プロ野球界に激震―日本シリーズは「話し合い」で決着へ

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今年も日本プロ野球ペナントレースが終わろうとしている。
実質的に残っているのはクライマックスシリーズ日本シリーズのみだが、ここに来て、そのルールを刷新することが突然決定され、関係者の間に衝撃が広がっている。
このルール変更を決めた日本野球機構の、激動の1か月間を追った。(文中敬称略)


9月中旬。日本野球機構代表理事コミッショナーの斉藤惇(元日本証券取引所グループCEO)は、先々代コミッショナーでもある友人・加藤良三(元駐米大使)に呼ばれ、その自宅を訪れていた。
加藤が熱く語ったのは、大国間の貿易戦争をはじめとする昨今の世界情勢の危うさについて。
「蛮行とも言える世界の大国の振る舞いは、いずれ世界を決定的な危機に陥れる」と加藤は力説、「私は日本外交を、あなたは日本経済を背負ってきた人間。この世界の危機を救うために、力を合わせて何ができるかを考えないか」と斉藤に語りかけた。
一方の斉藤自身も、米国の投資会社・KKR日本法人会長を務めており、世界経済が危機的状況を迎えることは何としても避けたいという点で考えは一致。「世界を危機から救うために、我々に出来ることは何か」を2人きりで3時間にわたり、熱く語り合った。

その結果、出てきた結論が、「2人が関わってきた日本のプロ野球を舞台として、世界に理性的解決の重要さを訴える」というものだ。

野球は、スポーツマンシップに則り行われる競技ではあるが、結局、強い者が弱い者を力でねじ伏せるという「力と力のぶつかり合い」であるのもまた事実だ。斉藤が決断したのは、勝敗を決めるためにボールを投げたりバットを振り回したりという野蛮な行為は止めさせて、両チームの監督・選手の間の話し合いにより、勝敗を決めるというルールの導入だ。
「フィジカルなパワーが全てだと考えられがちなスポーツでさえ、話し合いで温厚に決着をつけることが出来るのであれば、貿易問題が話し合いで解決できないわけがない」というのが斉藤と加藤の主張だ。


9月28日、日本野球機構理事会で、斉藤が語りだしたこのプランに、出席者は騒然とした。
「なぜプロ野球をそんな話に巻き込むのか」「話し合いでそもそも勝負が決まるわけがない」等、否定的な意見が相次ぐなか、議長の斉藤は机を激しく叩き、「もういい!俺にも考えがある」と会議室を後にした。


そして10月8日。体育の日であり、クライマックスシリーズ開始まで1週間を切ったこの日、東京・赤坂で緊急記者会見に臨んだのは、斉藤と、規制改革担当大臣・片山さつき、さらに経済再生担当大臣・茂木敏充という意外な組合せだった。
この会見で斉藤は、「今週から始まるクライマックスシリーズ日本シリーズは、試合ごとに両チームの監督・選手会長うしの話し合いにより、勝敗を決定する」という新ルールを強引な形で発表。
そしてこれを全面的に支持したのが片山・茂木だ。
斉藤は、規制改革の目玉を熱望する片山には「昔から全くルールが変わらず、延々とバットやボールを振り回している野球という、旧態依然とした競技を根本的に改革したい」と囁き、米国との通商問題に直面する茂木に対しては「公明正大な話し合いこそが全てだ、と世界に訴え、共感を広げたい」と説明、両名の全面的な賛同を獲得したのだ。
日本野球機構の事務局からは「正式な手続を踏んでいないルール改正であり、本日の発表は遺憾」というコメントが出たが、片山・茂木は「そのような手続論にこだわっているから野球人気はここまで低落したのではないか」と批判し、政府として今回のルール改正を全面的に支援していくことを明らかにした。


テレビ中継でこの事実を知った西武ライオンズ・広島カープ等の球団関係者は、あまりのショックに呆然。「観客が数万人入った球場で、何を話し合って決めるのか」「観客同士の乱闘が起こるのは必至だ」と激しく困惑しているが、このルールでクライマックスシリーズを戦わざるを得なくなる事態に備えはじめているという。
西武ライオンズでは、辻発彦監督に「議論に負けない方法」「ロジカル・シンキング」等の実用書を渡し、勉強するよう指示をした模様だ。


こういうルール変更自体が蛮行ではないのか、という意見には誰も耳を貸さないまま、まもなくクライマックスシリーズが始まろうとしている。
どのような話し合いが行われ、その結果何が起こることになるのか、注目が必要だ。