「定食」文化,世界へ―各地で広がるオリジナル定食


注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。

海外での和食人気の牽引役のひとつとなっている「BENTO(弁当)」ブームに続き,今度は「TEISHOKU(定食)」が広く人気を集めている。
海外に進出した定食大手の「大戸屋」などは大賑いだが,日本の定食文化の枠をはみ出した「異色の定食屋」も続々と誕生しており,一部では混乱も生じている。
そんな「定食ブーム」の今を追った。



フランス・シャンパーニュ地域の中心都市として知られるランス。この街に昨年11月オープンした定食屋「WASABI」は,連日大勢の地元住民や観光客が押し寄せる人気店となっている。
この店の一番人気メニューはもちろん,「シャンパーニュ定食」だ。
「ヴーヴ・クリコ定食」が150ユーロ,「ドン・ペリニヨン定食」が400ユーロという価格で,「シャンパン(おかわり自由)」+「ごはん(大盛りは+10ユーロ)」+「味噌汁」+「本日の煮魚」+「小鉢(日替わり)」+「みたらし団子(デザート)」という異色の定食だ。
シャンパンと最も相性が悪いと言われる和風の煮魚料理だが,この「WASABI」の煮魚(記者が訪れた日はサバの味噌煮)は,仕込みの段階で白ワインをふんだんに使って徹底的に臭みを抜いているせいか,シャンパンとの奇跡のマリアージュを実現させている。「新たなワイン,シャンパーニュの可能性を感じさせてくれる」と専門家の間でも評価が高いという。
ただ,定食のイメージとはかけ離れた価格設定のため,「日本円で400円だと思ったから食べたのに」等,日本人観光客が支払いをめぐりトラブルを起こすケースが少なくないといい,今後,円建て価格の表示も行うことを検討中だ。



「ペット定食」という風変わりな定食を提供しているのは,世界一のペット大国と言われる米国のオーランドに店を構える定食店「SAMURAI」だ。
一緒に連れてきたペット用の食事がセットになっているのかと思いきや,「お好みのペット(持ち帰り用)」+「ごはん」+「味噌汁」+「おはぎ(デザート)」という,もはや定食の概念を超えた献立だ。
価格は,ペット販売価格+10ドル(ごはん大盛りの場合は+15ドル)となっており,店内には,これから家に持ち帰るペットの愛らしい姿をおかず代わりに眺めながら,嬉しそうにごはんと味噌汁をほおばるペット愛好家たちで繁盛。
まるで「ウナギ屋の店頭でかば焼きの臭いをかぎながらご飯を食べる」という日本の落語を地で行くような話になっている。



グローバルに食品産業関連ビジネスを展開しているオランダのラボバンクグループが9月から開始したのが,「グローバル定食」だ。
定食の内容は「サラダ」+「メインのおかず(日替わり)」+「味噌汁」+{ごはん」+「本日のデザート」というごく普通のセットだが,それぞれを異なる国々で提供するところがこの定食の最大の特徴だ。
まずオランダ産野菜をふんだんに使用したサラダをアムステルダムで食べた後,メインのおかずを食べるために移動。9月18日は「ボルシチ」であるためロシアに移動することになる。
その後,枕崎産鰹節で出汁をとった味噌汁を日本の鹿児島で飲み,ごはんは新潟県で食べ,最後のデザート(アイスクリームサンデー)を食べるためにロサンゼルスに飛ぶ,といった具合だ。
定食代は,9月18日の場合で4,000ユーロ(ごはん大盛りは+10ユーロ)とやや高額だが,鉄道や飛行機(原則としてビジネスクラス)の運賃も含まれているので安心だ。
ただ,実際に利用してみた客によると,「1回の食事に4日もかかるのはいかがなものか」「次の料理を食べるための移動の飛行機で,何回も機内食を食べてしまい,何のために移動しているのかわからなくなった」「新潟ではおかずも無しでただご飯だけを食べるので辛かった」等の声も出ており,まだまだ改善の余地はありそうだ。




定食の本場・日本でも新規参入が起きている。
マッサージ業界の大手チェーン「てもみん」は,10月から「てもみん定食」の販売を開始すると発表した。
忙しいビジネスマンらが,短い昼休みに昼食とマッサージを一度に効率よく楽しめるように工夫した定食で,「全身マッサージ(30分)」+「チャーハン(マッサージ中食べ放題)」+「焼き餃子(マッサージ中食べ放題)」+「中華スープ(マッサージ中飲み放題)」+「杏仁豆腐(デザート)」のセットで1,980円というお得な価格設定だ。
ただ,9月に開催された関係者向け内覧会の出席者によると,「食べている最中に食欲を刺激するツボを押されるので,おかわりが止まらなくなった」「意地悪な店員が,熱々スープを飲む瞬間を狙って特に痛いツボを押してくるような気がする」等,評価は微妙なようだ。


異色の組合せ定食が,新たな文化やビジネスチャンスを生み出すことになるのか,それとも単に世間を混乱させるだけに終わるのか,今後の展開に注目が必要だ。