微生物に救われる?アベノミクス


注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。


納豆菌などの微生物が,行き詰まり感漂うアベノミクス・成長戦略の主役に躍り出ようとしている。


きっかけとなったのは,パナソニックの研究員が起こしたちょっとしたハプニングだった。
同社先端研究本部・主任研究員の安川保さん(38)は先月20日,食堂で昼食をとっている際に,誤って自分のスマートフォンの上に納豆をこぼしてしまった。防水仕様となっていないスマホの内部に少量の納豆が流入した可能性があったが,「すぐにふき取ったから問題ないだろう」と安川さんは普段どおりにスマホを使い続けた。


そんな納豆臭い安川さんのスマホに翌日以降,驚愕の異変が続々と現れ始めた。主な「異変」は以下のとおりだ。

  • バッテリーが従来と比べて10倍以上長持ちするようになった。
  • 通信速度が驚くほど速くなった。
  • 二度と使わない,くだらないアプリが勝手に全部消滅した。
  • LINEでいわゆる「既読スルー」されることがなくなった。
  • 10年前に亡くなった祖父からFacebokで「ともだち」申請が来た。

報告を聞いた安川さんの上司である高木明人本部長(57)は,「ただの偶然とは思えない」と直感。
89名の部下全員に,現在抱えている研究テーマをいったん中断し,納豆菌や各種酵母をはじめとする多様な微生物を様々なシチュエーションに投入し,何が起こるかを実験するよう命じた。
当初は渋々指示に従っていた研究員らだったが,次々と発生する驚愕の新発見に,本部内は次第に興奮に包まれた。

  • 書籍「善の研究」(西田幾多郎著:岩波文庫)を,清酒酵母が大量に含まれた液体に1時間浸したところ,小学生でもすらすら読めるくらい内容が易しく変化した。
  • 乳酸菌が大量に含まれている液体を東京証券取引所の外壁に噴霧したところ,壁が乾くまでの30分間,日経平均とTOPIXが上昇し続けた。
  • ビール酵母が含まれる溶液を,オフィスに設置されているコピー機の前面に塗布したところ,紙詰まりが全く発生しなくなった。

2週間で研究員が発見した重要事象は2,300件を超え,高木本部長は津賀一宏社長に報告。影響の大きさを直感した津賀社長は,ただちに記者会見でこの事実を公表することを決めた。

会見で次々に発表される発見事実やこれらを応用した具体的ビジネスプランの発表に,会見場はどよめいた。
さらにどよめいたのが,「当社は新たな成長の柱として,この分野に今後3年間で研究開発費20兆円を投じ,200兆円規模のビジネス実現を目指す」という社長の発言だ。
毎年8,000名規模で研究員の新規採用を行い,365日24時間体制で大発見を続々と見出し,これをビジネス化していくという壮大な計画だ。


半信半疑でこの会見を見ていた他社も,「試しに我が社も何かやってみよう」と若干の実験を試みたところ,「乳酸菌をトヨタ・カローラのエンジン表面に塗ったら,エンジン音がポルシェっぽくなった」「納豆をカレーライスに乗せて食べたら意外と美味しかった」などの新発見に到達。研究開発費の大量投入を決断する企業が相次いでいる模様だ。

これまでに名乗りを上げた三菱重工旭化成ソフトバンク住友化学大成建設など計120社が投じる研究開発費予定額を合計すると,軽く100兆円を超える見込であり,日本総研は「これが次の日本を切り開くことになる」とコメントしている。
こうした研究開発に乗り出す各社では微生物のスペシャリスト集めに奔走しており,ソフトバンクが日本酒作りに欠かせない全国各地の有力杜氏たち150名をヘッドハントするなど,これまでの業態を超えた人材移動も始まっている模様だ。


官邸筋によれば,首相・官房長官とも今回の動きを非常に喜んでおり,「日本再生の功労者になれば,ゆくゆくは菌類代表の入閣も考えないと」という話まで出ているという。

真菌類が果たしてどこまで日本経済を救うことになるのか,そして本当に「菌大臣」は誕生するのか,長い目で注目が必要だ。