英語検定業界に「下克上」の波−どうするTOEIC,英検

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英語力検定の代名詞とも言えるTOEICなどの各種試験間で,生き残りを賭けた死闘が始まろうとしている。


英語力を測定する資格・試験には,実用英語検定(英検)・TOEIC・TOEFL・国連英検等をはじめ,多種多様なものが存在している。
それらのなかでも,受験者数で突出しているのは学生を中心に受験者を集める英検と,大学生や社会人に人気のTOEICで,それぞれ年間受験者数は200万人を超えている。これら以外の資格・試験は,それぞれの独自性で勝負,というのが業界の構図として定着している。


そうした業界に衝撃が走ったのが4月8日。自民党教育再生実行本部が安倍首相に提言した「大学入試でのTOEFL義務付け」がそれだ。
TOEFLは,TOEICと同じ米国のEducational Testing Service(ETS)により開発された試験。「英語による高等教育を受ける資質の有無」という観点から実施されるため,リスニング・リーディングだけのTOEICと異なり,スピーキング・ライティングも加わった,英語の総合力をチェックする試験となっている。


自民党教育再生実行本部の遠藤本部長は,現在日本人の受験が年間10万人にも満たないTOEFLに白羽の矢を立てた理由を「TOEFLはこれから高等教育を受けようという者を対象に想定されている」「国際的にはTOEICよりもTOEFLの方がメジャーである」と説明している。


これに激しい危機感を抱いたのが,英検を主催する「日本英語検定協会」と,TOEICを運営する「国際ビジネスコミュニケーション協会」だ。「このままでは業界の覇権をTOEFLに奪われてしまう」と,18日にそれぞれ記者会見を行い,試験内容の改革方針を明らかにした。


TOEIC陣営が打ち出したのは,試験科目の多角化だ。
現在,通常のTOEICテストとは別にオプションで受験できるスピーキング・ライティングを必須科目化することでTOEFLとまず肩を並べたうえで,「コミュニケーション能力の測定」を売りにするTOEICならではの科目として,選択制の必須科目「欧米文化実技」を加えることとなった。
受験者は,「米国留学中に知り合った友人からホームパーティに招かれた」というシチュエーションのもと,まずは状況にフィットした言葉+ハグによるあいさつがこなせるかをチェックされる。
これをクリアすると,今度は選択制の実技試験だ。「アメリカンジョーク」「ワインテイスティング」「BBQ調理」「アップルパイ製作」等,12科目から2科目を選択,受験する。
アメリカンジョーク」の場合,試験官が指定したシチュエーションにふさわしいジョークを10秒以内に返し,「米国人試験官のみを爆笑させ,日本人など他国出身試験官をしらけさせる」という難しい条件をクリアできれば合格だ。
また,「BBQ」試験は,会場で渡されるスペアリブ(生肉)に,受験者独自の味付けを行って調理し,「俺(私)のBBQのどこが凄いのか」を英語でプレゼンしながら試験官らに試食させるという,制限時間10時間の壮大なテストだ。
現行テストとの比較可能性を確保するため,満点は現在と同じく990点とし,リスニング・リーディング・スピーキング・ライティングおよびあいさつ実技に各150点,選択実技科目に各120点を配する予定だという。


一方の英検協会も黙ってはいない。
「英語文化圏で生き抜くための知力と行動力」を試すという観点から,2級以上の2次試験に「サバイバルテスト」を導入。
アイマスクを装着した受験者を米国内の任意の場所(2級の場合は人口20万人以上の都市,1級の場合は無限定)に連れて行き,パスポート・所持金なしという状態で置き去りにして,そこから何日で日本に帰国できるかを試す,過酷な試験だ。
合格ライン内(2級の場合で30日)に帰国できない場合や行方不明になった場合は不合格となる。「まるで伝書鳩のレースのようで違和感がある」と協会内部でも反対論があるが,協会幹部は「いつ決断するのか。今でしょう」と今回の改正案を押し通す構えだ。


ヒアリングマラソン」など英語教育出版でおなじみのアルク社は,早速「速習BBQマラソン」など,実技試験対策講座を開設することを発表,「BBQの通信添削」という業界初のサービスにチャレンジする。


日本人の英語力,そして欧米文化への適応能力がどう向上していくのか,注目が必要だ。