一部自治体が「マイナンバー」から離脱−独自の「マイポエム」導入へ


注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。


この10月から住民への通知が始まった「マイナンバー」制度。
制度趣旨についての国民の認知度が十分高いとは言えないままスタートした本制度だが,実際に番号の通知を受け取った市民らからは「勝手に番号を決めて押し付けてくる感じが不快だ」等,総じて評判が悪い。
かつて,住民基本台帳ネットワークへの接続を長期間にわたり拒否してきた実績のある地方自治体では特に反感が高まっている。
そうした自治体の一つである東京都国立市が,マイナンバー制度の導入を拒否し,市役所が市民と相談して創設した独自の個人認証制度「マイポエム」を立ち上げている。
全国の自治体からの視察が相次いでいるという「マイポエム」制度を追った。



国立市役所と市民の間で最初の話し合いが持たれたのは,マイナンバーに関する世間での認知度が上がり始めた昨年10月頃。
市民から「数字の羅列で自分を表現されるのが不快」「自分で決められないというのは許せない」等の意見が相次ぎ,市役所としてもこうした意見を真剣に受け止めた結果,「自分自身で決めた『言葉』を個人を特定するカギとして使えないか」という観点から検討を進めた。
そして,今年1月に市民らに対して「自分自身で作成した20字×7行のポエムを,マイナンバーに代わる個人特定のための情報として利用する」という制度草案を呈示。
この歳になってポエムなんて気恥ずかしい」等,若干の異論はあったものの,「自分の意思で自分らしさを表せる」という点が多くの市民から高く評価され,同市における「マイポエム」制度の導入が事実上決まった。

その後,今年3月にかけて具体的な手続き(全く同じポエムを申請された時の取扱い,ポエム変更可否の判断等)を詰めたうえで,5月から「マイポエム」の登録がスタートしている。
これまでに市民の96%が登録を終えており,大半の市民は自身のポエムが裏面に記載された「マイポエムカード」を受け取っているという。


市内の高校で体育の教諭を務めている高橋亮介さん(35)は,そのいかつい風貌に似合わない「隠れメルヘン好き」。
これまで恥ずかしくて誰にも言えなかったが,マイポエム制度の導入に際し,思い切って自作の「ボクの好きなサクラソウ」というタイトルのポエムを登録したが,市役所の窓口近辺で恥ずかしそうに登録している人々を見かけ,思い切って声をかけてみたら,やはり「メルヘン」ファンたちだったという。
それ以来,メルヘンマニア同士での交流が始まり,今では自作のポエムを毎週交換し合っているという。


現在は家業を継いで立派に2代目社長を務めているAさん(41)は,若いころはいわゆる相当な「ヤンチャ」をやった人物。
今回のマイポエムを登録するにあたり,ふと昔を懐かしんだAさんは,かつてスプレーであちこちに落書きした「夜露死苦」「大魔王見参」等の漢字を満載した,まるで漢詩のようなポエムを書き上げて市役所に届け出た。
以来,仕事の関係で取引先等と会うたびにマイポエムカードを話のタネに見せていたところ,同種のポエムを登録していた人々と巡り合い,「ヤンチャOBの会」と称する親睦団体までできているという。


個人情報流出」等,ネガティブな面ばかりが注目されるマイナンバーに比べ,市民から広く受け入れられている「マイポエム」の現状を視察した各自治体では,導入に前向きになっており,この動きはかなり急速に広がる見込み。
今のところ静観している政府だが,内々「マイナンバーからマイポエムに切り替えた時に生じる追加対応コストの試算を始めている」(関係者)といい,条件が整えば全国的な制度移行の可能性もありそうな状況だ。


将来,制度の適用範囲が広がった際に,本人確認のために銀行窓口で「マイポエム」を読み上げられたりするのは少々恥ずかしそうだが,今のうちにどういうポエムを登録するか,考え始めておいた方がよさそうだ。