「暑がりVS寒がり」に朗報? ― A社のチャレンジを追う

注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。



オフィスで働く人々を悩ませているのが,人それぞれの「体感温度」の違い。
暑がりの人・寒がりの人が混在するオフィスで,空調温度設定をどうするかといった悩みだ。
スポットごとの個別空調設備で対応するのが主流となりつつある昨今,全く異なる発想でこの問題にチャレンジしている企業を紹介する。



事業の多角化を進めながら急成長を続けてきたA社の人事部は,今年7月に大胆な人事異動を敢行した。
オフィスが国内外の複数拠点に分散していることを逆手にとって,拠点ごとの室温設定に大幅な差を設け,「寒がりの社員ばかりが勤務する拠点」「汗かきの社員だらけの拠点」等,全ての社員が快適な温度下で働けるよう,「温度の好み」を唯一の基準として,大幅な人事異動を実施したのだ。
マシンルーム等の関係で,かなり強めの冷房を入れているシステム関連部署には暑がりの社員ばかりを,寒さに弱い社員は南方の拠点に転勤させるといった具合だ。



この人事異動は,部署や拠点により想定外の効果をもたらしている。



Bさんは,大変な汗かきで,夏場は毎日ハンドタオル3枚を持参するという,社内でもトップクラスの「寒さに強い人材」だと評価されている。
そんなBさんが任命されたのは,同社が銀座に期間限定出店する「アイスBAR」の店長代理だ。
内壁・テーブル・椅子等を全部氷で製作したこの飲食店の店内温度はマイナス20度。来店客にはフードつきのコートが貸与されるが,スタッフは全員タンクトップ姿で元気に働く,というのがこの店のウリだ。
これまで建設資材の営業マンとして酷暑に苦しんできたBさんにとって,新しい職場は全く畑違いながら「本当に天国のよう」だと満面の笑みを絶やさない。
体重120kgという巨体をタンクトップに押し込み,マイナス20度を下回るシェーカーを素手でつかんで勢いよくシェイク,出来上がったカクテルを氷のグラスに注ぎ,これまた素手で客に提供するBさんに,客はただただ驚くばかりだ。
夏季限定の出店を予定していたが,Bさんらの活躍で来店客は予想をはるかに超える好調ぶりで,通年営業の可能性も視野に入りつつあるという。
Bさんは「長い社会人生活ではじめて『天職』と呼べる仕事に巡り合えた。いつまでもこの仕事を続けたい」と,通年営業の実現に向けて闘志を燃やしている。


一方,寒さに非常に弱く,電車では必ず弱冷房車に乗るというCさんが配属されたのは,中東・アブダビのオフィスだ。
同社のアブダビオフィスではこれまで,強烈な冷房を24時間効かせるため,その高コストが悩みのタネとなっていた。
今回の異動では,他社で例を見ない「冷房無しのアブダビオフィス」を実現させるべく,駐在員全員を入れ替え,Cさんら12名の同社屈指の寒がり達を送り込むことになったものだ。
全社の期待を背負い,冷房を切ったオフィスに初めて足を踏み入れたCさんら12名は,摂氏51度という,度を超えた灼熱のオフィス環境に言葉を失った。
最初の1時間こそ何とか踏ん張ったものの,2時間後には8名が脱水症状を起こすという事態に至った。

「寒さに弱い=暑さに強いということではない,ということを思い知らされました」と,同社人事部は反省しきりだ。
こうした悲喜劇はあるものの,同社では「最低でもあと1年間は,この方法が有効なのかどうか,検証してみたい」としている。



このような同社の取組みは,就職活動中の学生らにも広く知られるようになっており,日本中から,強烈な汗かき学生たちが続々と集まりつつあるという。
「人材像にかなりの偏りはあるものの,学生へのアピール効果があったというのは一つの収穫です」と同社はあくまで前向きだ。


このような取組が他社に広がるのか,猛暑下での体調管理に十分留意しつつ,注目したい。