脱「eラーニング」へ−「rラーニング」への移行進む

注意:この記事には,現時点において事実ではない情報が大量に含まれています。記事中に登場する法人名・個人名等は実在のものとは一切関係がありません。その点をご理解のうえお読みくださるようお願いいたします。



企業などにおける社員研修手段としてすっかり定着した感のあるeラーニング。日本能率協会の調査によれば,企業全体の8割が採用しているという。
こうした定着が進む一方で,マンネリ化など研修効果の低下を示す現象も少なからず発生している。
毎年同テーマで研修を行うため,次第に新たな問題の作成が難しくなり,重箱の隅を突くような奇問・珍問が大幅に増加しているのが代表的な例だ。また,毎週のようにeラーニングを続けて実施した結果,「先週の研修内容は全然覚えていない」というのもよくある話だ。
こうしたeラーニング依存による問題を解決するため,日本能率協会が会員企業に新たな研修手法「rラーニング」を提案,各方面から「非常に研修効果が高い」として導入を決める企業が相次いでいる。



rラーニングの「r」は「リアル」。机上ではなく,現実の場面でラーニングさせるというコンセプトだ。



大手化学メーカーA社のBさん(31)はある日,勤務を終えて,夜8時過ぎに電車に乗り帰路についた。
やや混雑していたものの,たまたま優先席に一つだけ空席があり,仕事で疲れていたBさんはとりあえず座ることにした。座席の両隣には若者が眠り込んでいる。
すると,次の駅で乗り込んできた乗客のなかに,「杖をついた老婦人」「右足を怪我して松葉杖をついた若者」「乳幼児3人を連れたお父さん」が乗り込んできて,いずれもBさんの目前に立った。
Bさんは「誰に席を譲ろうか」と悩んだあげく,老婦人に席を譲ることにして,ご本人に声掛けをして立ち上がった。
その瞬間,老婦人は俊敏な動きで歩み寄り,Bさんの頬に強烈なビンタを見舞って「不正解!」と叫んだ。
呆然とした表情のBさんに歩み寄ったのは日本能率協会のCさん。「残念,不正解でした」と伝えたうえで,正解は「両隣の若者を起こして3名分の席を作って譲る」であったことも説明した。

これが「rラーニング(社会人マナー編)」の実際の一コマだ。
Bさんの前に立った3組の乗客はもちろんのこと,わざと1席だけ空席を空けていた周囲の乗客も含め,全て協会が用意したエキストラたちだ。
「実践・情報セキュリティ編」では,社内の廊下に落ちていた「極秘」印の押された紙を拾った社員がその後どういう行動をとるのか,監視カメラや協会の調査員らが徹底的に追跡するという。
こうした,極めて実践的でかつ,受講者の体験として頭に刻み込まれるメソッドに,採用企業側の評価は極めて高いという。



採用企業が続々と増えつつあるrラーニングの最大の難点は,コストが高いこと。
設問ごとに調査員やエキストラなど30名前後を動員して研修場面を作り出すため,1人1問につき発生する費用は平均で6万円程度だという。
社員数1,000名の企業で年間200問のrラーニングを実施すると,120億円程度の費用がかかることになる。しかし実際に採用している企業は「それだけの研修効果はある」「重要な設備投資だと割り切っている」として,意に介していない模様だ。
一方で研修対象となる社員側は,「いつ何時,どういう研修が行われるか分からないので気が休まらない」「テレビのドッキリ番組と何が違うのか」と必ずしも好意的ではないが,しぶしぶ従っているのが現状のようだ。



出勤して自分の机を開けると,明らかに自分の所有物ではない金色の仏像が入っていたなど,非日常的な出来事が増え始めたら,それは貴方の会社でもrラーニングが始まった証拠だ。


一時も気を許すことなく,万事に適切に対応することが求められる時代になりそうだ。