テレ朝「劇的ビフォーアフター」が全面リニューアルへ


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テレビ朝日系列の人気番組「大改造!劇的ビフォーアフター」が4月から全面リニューアルされることが18日,関係者の話で明らかになった。

ビフォーアフター」は,2002年に放映が開始された,住宅のリフォームをテーマとしたドキュメンタリー系バラエティ番組。狭小,老朽化,日当たりなど深刻な問題を抱えた住宅を,「匠」と呼ばれる建築デザイナーらのアイデアで大幅にリフォームして問題を解決するという流れだ。


テレビ朝日にとっては,安定した視聴率を確保できる貴重な番組だが,1回の放映のための企画・取材期間が半年以上にわたるケースが多く制作費がかさむことや,リフォームのテーマについてもやや出尽くし感があることなどから,番組自体のリフォーム・リニューアルが課題となっていた。


そんな同局が4月からスタートさせるのは「劇的ビフォーアフター・企業編」だ。
経営上,様々な悩みを抱える企業に,「匠」と呼ばれる経営コンサルタントなどを派遣し,見事に問題を解決,再生させるというものだ。


第1回は,都内に本社を構える大手総合商社・A社が舞台だ。
A社は,前身企業からの歴史を合わせると今年で創業150年という歴史を誇り,グループ社員数は全世界で6万名を超える,世界に名だたる大企業。そんなA社も密かな悩みを抱えていた。


A社の創業者は,わずか5名で会社を立ち上げた際に,絶対に降ろしてはならない社訓として「全員一致」という言葉を掲げた。
社長だけでなく,社員全員が心の底から納得して物事に当たらないと,会社としての底力は発揮できない。そんな創業者の想いから,会社としての判断については,社員全ての賛成を得たうえで実施に移すという鉄の伝統がいまだに生きているのだ。


同社総務部のBさんがテレビカメラの前に持ち出してきた1件の稟議書を見て,取材スタッフは言葉を失った。
ウズベキスタン事務所の移転に関する件」と題されたその稟議書は,全世界の社員が理解できるように7ヶ国語で書かれており,6万名の社員全員のために用意されたサイン・捺印蘭は計150ページに上る。
2012年2月に発議されたこの稟議書が,全世界の6万名の手を経て東京本社で社長決済を受けたのは,何と2013年6月。
「これはまだ結構早い方です。いわゆるY2K問題対策にかかる稟議書は,1998年3月に起案したんですが,決定となったのは2002年でした(笑)」と明るく語るBさんは「これがわが社の強さの根源」と胸を張る。

しかし,さすがに決定までに1年を超える期間を要するのは現代のビジネス慣行からすれば明らかに無理がある。
Bさんは「実は,いわゆるWindowsXPのサポート切れ問題に対処するため,2012年11月に社内PCネットワークを全面更新する稟議書を起案したのですが,テヘラン事務所長が稟議書を紛失したらしく,まだ4万名以上が捺印していないんです」とやや暗い表情で打ち明けた。


そんなA社の問題を解決するために立ち上がったのが,「ワークフローの魔術師」という異名を持つ匠,経営コンサルタントの高木泰正だ。
高木は当初,「そんな問題は,権限ルールを見直して,決定に関与する人間の数を減らせば一発で解決する」と考えたが,顧客であるA社は「全員一致の原則は絶対に外せない」として譲らない。
A社の強みを活かしながら意思決定をスピードアップするという難問に直面した高木。
悩みぬいた高木は,本社に勤務する社員3,700名に,今後1ヶ月間は自宅勤務とし,本社ビルに立ち入らないよう依頼した。


そして1ヶ月が経過した今年2月。
久しぶりにオフィスへの立ち入りが許された社員らがうれしそうに出勤してきた。入口で出迎え,社員らをエレベータで10階に案内する高木。そしてエレベータが開いた瞬間,社員らは度肝を抜かれた。そこには,ビルの9階から12階までの4フロアをぶち抜きにした巨大会議場が新設されていたのだ。
中央に舞台が用意され,その周囲を,本社の社員全員が余裕で座れる4,000名分の座席がぐるりと囲む。そして,壁面には実に70,000台ものモニターが設置されているのだ。


そう,高木の提案は,「社員6万名による即決システム」の構築だった。
稟議書の起案者が舞台上で内容を説明,本社社員は会場で,またそれ以外の社員はモニターを通じてこれを見て,その場で賛否を表明するという仕組みだ。
同社で全社員に回付される稟議書は週平均で約1,500件あるため,毎日全社員が2時間程度この会議のために時間を割くと仮定すれば,1件当たりの時間は24秒。賛否表明に4秒として,プレゼン時間は20秒と,いわゆる「エレベーター・プレゼンテーション」並みにポイントを突いた説明が求められる。

「全員一致」という社風はそのまま残しながら意思決定を劇的にスピードアップさせるとともに,プレゼン能力も格段に向上させるという,「匠マジック」炸裂だ。


その後,会議場から通常の業務室に案内された社員らは再び目を疑った。
フロアからは全ての椅子が撤去され,個人の机の代わりに直径50cm程度のテーブルスタンドが無数に林立している。さながら巨大化した「俺のフレンチ」店内といった光景に呆然とする社員らに,匠は「会議場を造った分,オフィススペースが減ったので,オールスタンディング・フリーアドレス方式に変えてみました」とさらりと言い残して,颯爽とその場を去っていった。



なお,第2回放映は「再春館製薬所」お客様センターが舞台になる模様。
「ドモホルンリンクル」でおなじみの同社お客様センターでは,何か問題が発生するとフロア中央のスペースで社員が太鼓を叩いて,各チームリーダーを招集して相談するという仕組みでも有名だ。
この「太鼓で人を呼ぶ」という原始的なシステムに,「ICTのカリスマ伝道師」の異名を持つ匠・芝原耕太が牙を剥く。

こうした劇的リフォームで日本企業や日本社会がどのように変わっていくのか,注目が必要だ。