「人事異動詐欺」が流行−警察が注意喚起

注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。


4月を迎え,多くの企業が人事異動の季節を迎えている。
そうしたなか,「人事異動詐欺」とも言われる新手の詐欺が流行していることが明らかになり,警察では厳重な注意を呼びかけている。


大手不動産会社の都内事務所に勤めるAさん(31)のスマホに,大手運送会社の名前で「ご栄転おめでとうございます!」というメールが入ってきたのは3月25日。
次の営業先へ移動中の地下鉄車内でメールを開くと,「このたびは,4月1日付での札幌支社へのご栄転,まことにおめでとうございます。弊社は,貴社人事部様より,人事異動に伴うお引越しの手配をご依頼いただいております」で始まる内容に,自身の異動を知らなかったAさんは愕然。
「どうして,本人も知らない異動情報を,外部の業者から伝えられるのか?」という思いがよぎったが,「発令日までの日程が極めて短いことから,至急連絡を取らせていただきたく,ご案内を差し上げました」という文面と,自身が昔から強く希望していた札幌勤務がかなうという喜びの前に,Aさんの猜疑心はほぼ消滅した。
メールには「詳細なお見積もりの前に,内金2万円を入金していただくと総費用の30%を割引させていただきます」という文章が続いており,札幌行きですっかりテンションがあがってしまったAさんは,地下鉄を下りると,迷うことなく指定された口座に2万円を振り込んだ。
喜びながらオフィスに戻ったAさんを待っていたのは,「そんな人事異動は出ていないよ」という,同僚達の冷ややかな声。まんまと詐欺にひっかかったAさんへの同情の声は極めて少なかったという。

同様の事例は合計で500件以上確認されており,転勤先として「札幌」「福岡」などが記載されていたケースでは,実被害の発生確率が5割を超えているという。なお,「埼玉支社へのご栄転おめでとうございます」というメールのみ,実被害はゼロだった模様だ。



メガバンクの一角であるB銀行の目黒支店。
4月1日早朝,行員通用口のインターホンが鳴った。鳴らしたのは,大阪の堂島支店からこの日転勤してきたCさん(29)。
通用口付近に居合わせた支店行員に案内され,この日から働く新たな職場に足を踏み入れた。
大銀行だけあって,職場にいる人は全て初めて見る顔ばかり。簡単に自己紹介したCさんは,新たな上司となるDさんに,担当業務の概要についてのレクチャーを受けた。
早速,担当取引先への挨拶まわりに行くことになったCさん。あいにく課長も同僚も皆多忙だったため,Cさんは挨拶回り先のリストを手に,1人で回ることとなった。
ところが,転勤のバタバタで財布の中身が極端に少なくなっていることに気付いたCさんは,上司のDさんに「大変すみませんが,手許現金が少なくて,キャッシュカードも引越し荷物に入ってしまっているんです」と訴え,当座のお金として2万円を借りることとなった。
この日,夕方5時を過ぎてもCさんが帰店せず,何の連絡もないことに不安を抱き始めたDさんのもとに,息を切らして見知らぬ男が駆け込んできたのはその直後だった。
「遅くなってすんません!今日からお世話になりますCです!」
そう,Dさんは,Cを騙る何者かにだまされ,2万円を渡してしまったのだった。


こうした事態を受け,警察庁では「ありえないと思われる人事異動が出た場合は,人事部に確認するか,警察に相談するなどして,細心の注意を払ってもらいたい」と注意を喚起している。


詐欺の世界は,時代や環境,季節の変化とともに次々と新手を生み出してくる激しい世界だ。
自分は絶対に騙されないという思い込みは捨て,注意深く対処することが求められそうだ。