微生物対象の「ノーベル大村賞」創設へ−沸き立つ細菌界


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ノーベル医学・生理学賞受賞が決まった大村智北里大学特別栄誉教授の発言が,微生物の世界を猛烈に活性化している。


発端となったのは,大村氏の受賞決定後の記者会見。
受賞の感想を聞かれた大村氏は「私の力ではなく微生物の力を借りただけ」「全ては微生物のおかげ」と,繰り返し微生物に対する感謝の念を表明。
学界で「大村先生は微生物と直接意思疎通ができるらしい」という噂が流れるほど,毎日微生物と向き合い続けた大村氏らしいコメントとして受け止められた。
そして会見終盤で,賞金の使途を問う質問に対して,「微生物の頑張りに報いるため,微生物を直接表彰する賞を創設する。賞金はその財源にする予定」と発言。
その場に居合わせた記者全員はジョークと受け止めたが,大村氏は本気だった。


大村氏の関係者によれば,記者会見を終えて帰宅した大村氏は,自宅の庭の土壌中に生息する微生物たちに,独自の手法を通じて,「ノーベル大村賞」の創設を伝えたという。
これまで,自らの活動成果を人間や他の動植物にいいように利用され続けてきた微生物にとって,微生物自体が表彰を受けるというこの知らせは「微生物史上最大のポジティブ・サプライズ」として,瞬く間に全世界の微生物達に伝わっていった。
そしてこれが,全世界の微生物に「自分が表彰対象になりたい」「賞を獲得するために頑張りたい」という強烈なモチベーションを与える結果となり,各地で様々な異変が起き始めている。


14日,納豆メーカー最大手のタカノフーズの「お客様相談窓口」には,朝から問合せが殺到した。
顧客からの相談は全て同じで,「今朝食べた納豆の糸が切れずに困っている」というもの。
驚いた同社が直ちに製品検査を行ったところ,中に含まれている納豆菌の活動量が普段の10倍以上に活性化していることが判明,その影響で糸が極めて頑健化していることが判明した。
他社製造の納豆でも糸が切れない現象が確認されており,同社では「おそらく『ノーベル大村賞』の創設を聞いた納豆菌が必要以上にやる気を出して頑張ってしまった結果だと推測される」とコメントしている。
同社では電話での相談に対して「納豆菌のやる気が収まるまでは当分,同様の現象が続くと思われるため,糸をハサミで切る等の対処をお願いします」と回答している。
同様の現象は,「ヨーグルトのふたを開けるとものすごい勢いでブクブク泡が出てきた」「キムチが怖いくらい美味しくなっている」等,他の食品でも続々と発生しており,各メーカーや販売店は顧客対応に追われている。


この動きは,やや微生物というイメージからは遠い,菌類のキノコにまで広がっている。
きのこ製造販売大手のホクトでは,看板商品の一つ「ぶなピー」の生育が異常にスピードアップ,包装用の袋に収まりきれないサイズに生長してしまったため,当分の間出荷を停止すると発表した。
「1時間ほど目を離したすきに,ぶなピーが5倍以上の大きさに成長している」(工場関係者)といい,規格どおりのサイズの製品を大量生産・大量販売する同社のビジネスモデルにとっては痛手だ。


さらに,この微生物の「やる気」は,今冬のインフルエンザ流行への懸念まで生んでいる。
現在接種が進められているインフルエンザワクチンは,毒性を弱められたインフルエンザウイルスを注射し,体内に抗体を作ることでインフルエンザにかかりにくくするものだ。
しかし,「大村ノーベル賞」の創設を受けて,「弱ってなんかいられるか」とワクチン内のウイルスまでが一念発起,予防のため接種を受けた人間の一部を,インフルエンザに罹患させるケースが例年より多く確認されているという。


意外なところでやる気を見せているのは,お笑いコンビの「クマムシ」だ。
昨年から今年前半にかけて「あったかいんだから〜」というフレーズで一世を風靡した彼らだが,すっかり飽きられて早くも芸能界から消滅の危機にさらされている。
芸名である「クマムシ」は,1ミリ弱の微生物に由来していることから「俺達もノーベル大村賞の候補者になれるはず」「このチャンスを何としてもモノにしたい」として,マネージャーの制止も振り切って,従来以上に営業活動に力を入れているという。
ただ,命運をかけた「微生物ギャグ」は驚くほどの空振り続きであり,実際の受賞の可能性はかなり低そうだ。

こうした微生物の活性化について,各業界では「何とか落ち着かせてほしい」と大村氏に陳情を行っているが,大村氏は「これまで微生物の頑張りの恵みを受けてきた我々としては,『頑張るな』とは言えない」と否定的だ。

微生物をここまでやる気にさせた大村氏とはいったい何者なのか,また大村氏が賞の副賞として微生物たちに何を提供することを約束したのか等,今後明らかにしていくべき点が多数ありそうだ。