財務省,消費税軽減税率をめぐり苦闘


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来年10月に予定される消費税率の再引き上げに向け,財務省の苦悶が続いている。


法人税率引き下げの方向が決定的となった今,同省にとっては消費税の10%への引上げは,どうしても実現しなければならない重要ミッション。ただ,8%への引き上げ時に見送った「軽減税率の適用」という議論は絶対避けて通れないのも事実だ。

食品など,生存に不可欠な物品購入については消費税率を軽減するという考え方自体は比較的理解されやすいものの,この議論で難しいのは「軽減税率を適用する範囲」の定め方だ。
要は「ぜいたく品」と「非ぜいたく品」の境界をどこに置くか,という問題だが,軽減税率を導入している他国でもこの辺はややギクシャクしており,同じ食べ物を店内で飲食する場合とテイクアウトする場合で税率が異なる等の不合理な事例は無数に存在している。



財務省ではこの課題について内々検討を重ねてきたが,そのなかで有力案として残ったのが,「信頼性の高い第三者による個別評価・判定」と,「極めてシンプルな判断基準の設定」という2つの案だ。



前者については,「それなりに合理的に見える理屈をつけて無理にでも制度を導入すれば,後はおとなしく従う」という日本人の特性を念頭に,「外部の第三者評価」を活用するという案だ。
そして,その第三者評価の担い手として白羽の矢が立ったのが,フランスのミシュラン社。
ミシュランによるレストランガイドは,本国フランスのみならず,日本を含めた世界各国に広く知られており,特に日本では,そのレストラン評価は絶対視されている。
こうしたミシュランの「絶対性」を利用して,日本国内で購入できる全ての食品について,ミシュランに「ぜいたく度」を評価させるという構想だ。
より具体的には,「ぜいたく度3つ星」は税率軽減なし,「2つ星」は1%軽減,「1つ星」は2%軽減,無星は2014年3月時点の5%に戻す,ということが想定されている案だ。


日本で購入できる食品は,素材を含めると400万種類を超えるという試算もあるため,財務省ミシュラン社は予備契約を締結のうえ,試験的に500品目の食材について既に仮評価を実施している。
しかし,この仮評価の内容については財務省内でも「これはちょっと耐えられないのでは」という意見が支配的になっているという。
例えば,コンビニエンスストア「ローソン」で店頭販売されているおでんの評価について,「しらたき」が「なんとなくしょんぼりした感じ」だという理由で無星とされているのに対し,「はんぺん」は「ふわふわした外観がトレビアン」という理由で3つ星評価。
また,各地の銘菓に関する評価では,宮城の「萩の月」が「世界に誇れる高級感」と絶賛され3つ星とされたのに対し,沖縄の伝統銘菓「ちんすこう」は,「口の中のパサパサ感が尋常ではない」として無星となった模様。

「どうしてフランス人の好き嫌いで日本の税収が左右されなければならないのか」という,根本的な疑義を呈する声もあるなど,この案は急速に支持を失いつつあるという。



その反動で,急速に支持を拡大してきたのが「極めてシンプルな判断基準の設定」という方向性だ。
そのなかで,もっとも有力視されている具体案が「1グラム当たり1円を超えるかどうかで判断する(=1円未満であれば免税)」というものだ。
たとえば,100グラム500円の牛肉は課税されるが,100グラム80円の鶏肉であれば非課税,ということになる。極めてシンプルなだけに「食材から外食業界にいたるまで,幅広く適用できるのが最大のメリット」と財務省関係者は自信を見せる。


ただ,やはり微妙な事例も存在する模様だ。
たとえば,総重量500グラムの「とんかつ定食」を750円払って食べる場合,グラム単価が1円を超えているので課税されるが,「ごはんのおかわり自由」サービスを利用して,250グラム以上のご飯を食べれば,免税となる。
同様の現象は,「食べ放題」を売りにする居酒屋・焼肉店等でも想定され,「5000円の焼肉食べ放題で5kg以上の肉を完食して免税を受ける」というような無謀な行動が広がることについて,国民の健康を与る厚生労働省や,食料自給率を気にする農林水産省からは懸念が伝えられているという。

どこかで何らかの決断が必要な話ではあるが,果たしてどのような形での決着となるのか,まだまだ予断を許さない状況が続きそうだ。