新幹線「はやぶさ」,鹿児島まで疾走


注意:この記事は,不透明な現代社会に悩む方々のために,近い将来に起こりうるニュースを独自の取材と妄想に基づき記述しているものです。したがって現時点において事実ではない情報が大量に含まれており,記事中に登場する法人名・個人名等も実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。


5日デビューの東北新幹線はやぶさ」が,終点の東京を越えて一気に鹿児島まで突っ走るという微笑ましいハプニングが発生した。

ハプニングの舞台となったのは,5日午前6時10分新青森駅発の「はやぶさ4号」。
華やかな出発式典に見送られながら滑り出すように走り始めた車内は,ほぼ全員が鉄道ファンと見られる乗客で満席。
車内放送の音楽が流れただけで大歓声があがり,「本日の運転士は高崎です」と車掌がアナウンスすると「たーかさき!たーかさき!」というコールまで沸き起こった。

そんなハイテンションな「はやぶさ4号」車内の雰囲気が変わったのは,大宮駅を出発した頃だ。
「もうすぐ『はやぶさ』から下車しなければならない」としんみりしたムードに包まれたが,ある乗客の一言で雰囲気はガラリと変わった。
「このまま鹿児島まで行けるんじゃない?」

そもそも「はやぶさ」は,かつて東京−西鹿児島間を走っていた寝台特急の名称であることなどから,乗客らは一気に「そうだ,鹿児島行こう」「はやぶさを里帰りさせるべきだ」と盛り上がり始め,今度は「かーごしま!かーごしま!」コールが全車両で轟き始めた。
一部車輌では,鹿児島行きを求めて車掌室と運転室に向かう乗客らのデモ行進も発生,車掌と運転士は安全確保の観点から,総合司令室に東海道・山陽・九州新幹線への乗り入れを緊急要請。

JR東日本にとっては初のJR他社の新幹線への乗り入れとなるため,調整難航が予想されたが「全国的に盛り上がりそうだから」という理由であっさりJR他社との調整が完了。
「デビュー初日のサプライズイベント」という位置付けで,鹿児島中央駅までの直通運転が決まった。

この決定はただちに車内および東京駅ホームでアナウンスされ,車内の乗客は喜びを爆発させたが,折り返し運転の新青森行き「はやぶさ3号」に乗るため東京駅ホームに並んでいた客らは「俺達が乗れないじゃないか!」と大激怒。
この状況を知らされた「はやぶさ4号」の乗客らは「我々は既に十分座席を堪能したので通路に立ち,東京から鹿児島までの席は譲ります」と,快く「はやぶさ3号」の乗客を迎え入れた。
もともと「はやぶさ3号」の乗客は「『はやぶさ』に乗れさえすれば,行き先はどこでもいい」という鉄道ファンばかりだったため,突然の行き先変更も「乗車時間が長くなるので大歓迎」と受け止められた。

東京駅に到着後,東海道新幹線乗り入れのためのレール切替を待つ間,「はやぶさ4号兼はやぶさ3号」には新たな乗客らが続々と乗り込み,乗車率200%になった車内はあちこちでハイタッチをする光景が見られるなど,引き続きデビュー初日の興奮で満ちたまま。
そして,東海道新幹線のレールにゆっくりと進入した「はやぶさ4号兼はやぶさ3号」は,一路鹿児島中央駅に向かって速度を上げていった。

東海道新幹線の過密ダイヤを縫うようにして走るため,通常必ず停車する「品川」「新横浜」「名古屋」「京都」を次々と時速280km前後で通過。さらに,普通ではあり得ない「新大阪駅通過」の瞬間には車内で「おおさか!おおさか!」と,車窓を流れ去る街へのエールまで送られた。

ノンストップで走り続けた「はやぶさ4号兼はやぶさ3号」は,東京駅発車からわずか5時間後の午後2時33分,鹿児島中央駅に到着。
車内では「さらに南へ」ということで「指宿(いぶすき)」コールや「沖縄」コールも出たものの,「明日以降の運行に支障が出るので勘弁ください」という車掌の説得に理解を示し,明日の運行に備えるため新青森まで戻ることとなった。

「せっかくの機会なので是非乗りたい」と鹿児島中央駅に集まってきた地元住民らをさらに追加で乗せ,乗車率500%になった「はやぶさ4号兼はやぶさ3号兼さくら570号」は午後3時2分に出発。レールの切替のため一旦停車が必要な東京駅を除きノンストップで走行し,午後10時22分に新青森駅に無事到着した。

JR東日本では「6日以降は通常運行に戻るので変な期待はしないでもらいたい」とコメント,新幹線の連続運転時間の新記録を打ち立てた高崎運転士は「明日は休ませてもらいたい」と疲れた表情で語った。