でも本格的に検討を開始する動きが出てきている。



このまま川柳採用が広まれば,20年後には日本中の企業の稟議書が全て5・7・5の17文字に統一されているかもしれない。日本企業の国際競争力にどのような影響を及ぼすのか,注目される。