「本気」で取り組む夏休み自由研究


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子供達の夏休みもいよいよ終盤。毎年この時期に,小学生とその親を悩ませるのが「自由研究」だ。
最近では,お手軽な「自由研究キット」の類が多数販売されており,これを使って工作や実験をして済ませる,というのが一般的になりつつある。一方で,そうした流れに逆らい,あくまで「本気の自由研究」を追究する親子も少なくない。
最後の追い込みに苦しむ親子の参考として,そうした「本気の自由研究」の一部を紹介しよう。



○研究テーマ「早く来い来い!北陸新幹線

福井県敦賀市内の小学生30名による大規模な共同研究。
本年3月に金沢まで開業した北陸新幹線は,平成35年春に敦賀までの延伸開業が予定されている。しかし,敦賀からさらに大阪方面までの延伸をめぐる議論の混乱や,まったく用地買収が進んでいないこと等,予定通りの開業が実現するかどうかは不透明な情勢だ。
大人になるまでに東京や大阪に新幹線で簡単に行けるようにしてほしい,と願う小学生らが集まって,「早期開業のために自分たちにできることをやってみよう」という自由研究を行うことが決まったものだ。
現在30名全員で手分けして取り組んでいるのが「用地買収交渉」だ。
地権者たちは,突然訪れてきた小学生に「お願いなので,僕たちわたしたち,そして新幹線のために土地を売ってください」と土下座を繰り返され,呆然とするばかりだという。
「子供たちに頼まれれば断れない」と内諾の意思表明をしてくれる地権者もある程度出ている模様だが,大半の地権者は「なぜ子供が」と不審がったり,「条件が分からないことには」と判断を留保している模様だ。
子供たちはこうした一連の交渉経験を通じて,「土地を売ってもらうにはお金がいる」「他人にはわからない土地への強い愛着を持っている人もいる」といったことを学びつつ,今日も交渉を続けている。
福井県庁では,「子供たちが用地買収交渉の地ならしをしてくれたおかげで,本交渉が少しはスムーズに進むことも期待できる」としている。
敦賀市の小学生にとって,忘れられない自由研究になりそうだ。



○研究テーマ「ミシュラン3つ星と2つ星の差」

神奈川県相模原市の辰野遼くんは,経済的に全く不自由のない環境に育つ小学6年生。
無駄遣い等は好まない真面目な小学生だが,この7月,両親から「お前も来年から中学生。将来のことを考えると,今から『本物とは何か』ということを見極める力を育むことが必要だ」と宣告された。
その両親に指示された自由研究テーマが,「ミシュラン3つ星と2つ星の店の差を見極める」というものだ。
予算として5,000万円もの大金を渡された遼くんは,やむなく日本国内にあるミシュラン2つ星以上の店約160店に片っ端から予約を入れて,まずは食べ歩いてみることに。
小学生が「おひとりさま」で来店という,異様なシチュエーションに戸惑う店がほとんどだったが,真剣な顔をして味わい,料理の写真を撮る姿を見て「子供のような振りをしているが,実はミシュランの覆面調査員ではないのか」と勘違いする店が続出,非常に丁寧な応対がなされるケースがほとんどだったという。
こうして,わずか30日で全店を食べ歩いた遼くんの結論は「2つ星と3つ星の差は,店のサービス精神の差。料理にはほとんど差はない」というもの。
この結論と,各店の評価記録,撮りためた料理の画像2,700枚を添付した彼の「自由研究」はA4版で実に800頁を超える力作だ。
超高級料理ばかりを食べ続けた遼くんの舌に,夏休み明けの学校給食がどのように感じられるのか,やや心配ではあるが,この経験が将来の大成に向けた一歩となることを祈りたい。



○研究テーマ「NHK大河ドラマの視聴率向上策」

好調な朝の連続ドラマとは裏腹に,視聴率の低迷から抜け出せないNHK大河ドラマ
手を変え品を変えても,一向に視聴率が上がらない様子に,NHK内部では「大河ドラマというコンセプト自体に寿命が来たのでは」という声も出ているという。
そんな大河ドラマを毎週欠かさず観ているという栃木県足利市の小学5年生・勝間彩香さんが取り組んだ自由研究は,「どうすれば大河ドラマの視聴率50%超えを達成できるか」という,NHK経営陣が泣いて喜びそうなもの。
彩香さんはインターネットなどで過去の大河ドラマに関する大量のデータを収集,視聴率とそのストーリー,出演者,視聴者層,当時の社会・経済情勢,流行していたもの等との関係を徹底的に分析。その成果を実に500ページに達するレポートとしてとりまとめた。
このレポートによれば,視聴率50%を達成するためには,(1)放映期間を現行の1年間から,民放ドラマ並みの3か月に短縮,かつストーリーを1話完結型にする (2)えなりかずきを主役に抜擢する (3)放映日を月曜夜9時に変更する (4)主題歌は松崎しげるに歌わせる (5)時代設定は過去の大河ドラマでは未踏の領域である縄文時代白亜紀ジュラ紀などから選択する 等,15点の条件をクリアすることが必要だという。
25日,郵送されてきたレポートを受け取ったNHKでは「なぜ,えなりかずき松崎しげるが…」「白亜紀のドラマと言われても…」と懐疑的。
しかし,たまたまレポートを見た籾井会長は「妙案がないなか,大変有益なアイデアをいただいた。清水の舞台から飛び降りるつもりで,来年はこのレポートどおりに制作・放映してみたい」と会見で明言,事務局を慌てさせている。
本当にこのレポートが実現するのか,そしてその場合に視聴率が思惑どおり上昇するのか,注目されるところだ。