墨田区VS埼玉県,第2ラウンドへ

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かつて,新東京タワー(現「東京スカイツリー」)誘致をめぐり激しいバトルを繰り広げた東京都墨田区と埼玉県が,新たな争いに入っている。


超高層ビルの林立による電波障害や地上デジタル放送開始に対応するべく,新東京タワー構想が登場したのが2003年。以降,各地で激しい誘致合戦が繰り広げられた。
最終的な候補地として残ったのが墨田区さいたま市だったが,2006年3月に最終的に墨田区への建設が決定。戦いに敗れた埼玉県では,「代わりになるものを誘致しよう」として,在日フランス大使館に「第2エッフェル塔」建設を持ちかけ,事業費不足で頓挫したのは記憶に新しいところだ。


そんな因縁を持つ墨田区と埼玉県の間で始まった新抗争は,「巨大な数字を分かりやすく説明する際に用いられる換算単位」の座をめぐるものだ。


新聞紙面等では,数百兆円とか数百万トンといった,日常生活では実感しにくい数字が飛び交っており,しかもそれらの数字が今後の国民生活に大きく影響することも少なくない。
政府では,「日本や世界が抱える課題を広く国民に実感してもらい,解決に向けた議論を進めるには,こうした巨大な数字を実感できる単位に置き換えて表現する等の工夫が必要」という意見が台頭。
この類の換算単位としては,既に「東京ドーム」がゆるぎない地位(「日本人は年間で東京ドーム10杯分のビールを飲み干す」など)を占めているが,「東京ドームでは体積と面積しか測れない」「そもそもドーム一杯分の体積というのは,普通の人は体感できないのでは」といった声も多く,結局「汎用性が高く,国民がより実感できる新たな換算単位」を公募することとしたもの。


これを受けて名乗りを上げたのが「東京スカイツリー」と「埼玉県」の2者だ。


スカイツリーを推すのはもちろん地元・墨田区だ。
高さばかりが注目されているスカイツリーだが,例えば建設費用である400億円,総重量4万トン等,多角的な換算が可能である点をセールスポイントにし,さらに「何と言っても国民の注目度が高い」点をアピールしている。
「日本国の借金が1,000兆円と説明するとすごく暗澹たる気持ちになるが,スカイツリー25,000本分と説明すると何となく明るく見える」と,政府関係者はかなり魅力を感じている模様だ。


一方,換算単位として「埼玉県」そのものを提案したのは同県の上田清司知事。
埼玉県は「日本全体の耕作放棄地面積」を表す単位として利用されてきた(現在は放棄地の増加で滋賀県にその座を譲った)が,面積だけでなく,「人口(720万人),温度(熊谷で40℃),距離(東西で約110km),金額(県内総生産22兆円),熱量(埼玉県民の1日当たり摂取カロリー数130億キロカロリー),形(さつまいも似)など,スカイツリーをはるかに上回る多面的な換算が可能」という点をアピールしている。
また,スカイツリーに比べて国民の注目度がやや劣る点についても,「換算単位そのものが目立つのは果たしてどうか。地味だからこその良さもある」と反論している。

政府は,30種類程度の問題を示し,これらをうまく換算できるかどうかで勝負を決める腹だ。
「鉄人・衣笠祥雄プロ野球連続試合出場記録2,215をスカイツリーに換算すると?」「太陽系が誕生してから現在までの時間を埼玉県に換算すると?」など,続々と寄せられる難問に墨田区・埼玉県は頭を悩ませているが,無事勝ち残っても,果たして国民にどの程度定着するのかは分からない。
そもそもこうした単位を決める必要があるのかを含めて,議論はまだまだ続きそうだ。